九話「鉄よりも強いモノ」
彼は私を見て大笑いしている。
「相方が弱ってるのを見て悲しくなったか?」
「うっさい、あんたなんか……私が何とかする。支羅雪姫〈しらゆきひめ〉!!」
雪が降り始める。全体的に寒い。
「うぅ……」
「ごめん、メアさん」
「鉄守兎〈てっしゅう〉」
鉄でできた兎が彼の周りで飛び跳ねている。私の技は無意味のようだ。どうしても勝てないのか?手足に冷たい物が触れる。
「動けなくしてエッチなことしてやるよ。この鉄でな」
「やめ……て……」
「メアさん!!」
彼女の弱っているところを見ると、私なんてどうでもいいのになんて思えてしまう。それでも助けて欲しい気持ちは高まってしまう。
「助けに来てよ、父さん……いつもこんなんだから」
「ママが呆れるって?」
バイクの音と共に、鉄の男は吹き飛ばされた。ヘルメットで見えないが、声からするとお父さんのようだ。
「ったく。何が何なんだか。よう、お前、いっちょ死んどくか?」
「お前は……」
「海塚幸平〈うみづかこうへい〉。こいつの父親であり、お前を殺すものだ。無厳喰管〈むげんくうかん〉」
男の後ろに黒い何かが出たかと思いきや、男の悲鳴と共に消え去ってしまった。どうやら、無事奴を倒したようである。