まさかの人物【side鬼龍院月也】
こんにちは、四宮スノウです!
今回は生徒会長である鬼龍院月也目線のお話です!
それでは、小説の世界をお楽しみください!
「はあ…」
俺は、大きな、盛大なため息をついた。
俺の名前は鬼龍院月也。
大企業である鬼龍院財閥の御曹司だ。
鬼龍院財閥は世界的にも有名な企業で、スケールの大きさなら右に出る者はいない。
なぜならば、鬼龍院財閥、つまり鬼龍院の家系の奴らは全員
呪天ノ鬼の血をひいてるからだ。
呪天ノ鬼は、酒吞童子、茨城童子と並んで序列が高い種族だ。
茨城童子もかなり有名な財閥だけど、なぜか酒吞童子だけ姿を見せたことがない。
でも酒吞童子は実在しているらしい。
なんで現れないのかは知らんけど。
……おっと、本題に戻ろう。
なんで俺が盛大なため息をついているのか。
それは、今日がこの学園の入学式だということ!
生徒会長は入学式に出て挨拶とかをしなくちゃならない。
基本、俺は人間が嫌いだ。
なんでかって?
それは、俺の家の権力とか財力など、見返りを求めてくる人間がほとんどだからだ。
いや、ほとんどどころか99パーセント見返りを求めてくる。
だから人間が嫌いなんだ。
『それでは、本校生徒会長の、鬼龍院月也さんのお話です』
げっ…。
そうこう考えているうちに俺が挨拶する番になってしまった。
仕方なく、教壇の前にあるマイクの前に立った。
『みなさん、国立青龍学園へようこそお越しくださいました。私、生徒会長の鬼龍院月也と申します』
そう挨拶をしたときだ。
「なんで、呪天ノ鬼がーー!?」
小さなつぶやきが聞こえた。
は…?
俺は鬼だから、耳がいいし視力も5ある。だから、つぶやき声くらい簡単に拾えた。
なんで…、気づいたんだ…!?
誰、だ…。
話しながら声が聞こえたあたりを見る。
「!」
俺の視界に入ったのは、真っ赤な髪に琥珀色の瞳を持った女子生徒だった。
まさか、こいつ…。酒呑童子…!?
気配をうまく誤魔化してるから気づかなかった…。
マジかよ…。
一体、なんのためにこの学園に来たんだ…。
女子生徒をよく見て、あることに気づいた。
この生徒…。
あのとき中庭にいた…。
〜ときは15分前にさかのぼる〜
「入学式、出たくねえな…」
ぶつぶつ文句をつぶやきながら中庭に面した渡り廊下を歩いていたときだった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
そんな音が、聞こえてきたんだ。
そして、突如として黒い鳥居のような門が現れた。
「鬼門ーー!?」
俺は、この門を知っていた。
これは、鬼が使う門、鬼門だ。
低級の鬼が使う鬼門は白く、位が高い鬼になるほど黒くなる。
中庭に現れた鬼門は、なんと漆黒だった。
ーーそれは、最上位の鬼の証なのだ。
「うっそだろ…!?」
慌てて木の陰に隠れると、門から誰かが出てきた。
「女…!?」
門から出てきた奴は、女だった。
真っ赤な髪に琥珀色の瞳。遠くから見ても小綺麗な容姿をしている。
遠くにいるからなんの鬼か見極められない。
まさか、酒呑童子ーー!?
……いや、そんなわけないか。
どうせ、他の鬼を従えていてそいつに門を出させてるだけだ。
なかば強引にそう自分に言い聞かせ、入学式の会場に俺は急ぐのだった。
〜現在〜
…マジかよ。
あのときの女が、本当に位で俺と並ぶ、酒呑童子なんて…。
くそっ!
ーーなんでここにっー!?
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それではまた!