file.3 足に巣喰う蜘蛛の廻廊
前回のあらすじ
室伏から護衛の依頼を受けた句崇刃たちは各々の似力を元に最終目的地である空港に向けて作戦を立てる。そして敵に情報を与えないためにも即断即決で行動したことで山道を通り空港につくことができた。空港でも敵に襲われたが返り討ちにして準備も整えてついに海外へ…とはならなかった、空港内で殺人事件が起こり出便ができなくなった。ここまでやる相手に対して句崇刃達は事件解決へ導けるのか…
句崇刃「おい!そういや室伏はどこにいったんだ」
引岸「そういえば、さっきまでみんなでいるところを確認したはずなのに…」
屋我利「まさかってことはねえよなぁ?」
からん「さっき確認した場所からあのトイレまでは10分かかります…確認した時間から考えても事件に巻き込まれたとかではないでしょうが…」
室伏「ん?どうしたんじゃ皆慌てて走りおって」
途中のターミナルの入り口に室伏が立っているのが皆の目にみえた
句崇刃「おま、なんでこんなところにいるんだ!」
室伏「ん?何を言ってあるのじゃ?ここのターミナルから飛行機が出るのであろ?」
引岸「お嬢様こそ何言っておられるのですか、私達の乗る飛行機が出るのはあっちのターミナルですし今は殺人事件でそれどころでは」
室伏「殺人事件んん?そんなものこの平和な空港で起こっ…て…るわ…け?」
屋我利「な!?どうしたんですかお嬢!」
室伏が急に床に倒れ込み動かなくなる
句崇刃「お、おい!!大丈夫か!」
引岸「お嬢様!一体どうなされたんだ!すぐに救急車を!」
そんな心配よりも先に室伏が立ち上がる
屋我利「お嬢!大丈夫なんでぃ?」
室伏「そうじゃよなぁ、ウチ達が乗るターミナルはあっちだし今は殺人事件でそれどころじゃないはずじゃ…」
からん「そのことを知ってるってことは記憶を失ってる?」
室伏「なんでこんな大事なこと忘れてたんじゃろ…」
句崇刃「これも敵の似力かなんかなのか?だとしたらマズイな…」
引岸「えぇ、相手は確実にお嬢様を狙って危害を加えてきてます、しかも私達に気付かれずに…」
句崇刃「とりあえず殺人事件を解決しないことには空港から海外に行くこともできない、トイレに向かうしかなさそうだ…」
〜句崇刃達事件現場に到着〜
からん「かだん!大丈夫だった?」
かだん「あっ、あぁアタシは大丈夫だ…」
事件現場には警察が数人きている…
夜鬼嶋「ん……あぁ君はよく胤波さんのところに顔を出してる」
句崇刃「夜鬼嶋さん、お久しぶりです」
かだん「句崇刃さん、この人は?」
句崇刃「あぁ、この人は夜鬼嶋 刃慣さん、元々名織事務所の警備隊長だったんだが今は胤波さん直属の警護をしてる警察署長さんだ」
夜鬼嶋「説明ありがとうございます、貴方は初めましてですね、よろしくお願いします」
かだん「よ、よろしくです…(綺麗なお姉さんだなぁ)」
からん「(もうかだんったら…)」
夜鬼嶋「フフ…私のことを綺麗ですか、ありがとうございます」
かだん「え!?そんなこと言ってないのに…」
句崇刃「相変わらず恐ろしいな、夜鬼嶋さんの似力は」
からん「どんな似力なんですか?」
夜鬼嶋「私の似力ですか?私の似力は鬼の硯といいます、能力は見つめている相手が隠していることを硯を削るが如く勢いで看破することができます。まあ隠し事の程度によって時間の変動があるので万能とはいえませんが…」
かだん「あのくらいすぐならけっこう凄い似力だな」
夜鬼嶋「お褒めの言葉ありがとうございます。とりあえず事件についてお話があるので君だけこっちにきてくれますか?」
からん「句崇刃さんは探偵ですもんね…事件解決に向けて頑張ってください、必要であれば私も力をお貸しします」
夜鬼嶋「捜査に必要であれば是非力をお貸しください、それでは事件現場にいきましょう」
〜事件現場への移動中〜
句崇刃「にしてもまさか師匠が現場に出てるところをついに目撃することになるとはな」
夜鬼嶋さんは俺の武術の師匠である、人格者で名織事務所の中でもTOP5の実力者である。こんな師匠を持てて俺も鼻が高い、ある一点を除いては…
夜鬼嶋「ねぇ〜刃ちゃん〜❤️最近配信してないじゃない、私寂しいわ〜」
それは俺と2人きりだとバカみたいに甘えた声と動作で擦り寄ってくることだ、どうやら俺の幼少期からかなり惚れ込んでおり、更に配信を始めた俺を見て症状が悪化したらしい
句崇刃「しかたねえだろ喧嘩も売られたししばらくは前みたいな更新頻度はできねえよ」
夜鬼嶋「まったく刃ちゃんの配信の邪魔するなんてとんだ女狐ですね〜今すぐ切り伏せてあげましょうか❤️」
全く女中のみんなが実は師匠が俺の配信の1番目のファンなんて知ったら戦々恐々だろうな…
夜鬼嶋「ねぇ〜刃ちゃん〜私の名前にも刃って入ってるのよ、こんなの最初から引き合わせてくれる運命だったのよね❤️」
句崇刃「とりあえずもう現場に着くから元に戻って、こんな姿俺以外に見せちゃ駄目だよ」
夜鬼嶋「え!?ひゃ、ひゃい…」
全く勘弁して欲しいものだ
〜事件現場〜
警察官「被害者は虚城かもめ 清掃員です」
夜鬼嶋「個室を清掃中に後ろから一突きされたような感じだな…それとは別で紹介しておこう、私の弟子の句崇刃君だ、優秀な探偵だから力を貸してもらうことにした」
警察官達は署長の弟子ということもあり興味津々のようだ
警察官A「正直捜査の腕より武道の実力が気になるくらいです…」
夜鬼嶋「句崇刃君はあの信館師範代にも稽古をつけてもらえるくらいの実力者だ、すごいんだぞ私の弟子は」
あ、さっき欲望を解放したからちょっとまだ欲漏れ出てるな
「あの師範代と!?」「なんて有資格者だ」「これでかいけつですねこの事件も!」
信館師範代は警察官の武道の手解きもしている、警察とヤクザが手を組む珍しい区だとよく周りから言われる
重要そうな警察官「それよりこの監視カメラを見てください」
その監視カメラには室伏カァトがトイレから出てくる映像が残っていた
夜鬼嶋「これは…」
句崇刃「これはいつ頃の映像なんだ?」
重要警察官「え?あぁ40分前ですけど…」
夜鬼嶋「40分前は室伏さんが何したか覚えてますか句崇刃君?」
句崇刃「あぁ…トイレから帰ってきて既に飛行機の準備もしてた頃だな、その後事件が起きた時に一瞬見失ってしまったがその後見つけて一緒にきたんだ」
夜鬼嶋「ちなみにどの出来事がどれくらい前なのか覚えていますか?」
句崇刃「トイレに行ったのが1時間前、集合したのが45分前、事件が起きて見失ったのが35分前だな」
夜鬼嶋「ちなみに見つけたのはどこでしたか?」
句崇刃「トイレがある方向のターミナルだな、中央の集合場所からそんなに遠くないところだ。しかもその時飛行機が出るターミナルがわかってなかったし殺人事件も起こってないと勘違いしていた後に倒れてからまた起き上がって記憶が戻っていた……何かしら事件に巻き込まれてるのは明白だ」
夜鬼嶋「ふむ…わかりやすく重要参考人ですね、私が直接話しましょう。君は他の乗客や職員に話を聞いてきてください、もしかしたら何かしらの似力で事件を行った挙句室伏さんに罪を擦りつけようとしてる可能性もあります」
うるさいgranny「ちょっと薄声で聞こえてたわよ!監視カメラに映ってたんでしょ!犯人に決まりじゃない!早く捕まえなさいよ!」
句崇刃「ッチお…」
夜鬼嶋がすばやくgrannyの手を握り…
夜鬼嶋「不安なのはわかります、この飛行機に乗って久しぶりにお孫さんと会う予定だったのでしょう。ですがこの事件は似力絡みなので正確に真実を出さねば被害が拡大するばかりです、でも安心してください!この私の弟子!石郡探偵事務所の句崇刃君が華麗に解決してくれますから!」
恥ずかしいからやめてほしい
句崇刃「grannyさん、すぐに事件解決するから信じてくれ(爽やかな笑顔)」
静かになったgranny「は、はい…わかりました(なんて精悍なイケメンなの…)」
〜ドタバタありつつ句崇刃捜査中〜
句崇刃「アンタはトイレの近くにいたらしいが誰か見ていないか?」
潤芽冰「事件が起こった時は少し遠くにいたんだけどあの子より前にトイレに入ったのは3人いたはず…」
句崇刃「1人は室伏って呼ばれてるアイツか?」
潤芽冰「そうだね、あとの2人はあの人とあの人かな…」
句崇刃「アンタはトイレに入ってないか?似力ももってないか?」
潤芽冰「ええ、映ってもないと思うわ、後似力は静電気を起こせる程度のものよ」
句崇刃「わかった、捜査協力感謝する」
〜次の人への聞き込み〜
句崇刃「アンタはトイレに入ったがトイレに入った時に怪しい人影とか見なかったか?」
絡目「いや、あたしがいた時はそもそも人1人見かけなかったねぇ…」
句崇刃「個室が閉まったりもしてなかったのか?」
絡目「あぁ、一つも閉まってなかったね」
句崇刃「いつ入ったか正確じゃなくていいから教えてくれないか?あと似力の有無についても」
絡目「大体事件前から50分くらいかなー55〜50分だとは思うよ、似力は閉まってる鍵を開錠する能力だよ」
句崇刃「捜査への協力ありがとう…」
〜最後の人への聞き込み〜
宴蔵「俺に聞きたいことってなんだぁ?気が立ってるから手短にしろよ」
句崇刃「いつトイレに入ったかと似力の有無をまずは教えて欲しい」
宴蔵「あぁ?似力だぁ?俺を疑ってんのか?」
句崇刃(はぁ…趣味じゃないが…)
句崇刃は目線を調節して言い放つ!
句崇刃「すみませんお嬢さん…怖がられたり疑われたりする気持ちはわかります。でも!俺は信じてますから、絶対に貴方は犯人じゃありません。すぐに疑いを晴らしてみせます!!」
宴倉「お!?おっおお、わかったよ、そこまで信じてくれるなら…(なんていいオトコなんだい…)」
句崇刃「トイレに入った時の時間と似力の能力だけでいいんだ、教えてくれないか?」
宴倉「あぁ、トイレに入ったのは1時間以上前だ、似力は壁などをすり抜けることができるんだ」
句崇刃「なるほど、トイレの中でなんかあったりとかはしなかったか?」
宴倉「あぁ…ちょっと気になることはあったかもな…」
句崇刃「どんなことがあったんだ?」
宴倉「トイレ中のちょうど真ん中ぐらいの時間に隣の個室から変な音がしたんだ…何かが崩れるような音だったような気はするが覗くのもと思ってその場は押し黙っていたんだがその後に事件が起こったから今は心底見なくてよかったと思ってるよ…」
句崇刃「いや、見てたらきっと大変なことになってたな…無事でよかった」
宴倉「あぁ、心配してくれてありがとな。こんなモンでいいか?」
句崇刃「あぁ、ありがとうすぐに事件解決するからな」
〜ある程度の捜査をして夜鬼嶋さんと合流〜
夜鬼嶋「刃ちゃ〜ん❤️ちゃんとお仕事してきたよ褒めて褒めて」
句崇刃「ありがとう夜鬼嶋さん、話してくれるかな?(頭をなでなでする)」
夜鬼嶋さんが捜査して得た情報は以下のことである
・室伏が記憶がない期間はトイレに向かう途中からターミナルで出会うまでである
・時間前に外にいた人によると屋我利さんがいた入り口は圧が強かったからなのか人の出入りがなかった
・職員の中で時間前にこのトイレに立ち寄ったものは清掃員以外いなかった
・トイレに入ったさっきの3人から被害者に関わる物などは出てこなかった
・トイレのドアノブに絡目の指紋がついていた
句崇刃「なるほど、確かにドアノブに触って解錠した可能性はあるな、でも被害者に関わるものは出なかったんだろう?」
夜鬼嶋「そーなのぉ、怪しいとは思ってるんだけどな〜」
句崇刃「とりあえずもう少し考えてみるよ、引き続き捜査頼むよ」
夜鬼嶋「はぁ〜い❤️」
〜変わって第一発見者かだんのところへ〜
かだん「おう句崇刃さん、取り調べ終わったよ」
句崇刃「お疲れ、そういや入り口には誰も入らなかったんだってな?」
かだん「まあ尋問してたしな、にしても屋我利さんはかっけーな」
句崇刃「ん?」
かだん「タバコ吸ってたんだけど吸い終わって箱にタバコがなくなったあとタバコと箱を握りしめた後しばらくしたら手元からなくなってたんだよ!箱に火をつけて無くしたんかなぁ、そんなマジックみたいなことしてたぜ」
句崇刃「………!ありがとなかだん!」
かだん「ん?どこいくんだ?」
句崇刃「夜鬼嶋さんとこだ、もうすぐ事件解決できそうなんでな」
〜夜鬼嶋さんのところへ〜
句崇刃「事件の概要、わかったかもしれねえ」
夜鬼嶋「さっすが刃ちゃん!教えて〜」
句崇刃が神妙に話す…するといつも2人きりだとふざけている夜鬼嶋がいつもの真面目な姿勢に戻る
夜鬼嶋「まさかあの人が事件に関わっているとは…」
句崇刃「あぁ…手を打ちたい、頼んでもいいですか師匠?」
夜鬼嶋「…わかりました、一芝居打ちましょう」
空港で起きた殺人事件の現場に向かおうとする途中で室伏を発見する。何故か記憶が曖昧で怪訝な状況になるが、事件現場にそのまま向かう。事件現場で師匠の夜鬼嶋
さんに出会い、トイレに入った人から聞き込みをして情報を得る。いろんな情報を集めるなか句崇刃はかだんがなんのなしに話したことから事件への手がかりを推理する。そして夜鬼嶋さんと一芝居うち事件解決ができるのだろうか…
画竜点睛・エスケープ file.finalに続く…
尖兵「ハイエンミュラー様ってキセルじゃなくてタバコ派なんですね」
ハイエンミュラー「あぁ、まえキセルにしてたら引火しちゃってさ、タバコにしたんだ。今のタバコはすごいよ、害はほとんどないし事故がないように箱も燃えないしね…ありがたい限りだよ」