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数学オタクが転生します  作者: 二毛作
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そのi(ウソ)を見抜け

「取り合えず……ウォルフさんが起きない事にはランクの認定は無理ですね……」



フレイヤさんはウォルフさんに回復魔法を掛ながらそう言った。



「まさかあんな勝ち方するなんて思わなかったよ」



エレナは俺に回復魔法を掛ながらそう言った。



「いや、運がよかっただけだよ……」



木製の椅子に腰掛けて、未だ気を失っているウォルフさんを見ながら言った。



しかし、あんな形で決着が着くとは、その作戦を実行した俺が言うのもなんだが驚きだ。



因みに観客達は決着が付くと我先にとこの場を後にして、今いるのは俺とエレナとウォルフさんとフレイヤさんだけだ。



「しっかし君さぁ、不思議な魔法を使うよね。あんな詠唱聞いた事無いよ」



フレイヤさんは、何時の間にか俺の横に移動していて、その声は俺の右側から聞こえてきた。



「ウォルフさんの治療終わったんですか?」



「ん?ウォルフさんは元が丈夫だからね、あんな風に攻撃食らっても内臓は傷ついてないし、軽い脳震盪だったのかもね」



ごめんなさい……全然違うんです。



さっきの決着……実はウォルフさんの意識レベルに「Ⅲ-200」を代入したんです。



意識レベルって言うのは、主に医療の現場で用いられ、疾病者のバイタルサインの重要項目として扱われている。



GCS JCS ECSの三種類あり、今俺が引用したのはJCE(JAPAN COMA SCALE【ジャパンコーマスケール】の頭文字をとったもの)を使っている。



名前の通り主に日本で使われ、三段階にわかれそのなかで再び三段階に別れる事から別名3-3-9度方式とも呼ばれる。



今代入したⅢ-200は、刺激を与えても意識が覚醒はしないが、その刺激に顔をしかめる程度の反応をする程度のレベル。殆ど寝ている状態に近い。



「はい、終わり」



エレナがパンパンと手を叩いて可愛らしく言った。



「ん、ありがとう」



切られた右腕をぐるぐると回してみる。流石魔法、少しの痛みも走らない。



さて、今度はウォルフさんの意識レベルに0を代入して起こさなきゃな……



「i意識レベル」



ウォルフさんのおでこ辺りに、黄色い数字「Ⅲ-200」が浮かびあがり、そこに赤い文字「i」虚数を表す文字がその文字を覆う。



そして、砕け散るようにしてiが消え去ると青白い「0」だけが残り、ウォルフさんのおでこ辺りに溶け込んで行った。



その数秒後、ウォルフさんの意識が覚醒した。



「あらぁ、ウォルフさん。おはようございます」



フレイヤさんが、上半身だけ起こしたウォルフさんに何とものほほんとした挨拶をした。



対してウォルフさんは自分のおかれた状況がまだ把握出来てないらしく、目を見開きながら辺りを忙しなく眺めていた。



「私は……君に負けたのか?」



ウォルフさんは状況を把握したのか、一度目を閉じて、深くため息を履いてから悔しそうにそう言った。



「まぁ……そうなりますかね」



かなりセコい方法だったが。



「そうか……」



何だが半端では無いほどの落ち込み具合では無いか、もうこのまま自殺してもおかしくない。



「いや、でもあれはウォルフさんが本気を出していなかったからであって……」



「何を言うか、追加詠唱をして負けたんだ、立派な敗北さ」



ウォルフさんは自嘲の笑みを混ぜてそう言った。



「ねーねーウォルフさん、ユズキ君のランクは?」



空気を読まずに、エレナがウォルフさんに突進せん勢いで近づいていった。



「あ、あぁ……そ、そうだな」



ほらみろ、ウォルフさんが引いてるぞ。



それから、ウォルフさんは暫く唸り声をあげたり、一人でブツブツつぶやいていた。



そんなに悩まなくても良いんじゃないですか?



「そんなに悩まなくても良いんじゃないですか?」



違うぞ、これは俺の言った言葉じゃない、これはフレイヤさんの言葉だからな、勘違いするな。



その張本人フレイヤさんは腕を組みながらウォルフさんへ一歩近づいていった。



「如何なる理由にせよ、あなたの追加詠唱を打ち破り、頑丈が取り柄のあなたを気絶させたのですよ?そんなものメシアのランクか超越者エデンのランクを与えてもおかしくないでしょう?」



フレイヤさんはそう言ったあとに「最低でもセラフのランクですかね」とつけたした。



「ちょっと待って下さいよ、俺は……」



俺はこの世界に来たばかりなんだ。そう言おうとして口を閉じる。



危なかった……もうすぐで自分にマイナスな発言をするところだった。自分の首を締めるとはこの事だな。



「どうしたんだ?」



「いや……何でもないです」



結局フォローが思いつかず無かったことにした、フレイヤさんやウォルフさんは気にしていなかったようだが、エレナだけは怪訝そうな眼差しを向けて来た。



「よし決めた!」



ウォルフさんは膝を叩きながら勢いよく立ち上がった。



「発表します!ユズキ君のランクは……」



ゴクリ……



喉を脈打たせて発表の時を待つ。数秒のタメがものすごく長い時間に感じられた。



「あれ……ユズキ君、ファミリーネームは?」



ここにいた人達全員がずっこけたのは言うまでもない。



そう言われればファミリーネームは榎本なのだが、ベアトリアに橘なんて名前があるのだろうか。



ウォルフさん達の名前から推測すると英国風の名前が使われているのだが、ここは偽名を使っておくか?



「えっと……」



「もしかして、記憶喪失?」



エレナが心配そうに俺の肩を叩いてきた。エレナにはギルがリオンの時に話していたから分かったのだろう。



「記憶喪失?」



ウォルフさんは訝し気に俺を見てきた。



「はい……目をあけた時にはヤハウェの森にいました」



「そこで私と会ったんだよ!」



エレナがなぜか胸を張って俺の言葉をつないだ。



その報告いるか?



「でも、エノモトユズキという名前だったはずです」



このままでは変な雰囲気になり兼ねないので取り合えず本名を名乗ることにした。



「エノモトユズキ?珍しい名前をしているね」



「かもしれませんね、偽名を名乗りましょうか?」



「うーんまぁどちらかと言えばそっちの方がいいけど」



ウォルフさんは腕を組みながらそう言った。



「でもそう簡単に決めることはできないですね……」



「あ、じゃあ私のファミリーネームあげようか?」



エレナが俺の前にピョンと出て来て期待に満ちた瞳で俺を見つめて来た。



「いや、それはなにかとやばいだろ」



「そうねぇ……君の属性は数なんでしょ?じゃあそれにちなんだ方がいいんじゃない?」



「数ですか?」



数か……数学者で有名な人と言えば。ピタゴラス、ニコラ・ブルバキ、フェルマー、うーん……



やっぱりあれだよな、数学の基礎を築いたピタゴラスで行くべきか。



「じゃあ、ユズキ・ピタゴラスで」



やべぇ、俺はこれからピタゴラスって名乗ることできんのかよ……感激すぎる。



「よし、ではユズキ・ピタゴラス。君のランクは座天使:スローネ(S)だ」



ウォルフさんは満足そうに告げてきたが、その横にいたフレイヤさんと、俺の目の前にいるエレナは不満そうな声を漏らした。



「えぇ……ユズキ君が私と同じランクな訳ないよ~」



「私も少し納得が行きません」



これに対してウォルフさんは頬を人差し指でぽりぽり掻きながらこう言った。



「私の一存で帝や超越者のランクは渡せないんだよ、それにスローネのランクを入会時に渡すこと自体が異例なんだぞ?」



ウォルフさんの言葉に、二人は頷いているが、表情を見る限りでは納得していないようだった。



「それに、いくらここにいるのが私を含めた四人だけだとしても、ここでそんな事を公にはできんからな」



これが決定打だったようだ、フレイヤさんとエレナは渋々だが納得してくれたようだった。



「さてと、ランク判定も終わったことだし、そろそろ依頼を受けにいきますか」



俺は背中の筋を伸ばしながらそう言うと、その場にいた三人は俺の方を怪物を見るような目で見てきた。



え……何ですか?



「君……ギルドマスター倒しておいてそんな余裕が有るの?」



「ユズキ君……君の魔力量ってどれくらいなの?」



「なぁ、ピタゴラス……お前は人間なのか」



なんだなんだ……皆一体どうしたんだよ、て言うか全部の質問に答えられないのは、金縛りの術がかかっているからか?



それはそうと、俺の魔力量は一体どの位有るんだろうか。



「αM」これが俺の魔力量。



だが、数値化されていないため、ここの人達には……まてよ……数値化?




まさか……



俺の脳裏に一つの仮説が生まれてきた。それは最早確信と言っても過言ではないくらいの物だ。



「すいません……エレナの質問に対してなんですが、もう一度魔力を測らせてくれませんか?」



なんだか……俺ってかなりのチート能力を貰ってたんだな……



☆★☆★☆



「じゃあ、魔力流していいよ」



フレイヤさんが用意してくれた水晶に魔力を流し込む。



眩い光が部屋全体に満遍なく行き届く。



光が次第に収まってくると、エレナはすぐさま俺の横にきて水晶の表示された値をみて大きな声を上げた。



「えぇ!?20兆!?魔力量が20兆!?」



それは絶叫とも呼んでいいだろう。あり得ないほど大きな声叫んだせいで、すぐ隣の俺は耳がやられてしまった。



「ちょ……エレナうるさい……」



「あ……ご、ごめんなさい……あぅ……」



自分が大声をあげた事に気がつき恥ずかしそうに頬を染めて俯くエレナ。



美少女が顔を赤くして俯くのはハッキリ言って萌える。



閑話休題。



ウォルフさんとフレイヤさんはエレナ以上に驚いていた。何せ先ほどまではウォルフさん達からすれば見た事もない文字で現れた物を、物の数時間で変わったのだから。



そしてこの値、通常の魔力の値としては多くても億が限界なところ、しかし俺はそれを遥かに上回る兆の位だ。



「君……一体何者?」



フレイヤさんが目を細めて訊いてきた。



「通りすがりの仮面ライ……人間です」



危なかった……



何故俺の魔力がここまで間上がったのか説明しよう、まずあのφの集合の中のαMについてだが。



φとは俺の許容魔力量、つまり魔力量の限界値を表している。



何故φなのか、おそらくだが、φとは空を意味する。つまり器自体は常に空の状態、だが0では無い。



器が常に空の意味は「どんなに魔力があってもこの器に入れる事ができる」という意味だ。



そして、αMについて。



このαMは現在の魔力量を表す。そこで俺はMに2兆を代入してみた。



俺はそのまま魔力を測ったつもりだったのだが、指し示した値は20兆だった。



ここで重要なのがαという文字だ。



俺はウォルフさんとの戦いでαに10を代入した。



俺はまだそれをiを使って解いていない。つまりαMにそれぞれの数を代入するとーー



10×2兆=20兆と言う訳だ。



これはつまり、魔力と身体能力はこの世界において密接に関係しあっていると言う事だ。



これにて俺の仮説は終了だ。




「ここまで魔力量があるなんて化け物だわ」



フレイヤさんが目を見開きながら言葉を漏らす。



「これ……スローネランクで良かったのか?」



ウォルフさんが自分の額に手をやりながらやれやれと言ったように頭を降った。



「羨ましいなぁ……」



エレナは下唇に人差し指をやりながら恨めしそうな目でこちらをみてきた。



「と言う訳で何か依頼ください。そうしないと寝る場所も食べ物もない」



俺がそう言うと、いち早く反応したのは意外にもエレナだった。



「寝る場所もって、ユズキ君お家は?」



「家なんてないよ……」



この世界にはな……



「ご、ごめんね?」



エレナは顔を伏せて謝った。



別にエレナが悪い訳では無いのに。



「なら、学園行けば住む話じゃない!あそこは全寮制だし、君の実力なら特待生だって余裕だよ」



「あ!そうだよね!特待生なら私と同じクラスだし!」



フレイヤさんは両手をパチンと軽快な音を立てながら笑顔で提案してくる。



それに乗っかったエレナ。彼女の言葉で彼女が実力者で有ることに確信を持てた。



まぁ、クシャトリヤを詠唱破棄するくらいだから当然か。

お久しぶりです


高校生に書いた文章はコピペでも荒さが目立って心がいたい


なんかの大賞にだめもと応募しようとおもいまうs 


レビューお待ちしてますよチラッチラ

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