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俺TUEEEをさせてくれ!!  作者: 茅岡 数珠(かやおか ずず)
3/7

第2話 最強の魔人?

・・・・・・・???・・・・・・・


後頭部に懐かしいような温かさが広がっている。


・・・まずは自己紹介をしておこう。俺の名前は「えんじ 勝覇しょうは」。訳あっていまは、村外れの森の奥にある廃村の一つに住んでいる。


人の吐息の音が聞こえる。穏やかな春の風のような優しい息遣いが一定のリズムである。


・・・そしてこれが今一番大事なことであるが、俺は【破壊の魔人】と呼ばれる、少なくともわざわざ国から冒険者が派遣されるほどには一般的に恐れられている・・・はずだ・・・。


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脳の処理が追いつかない。ゆっくりとこうなった経緯を脳の奥から掘り起こそうと試みる。―――


――― 〔風装:拳〕

腰に拳を据えて、引き絞る。

少女もこちらの攻撃に気づいたようで、瞳に困惑と驚きの色を写す。

「えぇッ  なにナニ何⁉︎」

少女は攻撃にやっと気付いたが、かろうじて取れた行動は、腰にある剣を構えるのではなく、この言葉を発するだけであった。

あの森の近くに女一人でいたことから、”(俺には到底及ばないが)実力者ではないかと多少疑ってはいたのだが杞憂であったようだ。

攻撃の射程範囲に入る。 

風装:拳は自身の拳を風で纏うことで、自身の拳を剣や防具から守ることに加え、周りの空気抵抗を限りなく無くすという効果もある。

確実にボディーブローが決まる。そう確信した刹那、首筋におぞましい寒気が走る。まるで研ぎ澄まされた刃物で首筋を撫でられているような感覚。

しかし少女の顔は依然、困惑と驚きの顔を浮かべている。


一瞬のまばたき。


気づけば、少女の右手は左腰に据えられた、長剣の柄に添えられていた。

スーと静かに、しかし素早く引き抜かれた刀身は人間とは思えないスピードで勝覇の拳に沿わされた。

ザリザリザリザリッ

風と剣がぶつかって起こる異音。少女は剣の腹で完全に勝覇の攻撃を受け流した。

少女が構え、攻撃を受け流すまでに要した時間、たったの二秒。

しかし勝覇が自分の攻撃を受け流されたと気づいたのはそれから更に0.2秒後であった。この人間離れした動きをする少女の前で、その0.2秒は遅かった。

気づけば剣の柄頭で顎を殴打され、勝覇は意識を失ったのである。



「なんだ・・と・・」

絞りだした声でそうつぶやく。

自身の回想で驚くのは今回が初めてである。

「うん?あっ。よかったー。起きてくれた。このまま起きなかったらどうしようかと思ったよ。ここに来て早々犯罪者になるかと思った。というか大丈夫?特に顎とか、頭とか。」

 澄んだ少女の声が少し早めの口調で耳に入ってくる。

よくしゃべるやつだ。最初の感想はこれだった。

俺はゆっくりと瞳を開けた。

そこにはすっとした輪郭に、大きめの黒目が光る顔が映し出され、夜空を思わせる少女の黒髪は風で青空に揺蕩っていた。

 ちなみに俺は絶賛、その少女に膝枕されている。

 顎のところに意識を向けると軽く鈍痛が響く。顎が腫れているようだ。しかし外れてはいない。どうやら最小限の力で俺の意識を刈り取ったということらしい。

 そんなんことがあの一瞬で可能なのか?

 しかもこの少女に。

 「ん?え?ほんとに大丈夫?もしかしてしゃべれないほど重症なの?」

 少女は何も言葉を返さない俺を見てさらに慌てる。

 「大丈夫だ。とりあえずは。・・・それより・・・。」

 俺は今から王都を破壊しなければならない。

 圧倒的な力で、絶望的な力で敵を蹂躙しなければならない。俺はこんなところで何をやっているんだ?

 沸々と自身への怒りが顎の痛みと共に湧き上がってくる。

 「それより、なぜ俺を殺さなかった・・・」

 「えっ・・・どうしたの?急に。」

 「お前は、俺に襲われた。俺はお前に敵意を向けたんだ。」

 「あー確かに急に襲ってきたね。びっくりしたよ。でもそれだけで殺したりしないよ。」

 少女は少し苦笑しながら答える。

俺の口調は少しずつ激しさを増していた。

 それは少女の発する言葉一つ一つが自分の考えを否定しているように感じたから。

 いやそもそもこの世界の感性とかけ離れているように思える。

 「お前は【破壊の魔人】を知っているのか?」

 「なにそれ?」

 「王都を破壊しつくすと予言されている魔に落ちた人間のことだ。」

 「ふーん怖いね。」

 少女はただただ世間話を楽しむように微笑みながらしゃべる。

 勘が鈍い女だ。

 俺はおもむろに少女の膝から立ち上がり、正座している少女の前に相対する。そこは少女の間合いの中である。

 「俺がその【破壊の魔人】だ。この国を脅かす極悪人だ・・・これを聞いたうえで・・・俺を殺すか?」

 俺がなぜ今このことを教え、少女にこの問いを聞くのか、自分でもわからない。ただどうしても聞かなくてはならないと思ったのだ。

 「ふーーーん・・・そうなんだ。・・・」

 少女は顔を曇らせた。

 (そうだそれでいい。人に心を許すな。警戒しろ。)

 この思いに気づき俺はやっと自身の先ほどの質問の意味を知る。自分自身の行動だというのにおかしな話だ。

 俺はただ〖俺の人生の選択〗を少女の行動・言動で否定されたくなかっただけみたいだ。

 つまり少女の黒い部分を見て安心したかったのだ。

 「お前は俺を殺しッ—」

 少女は俺の言葉を遮るようにまた微笑みながら俺の質問に答えた。

 「殺さないよ。君が何をしてそうなったのかは知らないけど・・・・・・・

 私には君がそんな極悪人には見えないもん。」


 

 ブチッ


 自身の何かが切れる音が明確に聞こえた。

 「お前はッ!俺が虫も殺せないような弱虫に見えるのかッ‼」

 俺は腹の奥から叫ぶ。

 「いや、別にそこまでは言ってな—」

 「覚えていろッ!俺はお前を倒す‼」

今度は俺が少女の声を遮るようにまた叫んだ。

 「お前の名前は何だ?」

 俺は少女をにらみつける。

 しかしそのにらまれている少女はというとただただ困った顔をしていた。

 「倒すって・・・まあいいか。私の名前はさかき 泉蘭せんか

 「俺は槐 勝覇だ。」 

 俺はくるっと踵を返し森に向かって歩く。

 顎はまだ痛み、若干のめまいも残っていた。

 今すぐに再度少女に挑みたかったが、あの強さを体感した後だ、このめまいでは到底勝てるとは思わなかった。

 (国を落とす前にあの女を倒す。)

 

 勝覇は闘志を燃やしながら、森の奥に消えるのであった。



今回もお読みいただきありがとうございます。第0話・第1話を昨日?(今日の早朝?)投稿して、今日第2話を投稿したわけですが、これは決して執筆スピードが速いからではなくただただ書き置いていた話のストックがこの三話分あったからです。そして残念なことにそのストックが今回で切れたのでまた書かねばならない(いわずもがな、書くのが嫌いというわけではない)ということで明日に投稿できるかは未知数です。そもそもこの話自体も更新は週一ペースにしようかなと思っているのでどうかお見捨てにならないようにお願い申し上げます。(※見捨てられる以前にブックマーク登録者すらいない(´・ω・`))

先に断っておきますが、私の小説では順当に話の話数が進みません。


〔作者ではない何か〕「てめぇらまともに話数が進むと思うなよ(/・ω・)/」

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