第5話 審判
その後、ギルバードを含めた四人は馬車に揺られ宮殿までやってきた。遠くから見ても強い存在感を放っていただけあって、間近で見るとその迫力はより凄みを
感じる。王都の東門から橋を渡り、入口に続く坂を上る。
中へ入り、ギルバードの案内で謁見の間へ移動する。想像していた通り城の内部は開放的で、全体的に天井が高い。部屋数やそこにたどり着くまでのルートも多く、誰かにガイドしてもらわなければ一瞬で迷子になってしまいそうだ。
謁見の間へは、緑豊かな中庭沿いの通路を進んでいく。その先にある大扉を開くと、そこは誰もが想像するような王の間としてふさわしい広々とした空間。通路脇に整然と並んだ兵士と気品あるお召し物に身を包んだギャラリーが複数。所謂、傍聴者というやつだ。この裁判を成立させる上で、彼らの意見は大いに参考になるだろう。既に役者は揃っている。
「例のお二人ですね。お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
部屋の奥にいる一人の女性。気品のある物言いでこちらに語り掛ける。
「私はこのラスタルティアの君主、イリーネ・ベルエッタ。話は侍従から伺っております」
しなやかなブロンドの髪をハーフアップにまとめ、頭には銀のティアラと豪華な刺繍や宝石が施されたタイトなドレス。よくイメージする宮廷貴族と思わしきその出で立ちと、その精悍な眼差しは統治者としての威厳と風格が見て取れる。
「えと、俺は……」
「こやつらは神聖な祭典の場を乱した不届き者! 生半可な処罰では到底収めきれん!」
言い終える前に、向かって左の侍従が怒号を飛ばしてきた。
「そうだ! 陛下に忠誠を示さぬ者があの場で剣を振るうなど、我ら誇りある騎士を愚弄したも同然! 迷うことはない、今すぐ打ち首にすべきだ!」
合わせるように右隣の兵士が声を荒げる。
……う、打ち首!?
そのとんでもない文言に思わず身がすくむ。
「静まりなさい!」
少し前の優し気な口調から一変。外野から飛んできた非難の声をベルエッタは一喝で封じる。
「確かに、彼らの言う通り。あの聖錬闘技場は騎士の誇りを示す神聖な場所。そこに部外者が土足で立ち入ったとなれば、この国の王として、相応の罰を与えなければなりません。ですが、彼らが痛手を負った若き騎士を守り抜いたのもまた事実。あなたは騎士ではありませんが、それに匹敵する行動を見せてくれました」
ベルエッタ陛下は、イチタ達の行為に対し肯定ともとれる意見を述べた。できることならば打ち首だけは勘弁願いたい。そう思いながら判決の時を待つ。
「陛下、それにつきましてこの男から話があると」
すると、ギルバードに促され後ろで待機していたリュドが前に出る。
「あなたは……」
リュドは女王陛下の前で深々と品のあるおじぎを披露してみせる。
「ベルエッタ陛下。まず、このような謁見の場を設けていただき感謝を。この場をお借りして、私から一つ陛下にご提案があります」
「提案?」
「申し遅れました。私は、王都第一区域にて、魔物討伐団・アスターのギルド長をしているリュドと申す者です。私の願いとしましては、そこのお嬢さんを是非アスターの一員に引き入れたいと考えております」
「現在アスターはその実績から王国非公認の立場にあります。ですが、直近では多くの実力者がメンバーとして次々に加わっている状況です。今彼らの力が重なれば、アスターとしてもより大きな成果が見込めるはずです。陛下が懸念されているであろう各地での魔物の増殖も抑えられるかと」
「……」
ベルエッタ陛下は無言のまま壇上を歩きながら、少し俯いた様子で何か考え込んでいるように見えた。
「処罰……のようなものではありませんが、もし二人が魔物と戦って死んだ場合。ある意味では、この国に対して誠意を示したことにも繋がるかと。それは騎士団の中で代々掲げられてきた騎士の誇りとそう変わりはありません」
リュドが意見を述べ終えると、横からギルバードが会話に入り込む。
「この者の言う通り、魔物は依然変わらず王都周辺区域に蔓延り、年々その数を増しております。ラスタルティアの魔物駆除に関しては、先代より我々ラドメッダ騎士団に一任されておりますが、各地での状況を踏まえ、僭越ながら陛下に今一度ご判断頂きたく存じます」
どういう風の吹き回しか、ギルバードはリュドの言い分を半ばフォローするかたちで女王陛下に最終的な決定を求めた。そして、ついに女王の口から判決が言い渡される。
「いいでしょう。ただし、条件があります」
女王陛下は少女を無罪放免にする代わりに、新たな条件を課した。
「近年、その数を増している魔物の発生源がどこにあるのか。種は限定しません。ラスタルティアの平穏を脅かす存在であれば、その全てを見つけ出しなさい」
「仰せの通りに」
「忘れてはいけませんよ。これはあくまで追加条件です。最終的な目的は魔物の根絶なのですからね。この国に迫り来る魔物を必ず討伐するのです」
「心得ております。女王陛下」
「では、本日より魔物の調査および駆除の任務の全てを、彼ら新生討伐団に一任いたします。そして、王国内全域はもちろんのこと、特別に例の北方禁足地へ踏み入ることを許可します」
「ありがたく存じます、女王陛下。必ずや、陛下のご期待に添える戦果をここに」
リュドは片膝をついて、握りこぶしを掲げると同時に女王陛下を見上げる。女王イリーネは彼の言葉に静かにうなずく。
「王都内の警備は、引き続き街の治安維持隊に」
「はっ」
イリーネの言葉に、兵士が覇気のこもった返事をする。
彼の匠な交渉の術により、全ての流れがとんとん拍子に進んでいく。イチタ達は釈放され、この場は無事丸く収まる……はずだった。
「納得できませんっ!」
突如、謁見の間に響き渡る声。皆の視線が声の主に集まる。
声を上げたのはイチタの丁度左斜め後ろにいる白い甲冑を着た一人の若い騎士。ぷるぷると体を震わせ、潤んだ瞳から己の信念が漏れ出ているようだ。
「おい、お前……」
隣にいるもう一人の騎士が荒ぶる彼の肩をがしっと掴んで制した。だが、それでも彼は止まらない。
「なぜなんですか! 陛下! この長い歴史の中で、ラスタルティアの平穏は我々騎士団が守り抜いてきました。それが騎士としての名誉であり、誇りです。今までも、そしてこの先も……それをどうして、このような訳の分からない連中に託すのですか?」
荒ぶる若騎士は、抑えきれぬ感情を胸に、目の前にいるイチタと少女を指さす。
「こらっ、口を慎め! 今は裁判の途中だぞ」
侍従の一人が騎士を怒鳴りつける。だが、若騎士は構わず思いを打ち明ける。
「僕はそんな騎士の高潔さに心打たれ、入団することを決意した一人です。陛下のご所望とあらば、喜んで命を捧げる所存です。それでもなお、我々ではなく彼らに任せるというのですか? お答えください。 陛下!」
「おいっ、誰かこいつをつまみだせ!」
すると、ギルバードが手を上げ、皆の注意を引く。一瞬、場が鎮まると、ゆっくりと興奮した若騎士の元まで近づく。
「君の言う通り。遥か古より、ラスタルティアから魔物を退けてきたのは我々ラドメッダ騎士団。それは間違いない」
「なら、どうして……」
白甲冑の騎士は少し冷静さを取り戻したが、腑に落ちないことに変わりはない。熱くなり過ぎた故、少し呼吸が乱れている。
「ただ、それも昔の話。既に魔物の活動領域は、既に我々の手の及ぶ範囲を優に超えてしまっている。無論、騎士である以上。他の誰かに自ら助けを求めることは決してない。だが、もうその時が来てしまった。今は魔物を狩ることのできる戦士達の力が必要。今日がその日だ」
「そ、それでも……」
「勇敢な騎士よ。君に問う。我々騎士団の使命とはなんだ?」
「それは……」
「我々ラドメッダ騎士団の使命……それはこの国を、そして騎士としての美徳と忠誠心を胸に陛下を守ることだ。今はただ状況を理解し、我々にできる最大限の事を成すことだ。それでもなお、君の言う、君自身の誇りを貫きたいのなら、それなりの意志をもって事に望め。私から言えることは、それだけだ」
ギルバードは最後にそれを告げると、その場から立ち去ろうとした。周囲が静寂に満ちる。彼のその一言で、若き騎士は深く俯きようやく理性を取り戻したかに見えた。
ーーカシャン。
皆の意識が去り行くギルバードに向いた刹那。カシャンと金属音がなる。音がさらに全員の気を引く。見れば、騎士の足元に一本のナイフが落ちていた。いや、この場合は彼が落としたというべきだ。
「そうか……それが君の答えなのだな」
ギルバートは顔を動かさず目だけ後ろにやると、少し悲しそうな口調で言い放った。
「おまっ」
彼を制していたもう一人の騎士が血相を変えてあたふたしている。それだけじゃない。場にいるほとんどの人が、彼の行動に何かしらの刺激を与えた。この状況にピンと来ていないのはイチタと少女だけ。
「え? なになに? 何事?」
「あの子、何か落としたよ」
意味の分からぬまま、周囲の反応を窺っていると、ナイフを落とした本人が口を開いた。その声には、わずかに震えが残っている。
「……拾って、ください」
誰も動かない。それならと、イチタが率先してそのナイフを拾いに行こうとすると、リュドが彼の肩を掴んで止めた。
「リュドさん?」
「そのナイフを拾うべきは君じゃない」
「え?」
「それは、彼女の役目だ」
そう言うと、リュドさんは後ろで呑気にあくびをしている少女をチラ見した。
「ん? なに?」
周りでそれを見つめる者以上に、肝心の本人はまだ状況がのみこめていない様子。きょとんとした表情で、イチタとリュドを見る。
それがどういう意味なのか。リュドは続けて説明を続ける。
「騎士の間では、古くからの風習だ。多くの場合、それは決闘の申し込みという意味を持つ。ナイフを投げた者が戦いを挑み、挑まれた者がそのナイフを拾うことで成立する」
「け、決闘!?」
それは何というか、あまり……いや、だいぶ穏やかではない。
「先程、魔物を倒したというそこのあなた。僕と勝負してください」
「ほら、来たぞ」
どういう訳か、リュドはどこかテンション高めでこの展開を楽しんでいる。イチタはというと、あまりに急すぎるもんでまったくついていけない。
「魔物を倒した彼女に勝てば、騎士の強さを証明できる。その意志は変わりません」
短い文言から、彼の相当な信念と覚悟が見て取れる。それを間近で目の当たりにした者全員。誰一人反対することはなかった。
そんな中、当の本人はどう考えているのか一応聞いておきたい。
「決闘だって。どうするんだ?」
「決闘……ってなに?」
「いやそこからっ」
少女はその意味をまるで理解しておらず、自分が戦いを申し込まれたことすら分かっていない様子。
「まあ要するに、あの人から勝負を挑まれたってこと」
「ふ~ん」
「ふ~んって……」
「だってあの子、魔物じゃないもの。別に戦う必要なんてないと思うけど」
「そうは言っても、向こうさんは納得しないと思うぜ」
少女の反応から、シンプルに興味なしといった感じだ。正直なところ、この勝負を受けること自体、彼女にとって何のメリットもない。
あまり乗り気でない少女に、リュドさんはある話を持ち掛ける。
「お嬢さん。もし、彼に勝利すれば、魔物を狩る機会は私の方からいくらでも手配しよう」
「ほんと?」
少女の目が、かすかな期待感を帯びたものに変わる。その目はこれから血を見ることなど知らない、小さな子がおもちゃを買ってもらう約束をした時のように、純粋で混じり気のない蘭々とした目をしていた。
「もちろんだとも」
「約束だよ」
リュドから提案を受けた少女は、騎士の方へ歩き出すと足元に落ちているナイフを拾った。その瞬間。しゅういから「おおっ」っと驚きの声が聞こえてくる。特に臆している様子もない彼女を見て、若騎士は眉間にシワを寄せた。
「素晴らしい。ラドメッダ騎士団の入団試験を突破した証であるその純白の甲冑。彼が相手ならば、今一度お嬢さんの実力を皆に知らしめる絶好の機会と言える。陛下、私も立会人として、この戦いを是非とも見届けたく存じます」
リュドは声高らかに、この決闘の流れを好機と捉えている。が、そこに侍従の一人が待ったをかける。
「ふざけるな。次から次へと勝手に話を進めおって。貴様らは本来ラスタルティアの伝統を乱した大罪人でありながら、その身に余る待遇を受けている。これ以上そちらの要求に付き合う義理はない。大体、小僧はともかく、そっちの女は騎士でもなんでもないだろう。神聖なる闘技場で剣を交えることなど断じて許されん」
侍従の姿勢は断固として変わらず、リュド申し出を突っぱねる。一方で、女王陛下はその提案についてすぐには答えを出さずにいる。
「陛下。いかがなさいますか?」
もう一人、向かって右隣にいる口ひげに赤いダブレットを着た別の侍従が女王に問いかける。その一言を誘い水に、彼女は答えた。
「分かりました。今回は特例として、そちらの剣士が闘技場に立つことを正式に許可します」
「なっ!?」
異を唱えていた左の侍従は女王の回答に目を見開き、開いた口が塞がらないままだ。
「ハンク、すぐに準備を」
「御意」
赤ダブレットの侍従は女王の命を受け、一度この場を去る。
「ダミン、何をぼんやりしてるの? あなたも急いで」
「へ、陛下……なぜあの女を闘技場に……」
「そうね。あなたの言う通り、あの子は騎士ではない。でも、先程討伐団の団長さんもおっしゃっていたでしょう? 彼女は、騎士と同じく国のために魔物挑む身であると。それなら、あの舞台に上がる資格は十分にあるのではなくて?」
「そ、それは……」
「無論、伝統やしきたりをないがしろにするようでは統治者としての示しがつきません。ですが、最後に物事のあれこれを決めるのは全て人々の心情だと……初代ベルエッタ王からの言葉です。私はこの女王として、この国のために命を尽くす彼の思いに報いてやる必要があります。今がその時です。彼らがラスタルティアのために相応の働きを見せてくれれば、私はそれでいいと考えています」
侍従はそれ以上何も言うことはなく、闘技場へ向かう二人を見届けた。イチタもまた、二人の決闘を見届けるため、リュド、そして王国関係者の皆々と共に闘技場へと移動した。
ルール上、決闘に用いる剣は公平を期すために、あちら側が定めたものを両者ともに使用する。少女と騎士は闘技場の中央に立ち、お互いに向かい合う。決闘は、どちらか一方が完全に戦闘不能になるのを勝敗の判断としている。
二人は剣を構え、開始の時を待つ。
「……始め!」
両者互いを見つめる中。リュドの合図で戦いがスタートした。開始早々、若騎士は少女を睨むような視線で捉えたまま、剣を構え一歩踏み込む。彼の堂々たる圧に対し、少女は特に応えることもなく、その場で立ち尽くしている。そんな少女の姿勢に、若騎士は少々荒げた声で焚きつけた。
「どうしたんですか? まさか、今更臆したとでも?」
少女は変わらず、棒立ちの態勢でいる。
「来ないのなら……こっちからいきますよっ!」
若騎士は剣先を少女に向けながら、威勢のいい掛け声と共に走り出す。間合いがぐっと縮まり、その第一打を少女に振るう。彼の剣身から繰り出される袈裟斬りを少女は上体を反らして難なくかわし、続いて放たれる二の矢、三の矢を流れるようによけていく。不思議なことに、少女は彼の剣撃を目で追うこともなく、絶えず視線を彼自身に向けている。まるで、どこから攻撃が飛んでくるのか、初めから分かっているかのように……。
「くっ……」
己の攻撃が悉くしのがれることを目の当たりにするや、若騎士の表情に少しばかりの焦りが見える。攻撃をしてはかわされるといった時間がそこから十数秒続き、ついには初撃に見せていたキレの良さもなくなってくる。ここまで費やしてなお、彼の剣は少女にかすりもしない。
「このっ!」
しびれを切らした若騎士は一縷の望みと、今までにない大振りな一撃を放った。それを見た瞬間、少女は彼の攻撃をくぐって回避すると目にも止まらぬ速さで背後に回った。騎士は一瞬取り乱したものの、視界から消えた少女を追って振り返る。
「しまっ!」
ーーガキンッ。
それはまさに、あっという間の出来事だった。振り向きざまに飛んできた刃を受け、騎士の剣が宙を舞う。直後、騎士の首筋にきっさきが伸びる。宙を舞った剣が地面に落ち、カランと虚しい音が場内に響いた。
隅でそれを見ていた衛兵達が、その圧倒ぶりに声を漏らした。
騎士は喉元に突きつけられた剣先を見て、ようやく自身の敗北を理解したようだ。
「……僕の負けです。終わらせてください」
騎士は小さく息をつくと目を瞑る。潔く己の負けを認め、トドメの一打に身をゆだねる。
だが、少女は彼の首から剣を引き、剣身を静かに鞘へ収めると、こう口にした。
「君は魔物じゃない。だから殺さない」
それだけ伝えた後、リュドの方を向く。
「これでいい? 審判さん」
「素晴らしい。見事な戦いだった」
リュドは拍手をしながら前に出る。言わずもがな、同じく二人の戦いを観戦していた上流階級の皆様方も、その実力を認めてくれたようだ。
裁判も終わり、全てのごたごたに片を付けたイチタ達は宮殿を後にする。去り際、騎士団団長のギルバードが入口まで見送りに来てくれた。
「これもお前の計算のうちか?」
「さぁ? どうかな?」
全て都合よく事に運んだ彼に対し、称賛とも呆れともとれる評価を下した。
「君の方こそ、こちらの考えに理を示してくれたことには感謝する。さすがはレーヴァテアの大参謀の異名を持つ男」
「その呼び方はよせ」
飾り立てたやり取りの中に、どこか旧友と再会した時のようなフランクさを感じる。この人達、一体どんな間柄なんだ?
「あの……お二人は、どのようなご関係で?」
「まぁ、所謂腐れ縁というやつでな」
「団長の立場があったからこそ、陛下にこちらの要望を通すことができた。改めて、こうして出会えて良かったよ」
「余計な一言で陛下の機嫌を損ねた場合、私が貴様の首をはねなくてはならなかった。慣れているとはいえ、この役割は時に窮屈に感じることがある」
ギルバードは少女の方を見る。自分から剣を取り上げようとした者を相手に、少女は警戒心マックスで彼を睨んだ。それを見て、ギルバードはクスリと笑う。
「その元気があるなら、もう任せても安心だな。さぁ、もう行け。お前といてまた面倒事に巻き込まれるのはごめんだ」
それだけ言い残し、ギルバードは宮殿に戻って行った。