表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕がPS4を買うまで。  作者: 氷室炬燵
8/32

バイオ

金遣いと言えば、友人Iもすごかった。


Iはシスプリにハマった時期があり、原画展にも行ったそうだ。

作品単体なのか複数なのか、詳細はわからないけれど、その場で原画を2枚購入した。

しかし、その為の貯金もなく、手持ちもなかったIは、お地蔵さんから借りて払ったらしい。

即金で30万。

ゲームで身を滅ぼしかけた。

そのうち、父親にバレてボコボコにされ、実家への入金と借金返済にひぃひぃ言っていた。

利子は取られなかったそうなので、父親への返済は結果的には良かったんじゃないかと思う。

でも、やっぱり金に困って転売してた。

購入額の一割にも満たず、それでも現金が必要だったのか承諾していた。


そんなIが最もつぎ込んだのが、バイオハザードだ。


発売された頃、Iは定時制高校に進み、全日制の高校生が稼ぐより多いバイト代を手にしていた。

そのほとんどがバイオ関連に消えた。

ソフトそのものは一万円しないで買えるのだが、ゲーム内で使用された銃火器のモデルガンは違う。

エアガンが多かったが、ガスガンも数丁あり、一丁5万くらいしたらしい。

部屋の中でコルクボードを撃ち抜いたり、人のいない公園で空き缶を撃ったり等、人の迷惑は考えていたみたいだ。


何かイベントがあると言えば出かけて、安くはないジッポ等のグッズを買ってきた。


それらを含め、一番呆れたのがSSの購入だ。


PS版が発売されてからSS版が発売された。

後出しの分、ミニゲームが存在した。PS版にはなかった。

そう、そのミニゲームがやりたいが為に、IはSSから揃えたのだ。


「お前バカだろ、知ってたけど、バカだろ」


流石に、それはないわぁ、と思ったよ。



側にバイオ狂いがいた為、僕自身はあまりバイオをやっていない。

1はIのプレイを見せられたので、2をやり込んだ。ハンクのクリアは出来なかったけど、本編は回復なしでクリアはした。


そんなバイオに救われた高校3年生。


あまり社交的ではなく、ゲーム以外に趣味のなかった僕は、ぼっち寸前だった。

阪神がー、キンキがー、彼女がー……話についていくどころか内容もわからない。


2年生の時に体育の授業で一緒だった、クラスメートS。話掛けるならヤツしかいない。

友達の友達くらいだった、共通の知人Fを話題にコンタクト。


なんとか成功するものの、話題のストックなんぞ無い。


ダメ元で振る話題の中にバイオがあった。

Sも自分の立場《ぼっち予備軍》を危ぶんでいたのだろう。

話に乗ってきた。

しかし、ゲームの趣味が合わない。

この際、色々目を瞑ろう。

同じ話題が上がることは、むしろ当然。2をひたすら掘り下げる。限界なんて無い。設定だの、銃の実際のスペックだの、外の情報は一切なく、ゲーム内の情報だけで一学期を乗り切った。

まあ、嫌いな教師や各イベントの話題もあるにはあったけど…


そして、2学期。

楽しいバイオ談義が続く。ひたすらバイオ。

そんな中、救世主が現れた。


バイオ3。


Sはプレイしたらしいが、僕は購入さえしていない。


救世主は救世主になり損ねた。


いや、まだだ。まだ終われん!


Sを拝み倒して、3を借りてプレイ。

翌日から、3の話題が増えた。マルチエンディングだったので、攻略を教えてもらいつつ、話は弾む。


そのうち、受験が迫り、ゲームに費やす時間が減って行く。

完全攻略する前にソフトを返却し、追加情報はなくなった。


それでも続くよ、バイオハザード。


卒業式の最後の下校時さえ、バイオの話をして帰宅した。


バイオはぼっちを救う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ