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プロローグ


  ガラガラと音を立てて砂礫の塊が、私の背に落ちる。


「君が悪いんだよ。僕には魔王を討ち、王女と結ばれるという義務があるんだ。」


  遠のく意識の中で、上の方から勇者の声が聞こえた。


「何故王女は君ばかり見るんだ?心配するんだ?他には見えない笑顔を見せるんだ?そんなのおかしいじゃないか。」


「あ・・・な、はなに・・・お」


 落下の衝撃で頭を強く打ったからか、上手く声が出ない。


「僕は、この世界を救うためにチキュウから転生したんだ!この世界では僕が主人公なんだ!だから!だから!」


こんなに激昴してる彼を見るのは初めてだ。普段は聡明で人当たりも良く、まさに理想の勇者だった。


「君が悪いんだよ。君は僕のストーリー進行の妨げになるからね。」


 彼が何を言っているのか解らない。色んな感情、思考がぐちゃぐちゃに絡まっているみたいだ。ただ1つ解ることは・・・


「だから君にはここで死んでもらう。僕と女王の未来のために。いや、僕が王となる輝かしい未来のために、ね。」


女王が危ない。きっとこの男はもう既に王宮内にも罠を張り巡らせているかもしれない。


「じゃあね。これでお別れだ。 おい、この穴を塞いでおけ。」


「はい、かしこまりました。」


 およそ人では無い、まるで機械が人間の振りをして喋っているかのような声が聞こえる。


 ゴゴゴという音が聞こえ、僅かにあった光がどんどん無くなっていく。そして、完全に光が消える前に僕の意識は完全に落ちた。



 今思えば、これが僕がまっとうな聖者だった最後の記憶かも知れない。これから変わりゆく世界と、あいつと、僕の。

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