第23話 部屋割り
「わーったよ、じゃあ給仕室の場所を教えてくれ。あと部屋、私らはどこで寝りゃいいんだ?」
「あ」
ユールは一言そう漏らし、キースのほうへ顔を向ける。キースは苦笑いを浮かべた。
「そういえば考えてなかったね」
「完全に失念しておりました」
「おいおい頼むよ。この際私とガノン、ドリーの三人まとめて一緒でいいからさ」
ユールは記憶を探り、空き部屋を探した。
この船内は大きく三つのゾーンに分かれている。
一つは燃料や武器、食料を置いてある貨物区。この貨物区は船内の最下層に位置する。
二つ目は、ガルダが待機し、または射出するための簡易カタパルトがある区域だ。出撃塔とも呼ばれ、船の上層にある。これらが上層にあるのは、できるだけ高い位置からガルダとガルダ乗りを射出することで、優位性を確保するという狙いがあるためだ。
そして、三つ目が居住区。団長室ふくめ、他の団員たちや船乗りが生活する区域だ。これが残りの中層に位置する。
その居住区における各団員の部屋割りに関しては、基本的には班ごとに分けられている。しかし男女をごちゃまぜにするわけにはいかないので、基本的に少数側である女性は、女性だけで部屋を割り振られる形になる。
今この船に乗っている女性団員は見習いのティータ含めて八人なので、まず四人と三人に部屋を割り振り、残りの一人であるユールは団長護衛の務めとして、キースの部屋、つまり団長室の隣で寝ている。
至上の幸福だが、壁の一つ向こう側にキースが寝ていることを思うと眠れなくなることも多々ある。これでも十七の娘だ。色々妄想してしまうのは無理からぬことだろう。
寝ぼけてキースが自分に寝室に入ってきたらどうしよう。いや、むしろ寝ぼけてとかじゃなく、断固とした意思を持って入ってきたら? そのとき私はどうしたら、
「おい、なんで顔真っ赤にしてんだよ」
ジャスミンの指摘にハッとする。ユールは慌てて真顔を取り繕うが、顔が赤くなるのは避けられなかった。
「なんでもない! それより部屋だが、この船の部屋は一部屋四人が原則だ。女性部屋はティータたちのところに一人空きがあったが、そこにはドリアーナが入った。よってジャスミンの入る余地はない」
「余地はないじゃねぇよ。そっちから騎士団に誘っといてこの扱いかよ、ひでぇな」
「お前がドリアーナを連れてきたからだろう。それが無ければぴったりだったんだ」
もともとジャスミンたちの寝床のことまでは考えていなかったので、あくまで結果論になるが、それでもドリアーナを迎えたことでジャスミンが部屋からあぶれてしまったのは事実だ。
「じゃああれだ。とりあえずジャスミンちゃんにはユールの部屋で、ガノン君には僕の部屋で寝てもらうことにしよう」
キースの提案にユールが「いやだ」というまでもなく、ジャスミンが首を横に振った。
「ダメだ。ガノンは私と一緒じゃないと寝れない子だから。私たち二人は同じ部屋でないと」
ユールたちには理解ができなかったが、ジャスミンの隣でガノンは首をぶんぶんと縦に振っている。薄々感じていたことだが、ガノンのジャスミンに対する依存度は度を越えているらしい。
はて、これはどうしたものか、とユールが腕組みしたところで、ジャスミンが手を挙げた。
「じゃあユールがキースの部屋で一緒に寝て、今ユールが寝てるところで私とガノンが寝ればオーケーだな。それでいこう」
ユールは深々とため息をつく。
何をバカなことを言っているのか。男女の寝床はただの足し算で決めていいものではない。自分がキースの部屋で一緒に寝るだと? 確かに魅力的な提案だが、そんなことできるわけが、
「それしかないかな」
キースが微笑みつつ言った。ユールはしばし呆気にとられるしかなかった。
「はい?」




