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沙羅夢幻想~ さらむげんそう ~  作者: 梨藍
地上編 第八章【激戦Ⅰ】~信頼と裏切り~
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本当にもう、ひどいよな、姉ちゃんはっ!


―― メリッ!


って音が聞こえたのは、空耳じゃないだろう。それくらい勢い良く俺は頭から地面へ突っ込んだ。いや、突っ込まれた。


どうやら宮毘羅の攻撃から守ってくれたっぽいけどさ、でもさ、痛いものは痛いんだよ。更に凹むのは、何かうじゃうじゃと大量発生したダミー宮毘羅は攻撃すると爆発する。おまけに毒素を撒き散らすとか……もうホント、そのオマケいらないです。


お菓子のオマケな勢いで撒き散らされても、迷惑なだけだって。小さな親切にすらなってないよ!


「これぞ、“小さな迷惑 大きなお世話”だな!」


言いながら、宮毘羅へ攻撃は続ける。


「いや、“もう大きな迷惑 特大お世話”じゃねえか?」


辟易とした様子でそう応えてくれたのが戒都さんだ。


「戒都さん、うまいこと言うねえ!座布団100枚は硬いぜ!」


「いや、100枚積まれたら上に座れないからね?落ちちゃうからね?」


姉ちゃんのツッコミは相変わらず鋭いよな……なんて考えてる隙に、戦況は一変した。背後で凄まじい熱量を感じて思わず振り返る。そこには、真っ赤な炎の大きな鳥を従えた翠琉の姿があって。


「……迷いし御魂に今、道を示さん」


初めて会った時に見た術だ。……いや、出てきた大きな炎の鳥の纏う気は、この間の比じゃない。どこか恐ろしくも感じるほどの熱量は、だけど、絶対に俺たちを襲わないんだろうという安心感もあり、思わず見惚れてしまった。


けど、敵さんにとっては恐ろしいモノ以外、何ものでもない。最後の足掻きと言わんばかりに、醜達と骸骨集団が翠琉に向かって襲いかかる。でも、もう遅い。


「不浄を滅し、其の罪業を焼き払え!!!“劫火滅却”」


あの時と同じだった。周りを囲う全てのものが、一瞬にして燃やし尽くされる。

全部、浄化されたんだと、誰も何も言わなくても理解出来た。


そのままゆっくりと宮毘羅へと向き直る。凄惨で、どこまでも美しい浄化の炎は、まだ燻っていて。その炎を背後に、翠琉、白銀、周そして蕎が宮毘羅を見据える。俺と姉ちゃん、そして戒都さんも改めて宮毘羅へと視線を戻した。


俺達と同じく、その一連の炎に見蕩れていたらしい宮毘羅が、俺達の視線を受けてギリリと奥歯を噛み締める。


してやったりだ!これで……


「形勢逆転ね……」


姉ちゃんに、良いところを取られてしまった。


「ほんに、小憎らしい輩だのう」


宮毘羅達が口を揃えて言う。だから、キモいってば!


「だが、その小娘にもどれが我かは判るまいて」


翠琉に言いながら、また宮毘羅達の捨て身の攻撃が始まった。そりゃあ、捨て身にもなれるわな。だって、宮毘羅自身は痛くない。痛くないだけじゃない。ついうっかり倒してしまったら爆発して、毒素のカウンター攻撃が俺達を襲う。


……良く考えてみたら、俺達が圧倒的に不利じゃねえ!?形勢逆転してないよッ!だって、あっちは捨て身だから猛攻仕掛けてくるのに対して、俺達は相手が爆発しないように最小限の攻撃に抑えて、守りに徹しないといけない。


ってことはだ。翠琉も詠唱する暇なんかないし、作る余地も皆ない。現に、今の俺達は団体戦とか連携プレーを取れるじゃなかった。

 

いつの間にか、宮毘羅達に分断されてしまっていて……自分の身を守る事だけで精一杯だ。


「翠琉!大丈夫か?」


「由貴か」


敵さんを斬らない様に、十掬剣はしまって、素手で投げ飛ばし、薙ぎ払いながら何とか翠琉のところまでは辿り着いた。


ふう……母さんと姉ちゃんの荷物持ちで、良くデパートに行ってたけど……まさか、デパートで付けたスキルがこんなところで役に立つとはね!


ほら、バーゲンとかになるとさ、デパートとかって人でぎゅうぎゅう詰めになるじゃん。ああいう状態を上手に掻い潜りながら、はぐれた母さんと姉ちゃんに合流しないといけない事が多かったんだ。


丁度、宮毘羅が大量発生したこの状況は、デパートのバーゲンセールにそっくりだった。まあ、合流出来ただけで、全く何にも変わらないんだけどな。でもまあ、1人で防ぐより、2人の方がいいし。


お互いの背中を任せるように、宮毘羅達と向き合う。顔は見えないけど、多分今はしかめっ面の筈だ。声からそれが伝わって来る。


「こいつ等……気配が同じだ。ただの傀儡……ではないな。恐らく、術者の魂の一部が入っている」


まるで、そんな翠琉の言葉が聞えたかのように、対峙する宮毘羅が数体、ニヤリと縁だ。


「賢しい娘だな。そう……」

「我らは宮毘羅であって」

「宮毘羅に非ず」

「だがしかし、それが判ったところで」

「何が出来る?」


 ああもう何このステレオ効果!周りから声がグルングルン回るみたいに聞えて来るから酔いそうだ。


「ホント、何この不快なサラウンドはッ」


あ、姉ちゃんとも合流出来た。流石、バーゲンで狙った獲物(服)は逃がさない“バーゲンの鬼”っておばちゃん達に囁かれている(敦情報)だけの事はある。さしずめ今回の状況をバーゲンに見立てるとして、さしずめ俺と翠琉が狙いの商品ってとこなのかな?


……何て考えてたら……


―― ゴッ!


絶風爪で思いっきり殴られてしまった。


「痛いよ姉ちゃん!」


「はい馬鹿言わな~い。よそ見しないの!ほらッ!」


言いながら、俺の後ろの宮毘羅を蹴り飛ばす。今は俺、姉ちゃんそして翠琉の3人で背中合わせだ。


「しかし、これではキリが……」


「それ、私に案があるんだけど」


そう言って、姉ちゃんはとある作戦を俺達に言うと、次なるターゲットを定めて、宮毘羅の波へと消えていった。


「成る程、確かに……それが確実だな」


翠琉も納得したらしい。崇月を構える。


「とにかく……やるしかない」


俺も、十掬剣を構えた。



※※※※※


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