表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2&1

作者: 山吹

執筆中のどの長編小説とも関係無い物です、ご注意ください。


初夏の日差しを浴びながら、ミンミンと五月蠅いセミの合唱の中を一台の車が走り抜けていく。


高速の渋滞にはまった途端ご臨終されてしまったエアコンの所為で、関東に居ながら砂漠で遭難した人の気分を味わう事ができた。うん、貴重な経験だった二度とゴメンだが…。

新車で手に入れた初めての愛車も、早10年以上が経過しアチコチにガタが来ているが、不思議と手放す気にはなれなかった。


軽自動車の2人乗り(ツーシーター)という、趣味以外には不便この上ない車であり実際その所為で困った事も数え切れない程あった。何しろ自分ともう1人しか乗せられないのだ、友達連中と遊びに行くとしても足としての頭数にすら入れてもらえない。


7人乗りのワゴンタイプでワイワイと楽しそうにはしゃぐ皆を、後ろから眺める事になった同乗者には同情を禁じえなかった。うん、俺上手い事言った。


親父ギャグは置いといて、その他にも多々あった不都合を乗り越えて俺はこの車に乗り続けている。

660ccでノンターボという非力な車は、しかしその軽い車重のお陰で軽妙なコーナーリングを味わえる。上り坂では後続車に(あお)られ、下り坂で下手に攻めれば危うくコーナーでぶっ飛ぶ一歩手前を味わえる、実に風流である。

自然と安全運転になり、今まで無事故無違反ゴールド免許である。


いくら(あお)られようが節度ある程度のスピードを維持し、マイペースで走り続ける。抜きたければ抜けばいいさ、小さな車体に大きな心を乗せて俺は走り続ける。


やがて見えてくる見馴れた一軒家、白い壁に茶色い屋根、何処にでもあるような普通の家。その玄関先で待つ他に掛け替え様の無い1人の女性。

前の車で楽しそうに騒ぐ仲間の様子にも、愚痴る事無くこの車独特のオープンカーとしての楽しみを一緒に楽しんでくれた女性。

そしてその後も一番多くこの助手席を利用し、最後には「ここは私専用ね」とまで言い出した女性。


2人で暮らすために購入した新しい家に、2人を繋いだこの古い車で旅立つ。


「お待たせ」

「15分の遅刻よ」


やばい少しご機嫌を損ねてしまった、更に助手席に乗り込んだ彼女をムワっとした熱気が襲う。これは出だしからついてないとな思っていると、ガリガリと音がした送風口からブワっと冷風が噴出してきた。



空気が読めるとは流石は相棒


時代遅れの不便な車で、新しい暮らしの第1歩を今踏み出した






END



短編小説って難しいですねぇ…。

長編小説も難しいんですけどね……Orz


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 素敵ですね。軽快なテンポがすきです。
2019/10/12 23:38 退会済み
管理
[一言] 連続投稿すみません。 ふと…自分も昔にビートをネタにしたお話書いてHPに載せていなかったっけ・と思ってHDを漁っていたら… あった…百合メインで書いていた頃のお話なので女性キャラしか出てこな…
[一言] ビートかぁ…会社の同僚が乗っていたので何度か運転した事あるけど、軽快に走るんだけどスピード出している時にカーブに入るとちょっと恐かった記憶が。 そんな私はカプチーノ乗りでした。 夏だろうと冬…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ