初 魔王城
目を開けるとベッドと机、椅子などの
最低限の家具があり、清潔感のある
広めの部屋に俺はいた。
黒の家具で統一された部屋は
埃一つないほど綺麗で気味が悪い。
陽の光が射しているようだが
外の様子は見えない。
さっきの悪魔は消えていて
メイドらしき人がいた。
バタバタと扉を開けて
3〜4人のエルフのメイドたちが俺の身体を図っていく。なんだかおかしな気分だ。
こんな貴族みたいな扱い、
二次元の中だけだと思っていたのに。
いや、転生して異世界にいる時点で
二次元に来たようなものか。
『た、ただいまお召し物を用意致しますので。お待ちください。』
少し青い顔をしたエルフメイドたちは走り去っていった。
そんなに彼女はおそれられているのだろうか
それとも黙って立っているメイドが怖いのだろうか。
立っているメイドに話しかけようとすると
急に扉が吹っ飛ばされた。
そしてズカズカと少女が入ってきた
『貴方が姫の番なのね、私はレヴィアタンよ、レヴィって呼んで貴方の名前は姫が決めるだろうからわかんないけど、仲良くしましょ?』
水色のドレスを着た少女の手には
鱗が所々にあり、ツノが生えている。
どすどすと歩いてくるあたり
天然の塊だなぁ。
『あぁ、よろし『貴方こんなのと仲良くすることはないわ』
また俺の言葉はかき消された
目の前には赤いドレスを着た少女と緑のドレスを着たツノ付きの少女がいた。
これはツンデレ系、王道すぎる。
『あたしはバハムート、わかると思うけど竜族よ、レヴィもヨルムンガンドも竜族
姫の護衛係、お世話係をしているわ
あんたが番様か、なかなか良い男じゃない』
バハムートは尻尾を振りながら
自慢気にレヴィを押しのけて言った。
それが気に食わなかったのか
レヴィとバハムートは
後ろで2人は喧嘩を始めた。
『ごめんなさいね、2人とも貴方を見たくて仕方なかったのよ、私はヨルムンガンド、よろしくね姫の番様、また後でお会いしましょう』
身体に植物が巻きついた、おっとりした角の生えた少女、ヨルムンガンドは2人を引きずりながら出ていった。
やっぱりお姉さんタイプなのか。
この3人はバランスがいいな
わざと鱗や尻尾をだしているのだろうか。
竜族と悪魔族従えてる彼女はいったい…
名前を聞いただけでわかるような大物ばかり
思わず身震いした。
扉はいつのまにか直っており。
さっきとは違う扉になっていた。
『発言、失礼致します。私、メイド長のサリエルと申します。こちらお召し物でございます。
お着替えが終わりましたら、姫の元へお連れします。何かございましたらフォルネウスをお呼びください』
渡された服は黒い貴族風な服でところどころ金の装飾が施されている。
いそいで着替えを済ませ
鏡を見る。
転生する前とは全く違う。
黒い髪に赤い瞳、体格はあまり変わらない
ちょっとイケメンになっただろうか
手の紋章はまだ光っている。
『サリエルとフォルネウスって悪魔の名前だよなぁ…』
そう呟くと鏡越しにフォルネウスが映った。
緊張で息がつまる。
『よくお分かりですね、さすが姫の番様、
この城には悪魔族、竜族、精霊族、天使族
様々な種族のものが集まっております。基本的には姫のまわりは悪魔族と竜族がお世話などをしておりますが。』
やっぱり、厳重な警護をしているのか。
それほどまでに権力を持って…
もう魔王確定なんじゃないかこれ
『えっと、フォルネウス。姫のところへ行きたいんだけど』
『かしこまりました。』
そっと俺の手を取ると
またゲートが開いた