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四話「血を吸う女」
バイクは道を沿いながら突き進む。それにしても車などの乗り物は私たちが乗るバイク以外は走ってない。しかししばらく走らせていると、私たちの前に六人乗りぐらいの自動車が現れる。
「いたわ」とメアさんはつぶやく。
バイクはスピードを上げて自動車に向けて走り込む。そのままいけば追い付けるところだった。銃声が鳴り響いた。
「痛っ」
言葉を発するメアさんの左腕には血が流れていた。
「メアさん……」
「驚かないで。こっちの方が私にとって好都合だから……血化道」
メアさんは指で漢字を書いた。自動車とバイクを繋ぐ赤い道が出来ていた。私は先ほどのノートに書かれた言葉を思い出す。
『……ただ血を扱う女は怖いってことは覚悟しとけ』
確かにそう書いてあった。つまり彼女が”血”の漢字を出せる筆術使いであるってことを教えたかったのだろう。ただこれはまだ自動車の足跡を辿る一歩に過ぎない。私も何か出来ないかと頭を巡らすのだった。