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魔法少女は男の娘  作者: ぴえ~る
第二章 ライバル出現
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2-3 魔法と魔導

 あのあと無事に翔斗の部屋に戻ってきた二人は、帰り道のコンビニで買ってきた弁当を食べていた。

「ところでさ、クリスってヤツが言ってた魔導ってのはなんなんだ? 端から見る限りはユリアが使っている魔法と何かが違うようには見えなかったんだが、クリスの言い分を聞く限りは別物なんだろう?」

 ちなみに歩けないほどに衰弱していたユリアだが、その原因はただの空腹だったらしく、コンビニ弁当を二つも食すと、元気を取り戻していた。

 可愛らしい容姿とは反対に、だけど性別通りの男らしい食の太さを見せつけたユリアであった。

「う~ん、なんと言えばいいのかな。実際には翔斗クンの印象通り、それほどの違いはないんだよね。同じ宗教の中でも色んな宗派があったりするでしょ。魔法と魔導の質の違いはそんな感じかな。ルーツっていうか、根源的なところは、どっちも変わらないんだよね。ただその力を利用する人間によって、呼び方が違うだけって感じ」

「イマイチピンと来ないんだが、対立勢力って感じで考えとけばいいのか?」

「昔はね。でも、もう魔導を名乗る人ってかなり希少な存在だから、対立勢力と呼べるかは微妙かな。実際、ボクも生まれて初めて魔導を名乗る人を目にしたくらいだからね」

「そんなもんなのか。だけど、向こうも目的は魔石のカケラみたいだし、これからもまた衝突することがあるんじゃないのか?」

「間違いなくあるだろうね」

 言い切ってみせるユリアだが、特に心配している素振りはない。

「ユリアの実力ならあいつが襲ってきても大丈夫なのかもしれないけれど、あいつに魔石のカケラを先取りされたりする心配はしなくていいのか?」

「いやいや、直接やり合ってみて思ったけれど、実力はかなり拮抗しているよ。魔導の継承者を名乗るだけの実力は兼ね備えているってことだろうね。これから先、もしかしたらカケラを先取りされることがあるかもしれない」

「俺が口を出すことじゃねえのかもしれないけど、それでいいのか?」

「そんなに焦ることはないよ。もしクリスさんにカケラを先取りされたとしても、どうせボクが持っている残りのカケラを狙ってくるだろうからね。そのときに、クリスさんから残りのカケラを渡してもらえばいいんだよ。だからボク達はあの子のことを気にせずに自分ができることをやっていけばいいよ」

「なるほど、そう考えることもできるのか。ちなみに、カケラは全部で何個に散らばって、今のところ何個集めてるんだ?」

「全部で十っていうところかな。ボクが持っているのは今日のも入れて四つだよ。というか、実は昨日翔斗クンと会ったときに見つけたものが、この世界に来て初めての回収作業だったんだよね」

「あっ、そうなのか。ユリアがこっちに来てから、少なくとも二週間くらいは経ってるから、もう少し集めてるのかと思ったんだけれど」

 桜の木の下でユリアと出会ったのが約二週間前。少なくともあのときにはこちらの世界に来ていたのだから、ユリアの滞在期間も少なく見積もっても二週間ということになる。

「あれ? 翔斗クン、ボクがこっちに来てから、二週間くらい経っていることをどうして知ってるの? ボクその話したんだっけ?」

 当然、桜の木の下で会った女性とユリアがイコールで結びついているのは翔斗だけであり、ユリアは桜の木の下の女性の話は知っていても、それが自分を指していることには気づいていないのだ。

 よって、ユリアのこの疑問は当然と言えるだろう。

「あっ、それはさ……、ユリアが覚えてないだけで、前にその話をしたんじゃないかな。あはは……」

 慌てて言い訳の言葉を並べる翔斗だが、妙に白々しい言い回しになってしまった。

「あれ? そうだっけ。まあいいや。こっちに来てから、だいたい二週間くらいになるのかな。実はこっちに来て少しの間ちょっとしたトラブルがあって、カケラの回収どころじゃなくってね。それについては、もう解決したから大丈夫なんだけれどさ……」

 ユリアは翔斗の不審な態度について、追求してくることもなく、普通に話を続けてくれた。

 そのトラブルの内容も気にはなったが、翔斗とは関係のないことだろうし、もしユリアに話す気があるのなら話してくれるのだろうと思って、深く訊ねることはやめておいた。

「ま、とにかく明日も頑張ろうってことで。翔斗クン、明日もよろしくね」

 そして、その後も他愛もない話を繰り広げているうちに、いつの間にか夜は更けてゆくのだった。

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