通学路にて 2
こんにちは、四宮スノウです!
今回、花恋の秘密が明かされます!!
それでは、小説の世界をお楽しみください!
「なんだ、お前!?」
「やめなさい、殺人鬼!!」
花恋は男をにらみつけると、叫んだ。
「え…、今、殺人鬼って言わなかった?この子…」
「噓、やばくない…!?」
女の子たちが怯えたような表情であとさずりする。
「く、くそっ……!!」
男は悔しそうに歯ぎしりをした。
「お、お前のせいでなにもかも滅茶苦茶だ!!しねーーーっ!!!」
男は大声で獣のように吠えると、包丁を振りかぶって花恋に襲い掛かるーー!!
「!!」
花恋はふっと笑うと包丁の側面に拳を叩きつける。
男の目が驚愕に見開かれるーー。
ーーガシャン
包丁が男の手からはじけ飛び、地面に突き刺さる。
呆然とする男の顎を花恋は足で蹴り上げた。
ーどさっ。
男が膝から崩れ落ちる。
花恋は男をつまさきでツンツンと蹴って生死を確認する。
「……よかった。こいつ、まだ生きてるわ…気絶してるけど」
とつぶやいた花恋。
(力入れすぎたから死んでないかひやひやした…)
と心の中でもつぶやくと、女の子たちの方に向き直って言った。
「で、あなたたちは大丈夫?」
女の子たち2人は、少し青ざめた表情をしながらも目を輝かせながら答えてくれた。
「はい、大丈夫です!!それより、さっきの技すごいですね!!」
(テンションが高い)
と、心の中で突っ込む花恋。
「まあね、こう見えてもわたしはしゅてん……」
何かを花恋は言いかけた。
「しゅてん?」
と首をかしげる女の子。
「いや何でもない!!」
と必死に誤魔化す花恋。
続いてもう一人も…
「助けてくれてありがとうございます!さっきの体の動き、すごかったです!!!わたしにはあんな体の動き、できないですそれにどうやって包丁を吹っ飛ばしたんですかそれにそれに……」
(テンションが高い、話が長い)
またもや心の中で突っ込む花恋。
さっきの怯えた様子はどこにいったのやら。
このままだと話が延々と続きそうなので女の子の話を遮る。
「えーっと、じゃあ二人とも怪我はないってことでいいのかな?」
花恋が聞くと、二人は同時にこくこくとうなずく。
どうやら、怪我はないようだ。
「あ」
花恋は大事なことに気が付いた。
(学校に遅れる、入学式に遅れる!!)
さっきのことで、すっかり忘れてた!!
「ごめん、わたしはもう行かなきゃ!!こいつは警察に突き出しとくから、
二人とも気を付けていくんだよ!!」
と子供を心配する母親のようなことを言うと、花恋は走り出していた。
女の子二人は、ぽかんとした表情で花恋を見送るのだったーー
やばい。
(何やってんだわたし!!危うくばれるところじゃん!!!)
男を引きずりながら心の中で叫ぶ花恋。
実はわたしには、秘密がある。
(あーもう、酒吞童子の末裔だって、ばれないようにしなきゃ!!)
それは、わたしが酒吞童子の末裔だということ。
酒呑童子。
日本の伝説に登場する鬼の頭領のことだ。平安時代に大江山、つまり現在の京都府北部を拠点に、
都を荒らし回ったとされている大妖怪。
わたしはその酒呑童子の末裔なのだ。
神楽坂家は酒呑童子の血を受け継ぐ珍しい一族で、大きなお屋敷を持っている。
この国は鬼をはじめいろんな種族がいる。
エルフ、獣人、吸血鬼、悪魔。たくさんの種族が入り混じっている。
だから、種族ごとに法律が違う。
例えば鬼なら、十歳を過ぎればお酒を飲んでいいとかね。
でも、いいことばっかじゃない。
人間じゃないってことだけで能力や見返りを求めて近づいてくる奴らはごまんといるからだ。
特に、鬼、獣人、吸血鬼、悪魔なんて利益目的で近づいてくる人間がほとんど。
エルフは社会的地位はあんま高くないからそうでもないけど。
だから、わたしはただでさえ地位が高い鬼の中でも超位が高い酒呑童子ってことはばれたくなかった。
「あーいうのは出ないようにしないと…」
ぽつりとつぶやくと、また歩を進めるのだった。
なんと、花恋は酒呑童子の末裔でした!!これからどうなるのでしょうか?
次回にご期待ください!!
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それではまた!