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数学オタクが転生します  作者: 二毛作
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φ(空)の器2

俺は再び睨まれ、罵倒を浴びせられることを顧みずエレナのところまでやってきた。



そして、エレナをじっと見ながら言う。



「どうすればその報酬とやらを貰えるんだ?」



瞬間。俺以外の人間の時間が止まったような気がした。



エレナやガルシアさんは目を見開いて今にも「何言ってんだこいつ」と言いたげに目が訴えかけていた。



「……えっと……おまえ歳は?」



ガルシアさんがそのまま目を変えずに俺に訊いてくる。



「え……と、16です」



それを言うと再び場の空気が止まる。エレナやガルシアさんの目は「可哀想な子を見る目」と進化していた。



その視線に耐えられるほど俺のハートは硬く無い。良くても型抜きの板がせいぜいなところ。



「えっとね……ギルドカウンターの「依頼完了審査」ってところに行けばいいんだよ」



何を悟ったのか、エレナはうんうんと頷いてから行くべき場所を教えてくれた。



「ガルシアさん、私疲れたからその場所まで案内してあげて」



「え!?な、何で俺が!?」



ガルシアさんは硬直から解けてオーバーリアクションをとる。



「お願いします、ね?」



「命に変えてもこいつをカウンターまで届けます」



エレナが笑顔でそう言うとガルシアさんは背筋をピンッと張って敬礼をする。



凄まじい、エレナの笑顔にはこのガルシアさんを膝まづかせる程の力があったなんて。



「行くぞガキ」



「え?うわ!!」



ガルシアさんはそう言うと俺を片腕で抱き上げてスタスタ歩き出してしまった。



自分で歩くから担がなくていいのに……



「おいガキ、ギルガリオンを倒したって言うのは本当か?」



ガルシアさんは俺を担いだままそういった。



実際どうなんだろうか、確かにトドメは俺が刺したがエレナも攻撃したことは攻撃した。



そうとなれば“俺が”と言うのは些か語弊があるようにも思える。



「まぁ、トドメは俺が刺しましたけど」



俺がそう言うと、ガルシアさんは少し憎たらしい笑みを浮かべながらこう言った。



「お前が倒したのなら、その証拠もってるよな?」



ガルシアさんはそう言ったあとに俺をおろしてから言葉をつないだ。



「ここがカウンターだが、証拠が無くちゃ報酬はもらえないぜ?」



未だ憎たらしい笑みは消えない。



それは当然だろう、ガルシアさんからすれば俺は手ぶらの状態でこの状態からギルガリオンの討伐を証明する物的証拠を出せる訳が無いからだ。



しかし、それはあくまでガルシアさんから見た場合の話。俺はこんな事もあろうかとキチンと用意してあるのだ。



「亜空間ボックス」



その言葉を口にした瞬間、俺の目の前の空間に裂け目が入る。




これは、アインシュタインの相対性理論に基づいたオリジナルの魔法である。



ブラックホールのような超重力を持つ物体にはその重量ゆえにその効果の及ぶシュバルツシルト半径に入り込んだ物は、光であっても脱出不可能となる。



その吸引された物はホワイトホールと呼ばれるところへと持っていかれるが、大抵の場合は重力によって塵にも満たない大きさになっている。



しかし、その超重力故に空間がねじ曲がりある座標上に特異点と呼ばれるものがある。



アインシュタインはそこを通る事で別次元、別の座標上に移動できると考えた。



俺はアインシュタインの相対性理論が真である確立を1に変えて、相対性理論が完全な物理法則とした。



次にある一部三次元空間を集合Aとし、この世界と隔離、その空間の重力を何百倍にも引き上げた。



そこに現れた特異点、探すのには苦労したが、そこの部分を集合Bとする。



すると、その集合Bの人体への害を0にしたところ、何も無い、広い空間が広がっていた。



集合Bに限っては俺の世界が作られたのだ。



さらに、この術の名を『亜空間ボックス』そう名付ける事により、無意識の内に式が立てられて術が発動することまで発見した。



そう、俺はチートだったらしい。



「な、なんだこの魔法は!!」



ガルシアさんが驚いて大声をあげる。それを聞いたギルド内にいた人達が俺の周りに集まってきた。



まぁ、仕方が無いかな……大体【数】の属性魔法なんてこの世には無いだろうし、あったとしてもアインシュタインの相対性理論の事だって知らないだろう。



「なんだあの魔法」



「あいつなにもんだ?」



周りからは俺の正体を探ろうという声が聞こえてくる。



数秒もしない内に亜空間ボックスが完成しそこからギルガリオンの頭を取り出す。



ところどころ電撃で焼け焦げているが、印象的な卵形の頭とその中心にある幾何学模様、後でわかった事だが魔方陣はキチンと残っている。



「これで良いですか?」



すぐそこにあった依頼完了審査カウンターまでギルガリオンの頭を持って行き受付の人に見せる。



「……し、少々お待ちください」



受付の女性は少し動揺を見せるも、ギルガリオンの頭を見る。良くこんなグロテスクな物を平然として見れるな。この世界では普通な事なのか?



「はい、確かにギルガリオンの頭部と確認いたしました。報酬をお支払いいたしますので、ギルドカードをご提示ください」



ん?ギルドカードをご提示ください?モンハンのでも宜しいですか?



待て待て、そんなわけがなかろう。つまり何か、ここの住民たちはあの人気ゲームモン○ターハ○ターにでてくるようなギルドカードなる物を持っているというのか?



俺はそんな物持っておらん!!



「あ、あの……俺ギルドカード持ってないんですけど……」



「ええ!?ぎ、ギルドカードを持っていない!?あなた16~17歳辺りでしょ!?なのに持ってないの!?」



受付嬢は口元を抑えて驚きを表現した、と言うかそれ失礼に当たらないのか?



「えっと、その場合はギルドカードを造らなければ報酬を支払う事はできませんが」



それはマズイ、だがそれ以上に自分の情報を書かなくてはいけないはず。



その際に出身地「異世界☆テヘッ」なんて書いてみろ今以上に変な目で見られてしまう。



「こちらに、住所、氏名、年齢、交際相手の有無、契約内容に同意するかしないか、の欄にご記入ください」



俺がこのギルドにはいるとも言っていないにも関わらず、受付嬢は契約書を出してきた。



もう、どうにでもなれだ、世の中金なんだ人なんて関係無いね!!



半ばヤケクソになりつつも俺は記入欄を埋めていく。



ただ、一言言わせていただきたい。契約内容の書いた文が長すぎる。



なん枚あるんだ一体、広辞苑と大差ない分厚さだぞ。



「あ、そんな面倒な事なさらなくても、要約ページをご覧になれば大方の事は分かりますよ」



受付嬢は契約内容の書かれた本の一番最後のページを開いた。そこに書かれていたのは。



要約ページ


・死ぬな、金づる……仲間が死ぬのは悲しいだろ。



だけだった。



金づる……あえてここには触れないで置くが、要するに依頼料の何%かはギルドに持っていかれるという事だろう。だから金づるか……



俺は契約内容に同意して受付嬢に渡した。



「ご確認させていただきます。

住所は……不明?」



そう、転生物のテンプレ記憶喪失だ。何とも都合のいい事だろうか。



「はい、何でか記憶が曖昧でして……すいません」



「分かりました……はい、では属性と魔力量の計測に移りたいと思います」



受付嬢はそれ以上深く質問はして来なかった。



受付嬢はその奥の扉を開いて俺をてまねきした。おそらく測定する場所に映るのだろう。



言われるがまま、いや促されるままにその扉を潜る。



そこはただの書庫のようになっていた。周りを本で埋めつくされた。恐らくギルドメンバーの個人情報なんだろう。



「あれ?ここに計測する水晶と紙がある筈なんだけど……」



受付嬢は何やら彼方此方を見渡し始めた。



「あぁ、スマンスマンここにある」



頭上から少しハスキーな声をした男性が降りてきた。



無精髭を蓄えて、ガルシアさんよりも厳つい。小麦色の肌に少し薄い唇。頭頂の短い金髪はツンツンと立てているが、前髪はその青い目にかからない程度までおろしている。



「ぎ、ギルドマスター!帰られてたんですか?」



受付嬢はその男の人に向かってそう言った。



「ほんの何分か前にな、で少しここに用事があってな」



ギルドマスターはそう言うと、俺の顔をジロジロと見てきた。



「この子は誰だい?」



ギルドマスターはそう良いながら俺を指差した。



「新規のギルド入会者です。ギルガリオンを倒したので実力は十分でしょう」



受付嬢がそう言うと、ギルドマスターは俺を見る目を変えた。



「それはどの位の人数でだい?」



「二人です」



俺がそう言うと、ギルドマスターも受付嬢も過剰に反応した。



「ふ、ふふ二人!?え、あの六人のパーティーじゃ無いの?」



受付嬢はそう言って、エレナが依頼を受けたと思われる書類を見せてきた。



「あの、初めはそうだったらしいのですが、エレナはパーティーメンバーと離れてしまって、そこに偶然俺が通りかかったんです」



ギルドマスターは空いた口をふさぐ事が出来ず、受付嬢は少しふらついていた。



「ま、まぁいい、早く済ませてくれそれから少し話がしたい」



ギルドマスターはそう言って水晶と白色の紙を手渡してきた。



「まずは水晶で魔力量を図ろう」



そう言われたので白色の紙を近くのテーブルに置いた。



「あの……どうすれば良いのでしょう?」



「あぁ……学園に通ってないのか?水晶に魔力を流せば済むよ」



魔力なんて俺あったかな?



何て思いつつも力を注ぎ込むように意識を手に集中させる。



その時であった。



『ふむ、どれ儂が代わろう、感覚を覚えるのじゃ』



頭の中に神の声が響いた。ギルガリオンの時のように体の自由が効かなくなる。



『今体の中で流れているのが魔力じゃ、これを手に流し込むように意識するだけで良い。戦闘の時は無意識の内にやっていたから威力も低かったの。



これをキチンとマスターすれば技の威力は数倍に跳ね上がる。精進することじゃ』



その言葉を最後に体の自由が戻る。



あの時掴んだ感覚を忘れない内に手の方へ力を注ぐ。



水晶玉が眩く光り出す。



やがて、少しずつではあるが光が収まってきた。



「ん?何だこれは?」



「不思議な……文字?ですかね?」



ギルドマスターと受付嬢さんは水晶に浮かび上がった不可思議な文字を見て首をかしげていた。



だがその「不可思議」と言うのは俺以外のこの世界に住む人達から言わせればの事である。



その表示された物と言うのは、まるで数学Aで習う時に使ったような便宜上の図が現れていた。



φ(ファイ)の記号の集合の中に描かれた、αMの文字。



空集合の中に、何らかの要素がある。これは数学上ではあり得ない事である。



「これは……どう言う事だ?」



「君も始めて見るのかね?」



ギルドマスターは、俺もこの結果を知らなかった事に少し豆鉄砲を食らったらしい。



「はい……」



正直にそう答える事しか出来なかった。俺の頭の中でもこの図が何を意味するのか分からない。



ただφ(から)の器は俺自身を示しているのでは無いかと、頭では感じ取っていた。

高校生の時に書いた文章をコピペしてるわけなんですが



稚拙すぎて恥ずか死しそう。


書き直せって話なんだけどね。



こりゃ異世界系強いなろうさんでも

わんちゃんないでぇ(震え声)

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