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六話「鉄を扱う男」
しばらくする間もなく、一人の男が運転席から出てきた。
「悪ぃな。俺、鉄扱えるから車うめぇんだけどよ、あんな眩しい光は辛いぜ」
「あら、相手に自分の能力を明かしていいのかしら?それともただの……」
メアさんが言い終わるまでに私たちの背中に打撃が起きる。その衝撃で寝そべった体を起こすと、私たちが先程まで乗っていたバイクが男の隣に置いてある。
「バカだ。だろ、お前らが」
彼の男はにこやかに微笑んでいる。
鉄……。
私の家に散らばっていたのも鉄だ。
「理沙ちゃん、平気?」
「私なら平気。でもそれじゃ、ダメなんだよね。血が出ないから」
「安心しな、血なら……あそこにある!!」
メアさんが指で示した場所、それはバイクだった。先程の銃声の時の血のことだろう。
「ごちゃごちゃうっせー。鉄台」
私たちの真上にどこから出てきたのか分からない鉄で出来た板が一枚私たちをめがけて落ちようとしていた。