表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
有罪判決下します  作者: 陽彩
6/12

side:boy-03

部屋の前に着いたはいいが、チャイムを押す勇気が行方不明。怖気付いて部屋の前にずるりと座り込む。

建物の隙間から見える雲の流れが速すぎて明日は風が強いんだろうなと取り留めもないことを考えつつ言い訳を考える。


何も浮かばず、時間だけがすぎていく。

隙間から覗いていた月は反対側へと消えていった。


ちりん


背中越しの扉の中から鈴の音がなる。

初めて言ったテーマパークで、趣味じゃないと言う彼女を押し切ってお揃いで買ったうさぎのキーホルダーに付属していた鈴の音。

やっぱり、家にいた。

我ながら気持ち悪いがそんなものでも彼女が自分のものだと認識できる何かが欲しかったのだ。

それをまだ外されていないことに小さな希望が湧く。

扉が外開きだと言うことすら、忘れてしまうほどに。


ガッツン、と鈍い音を立ててほんの少しだけ空いていた背中に鉄の塊がぶつかる。

「えっ?」

「っつー…」

扉の角にえぐられた背中に悶絶しつつ扉に手をかけ引く。

「おっ?」

こんな時だと言うのに、随分と間抜けな声をあげて倒れ込んでくる彼女がやっぱり好きで、どうしようもない。そのまま、抱きしめれば彼女の体温が冷え切った体に伝わって少しだけ思考回路が復旧し始める。

「冷たっ…ちょっと、布すらこんな冷たいって…唇真っ青!バカ!離してよ。」

「イヤだ」

「…ここにずっといたら冷えるわ。とりあえず入って。」


動揺も収まったのか、冷たくもないけれどひどく無機質な声で彼女が俺に促す。

緩んだ腕から抜け出した彼女の後に続いて部屋の中に入った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ