side:boy-04
頭がフル回転して居るのがわかる。
どう話せばいい?
ちゃんと説明して、わかってもらわないと終わる。
「…明日もバイトあるし、早めに寝たいんだけど。」
まさにスーパードライな彼女の言葉に心が折れそうになる。
至極どうでもいいと言いたげな視線を向けないでほしい。
「えっと、あの子は後輩で、タチの悪い付きまといにあってるとかで先週から相談されてて。
あの時はロッカーから私物取られた上に手紙が入ってたとかでかなり取り乱してて、慰めてただけなんだよ。」
「慰めで、抱きしめてたの。」
「や、あれはそういうのではなく…」
「コレ、が。そうでなくてなんなんでしょうか。」
カツ、と形の良い爪がスマホの画面を叩く。
ひび割れた画面の中で動かない写真。
メールに添付されていたものと同じ。
「ストーカー被害は私には経験が無いから、気持ちはわからない。けど確かに怖いだろうという想像はできる。誰かにすがりたくもなるでしょ。
でも、学内のことなら学生課に相談するべきだし、盗難があって居るならそれはもう警察沙汰。そこは相談してるの?」
「…いや、あの子は事を大きくしたく無いって」
「そういう事だと犯人を助長させるだけよ。」
「だけど」
「下手な慰めより、ちゃんと解決してあげるべき」
まるで、俺の行いが間違って居ると言わんばかりの言葉に苛立ちが湧く。
「みんながみんな、そんな風に毅然と対処できるほど強いわけじゃ無いだろ、少しは弱い人間の気持ちも」
「えぇ、そうでしょうね。」
凍えそうな、低い声。
初めて聞く声に続く言葉が喉に支えて出てこなくなる。
「私は、強いんだ。よく言われるわよ。実際そうでしょうね。」
「いや、そういう事じゃッ」
睨みつけられて、言い訳が喉の奥に引っ込んで行く。
「だからって、何をしても傷つかないわけじゃ無い。彼氏の浮気現場なんか、他の子に優しくして居る姿なんか、見たくなかった!」
ガツンと、ぶん殴られたような気がした。