転生そして悪魔との邂逅
目がさめると椅子に座らされていた。
木で出来た家はどこかの遠い国のような
そんな気がした。
そして、手に何かの紋章が描かれている。
立ち上がることはできない。
足枷もついていないのに。
『あ、気がつかれました?転生者さん』
青い髪に金の瞳を持つ少女はそう言った、
俺の手を握ると紋章は光る。
その時、少女の表情が一変した。
憎悪をむき出しにした少女に
手を払うように離された。
『嘘、最悪、あなたあの女の番なのね。はぁ、めんどくさい。災厄が来るわ、うちの家が焼き払われかねない…とっとと引き渡さないと』
ブツブツと独り言を言っている
あの女とやらになにかされたのだろうか
だが、拘束されているこの状況が悪いことはわかる。俺はこの状況を打破できない。
それに
番ということは俺にはだれかペアがいるのか
『あの、すみません。状況が理解できないので説明していただいても?』
話しかければ少女はカツカツとヒールを鳴らして、
苛立ちを表している。
そして、蹴飛ばされて
椅子は倒れ頭を打ち付ける。
ゔっ…と声を漏らせば、
拘束が解除される。
手足が自由になった。
少女を見上げれば
ガツンとヒールを鳴らす。
『あんたのパートナーはね、とんでもない奴なのよ、説明?まぁ、いいわ、この世界はいろんな世界、時間軸からその記憶を持って転生してくる。転生者はたいてい元の世界の番と同じ紋章をもっててこの世界では共に過ごすことになってる、番は彼女とか妻とかそういう相手のこと、これでわかった?』
嫌悪感がむき出しだ。
俺の番は妻だったゆいってことになるわけだがとんでもないやつとは…いや、
もともと手がつけられないようなタイプで、俺の言うことじゃないと聞かないような…
見た目は猫のようだけど
手綱をつけておかなければいけない
中身は猛獣のような子だ。
窓の外を見るとだんだん暗くなって
雷が鳴り始める。
俺は耳をふさぐ。
『もう、来たわね…はぁ、あなたを拘束したこと黙っててよね、家燃やされるのはごめんだから』
窓の外を見渡すと住民は家に逃げ込んでいる。カーテンも閉めきってさっきまでの賑わいが一瞬にして消え去った。
彼女は一体何をしたんだろうか。
家を燃やすとかなんとか言っていたけど
ほんとに燃やしてるなら大迷惑だよな
それにしても情報量が少なすぎる。
ここから逃げないと。
なんだか嫌な予感がする。
『もうすこし説明をしてもら…』
俺の言葉はものすごい雷の音でかき消された。
バリンと大きな音で
窓ガラスが粉々に割れた。
『その必要はありません。番様、私、貴殿のお世話係をさせていただくことになりました。フォルネウスと申します。以後お見知り置きを、では、姫の元へお連れします故』
高身長の黒髪のメガネをつけた悪魔が俺を担ぐと割ったガラス戸から飛び出した。
黒く大きな羽を広げて
そして、
ブラックホールのような空間に吸い込まれた。