表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
翼の証明Ⅲ ~種の方舟~  作者: ニンジン
3/13

■第2話:新たな仲間 ~ a new party ~

New Cast リヨン=ドランク:ウィング族 アポロ=アルテミス:リース族 ジル=ゴート:ガオン族 レイア=ストラウス:カモイ族

ジニー 「これは、一体何ですか?」 

ジニーが丘の反対側で見たものは、大きな木組みの車輪が4つ付いている荷車のようなものだった。荷車といっても、正面は頑丈な鉄の板で覆われており、鉄の板や車輪には無数の槍のような棘がついていた。そして、あるゆる場所にいくつもの長い筒がついていた。筒はどうやら火薬銃のようだ。

シュウト 「こいつはな、『チャリオット』って言うんだ。俺の得意な科学の第一歩目さ。今思えば、間違った方向に進んだ第一歩目なんだけどな・・・。」

静かな草原の中では、重装備をまとったチャリオットは異様な空気をまとっており、恐ろしいまでの存在感をみせていた。

シュウト 「そして、第二歩目として、『デンキ』を説明するぞ。このハンドルをぐるぐると回すと、この箱にデンキがたまる。簡単に言うと、車輪を回す力をためておいて、ここを押すと勝手にチャリオットが前に進むんだ。車輪もこれだけ大きいから、多少の荒い道でも問題なく進んでいけるぜ。」

ジニー 「す、すごい。ふむふむ、なるほど。」

シュウト 「でもよ、ジニー。何歩目だろうと人間の使い方ひとつで、それが正しかったか、そうでなかったかが決まっちまうんだ。例えば、小型のサンドワームに襲われた場合、わざわざ銃で殺さなくても、コイツで突進すれば弾き飛ばして逃げられる。ま、長距離を行くのにもう少し改良が必要だがな。」

ジニー 「そんな改良なんて、できるものなのですか?」 

シュウト 「ああ、俺達エイプ族には発明家が多くてな。というか、人間の創意工夫ってのは無限なんだ。ああしたい、こうしたいって思っただけで、時間がかかるかもしれねえが、大体のことは実現しちまうもんなんだ。だがな、ジニーよ。何度も言うが使い方を間違えるんじゃねえぞ。その背中の筒も話の通じない相手のための、あくまで護身用だ。このガイアにはサンドワームのような喋れない化け物達の他に人間に危害を加えることができる者がいるとすれば、それこそ人間だよ。結局のところ、恐ろしい敵となるのは、お前がさっき言ったように人間なんだ。」

ジニー 「まるで何かを見てきたように言いますね?」

シュウト 「まぁ、長生きしているとさ、いろいろ経験したんだよ。」 

ジニー 「・・・。」


シュウト達のいる場所からそう遠くない場所に、見慣れない4つの人影があった。

男 「ふんふんふ~ん♪」

女 「ちょっとアポロ、レイアの歌が聴こえないじゃない。アンタは音痴なんだから歌わないでよ!」

車椅子を押している大柄の女が、気分良く鼻歌を歌っている男に文句を言った。女は体が大きく、口からは灰色の牙が見えている。

アポロ 「ああん?なんだとジル!」 そう反論した男の尻には長い尾があり、その色は灰色であった。

ジル 「音痴だって言ってるのよ!」

アポロ 「ふん!お前には音楽ってものがわからんのだ。だいたい、なんでガオン族(有牙人種)となんか一緒に行動しなければならないんだ。」

ジル 「はぁ?こっちだってお断りよ!これだから自分勝手なリース族(有尾人種)は嫌なのよね。ねぇリヨン、あんたも迷惑でしょう?」

リヨン 「ちょ、ちょっと、ケンカしないでよ!あーもう、仲が悪いんだから。」 背中に灰色の翼をもつリヨンが喧嘩を止めに入る。

レイア 「ふふふ。皆で歌いましょう?リヨンさん、そのミトラさんの笛、早く吹けるようになってね。」 車椅子に乗っているレイアは体が小さく、手の先には濃い灰色の爪が生えていた。レイアは足が悪かったが、かわりに美しい歌声を天から授かっていた。

リヨン 「4本指じゃ難しいんだよね・・・。」 そう言葉を漏らすリヨンは、妹のミトラからレイアの歌の伴奏用に笛を渡されていた。

ウィング族(有翼人種)のリヨン、ガオン族のジル、リース族のアポロ、そしてカモイ族(長爪人種)のレイアの4人は、奈落の近くに住むというノーム族に会いに北のブレメン自由都市からやってきたのだ。4人は歌を歌いながら歩き、もう少しで奈落の入り口というところまできていた。


シュウト 「ん?なんだぁ?変な歌が聴こえるな?ノーム族の皆は何を呑気に歌っているんだよ。」

ジニー 「ノーム族達じゃないですよ。でも、いい歌声ですね。」 

シュウト 「ああ、歌なんて久々に聴いたぜ。ちょっくら双眼鏡を貸してくれ。」

ジニー 「はいどうぞ。危険な匂いはしませんが、複数いるようで、いろんな匂いがしますね。」

双眼鏡は元々シュウトの持ち物であったが、ジニーはサンドワームを探すためシュウトに借りていた。ノーム族は、ディアの届かないような暗い場所で生活し、明るいところでの視力がほとんど無い。そのかわりといってはなんだが、ノーム族は非常に鼻が利き、何者かが近づくのをいち早く察知することで外敵から身を守っていた。シュウトはジニーから双眼鏡を受けとり、急いで覗きこんだ。翼のあるウィング族と、体の大きなガオン族、尾のあるリース族と、よく見えないが小柄な種族もいるようだった。

シュウト 「む、なんだありゃ?おいおいおい、いろんな種族がいるじゃねえか。まるでお祭りだな。」

ジニー 「やはり危険な感じはしませんが、他種族の集団ですね。何が目的で奈落の近くまで来たのかわかりませんが、警戒したほうが良いでしょう。」

シュウト 「でも、まっすぐとこっちに来るぜ。」 

ジニー 「この辺にはノーム族の村しかありません。ノーム族に用でもあるのでしょうか。私達の大切な地中ドーリアを力づくで奪いにきたというのなら、早々に帰っていただきますがね。」

シュウト 「う~ん。そんな感じの雰囲気でもなさそうだけどな。」

ジニー 「私が代表して行ってきましょう。シュウトさんは私に何かあれば、そのチャリオットでノームの村を守ってください。約束ですよ。」

シュウト 「おいおい、俺が行くよ。」

ジニー 「いえ、私が行きます。仮に、話の通じる相手だったとしても、調子のイイあなたじゃ信用されないでしょうからね。」

シュウト 「そりゃないぜ相棒?」

ジニー 「そこが調子のイイところなんですよ。無駄に刺激しないよう、銃は置いていきます。」 ジニーはそう言うと、シュウトに貰った銃を背中から降ろして4人のいる方向へ歩いていった。

シュウトはチャリオットを大きな布で隠して、これを使うことがないよう心の中で願ったのだった。


リヨン 「あ、あそこ、誰かこっちに来るよ。あの小柄なのはひょっとして・・・。」 リヨンは小柄な人間がこちらにやって来るのを見つけた。

レイア 「あ、あれがノーム族ね。」

ジル 「ずいぶん小さいわね。」

アポロ 「お前が大きすぎるんだろう。頼むからむやみに相手を威嚇するなよ。」

ジル 「なんですって?口だけの臆病者は下がってなさいよ!」

アポロ 「な、誰が臆病者だと!」

リヨン 「もう、2人とも!いい加減にしてってば!」

ジニーは騒いでいる4人の目の前までやってきて彼らに話しかけた。

ジニー 「やぁ君達、一体何をしにここへ来たんだ?」 

アポロ 「よう、ちっこいの!ノーム族だろう?お前の村はどっちだ?ちょっと聞きたい事があるんだけどよ。」

ジニー 「むっ、ずいぶん失礼な言い方ですね。私の村に何の用ですか?場合によってはこの場で引き返していただきますがね。」

ジル 「何よ、アポロも失礼だけど、あんたもちっこいくせに偉そうなのね。だったら力勝負で負けた方が言うことをきくってのはどう?」

リヨン 「ちょっと2人とも、少し黙っててよ。(ガオン族もリース族もどうしてこうなのか・・・。)」 リヨンは頭を抱えている。

レイア 「こんにちは、私はレイア。あなたはノーム族ね?ノーム族って賢くて勇敢って聞いているわ。一度会ってみたかったのよ。」

ジニー 「おや、あなたはカモイ族ですか・・・?」 


数分後-。

ジニー 「シュウトさ~ん、いい人達みたいです。」  ジニーは4人を連れてシュウトのところに戻ってきた。

シュウト 「あれ?ずいぶんあっさり話がついたじゃねえか?ってお前、何でそんなに機嫌がいいんだよ?」

ジニー 「機嫌がいい?そんなことないですよ。さぁさぁレイアさん、私の村はこちらですよ、長老に会ってください。ジルさん、車椅子は私が押していきましょう。さぁ代わってください。レイアさん、お腹が空いていたら地中ドーリアを食べていってくださいよ!」

シュウト (ははあ、なるほどね・・・。地上世界の平和ってのは案外簡単なものなのかもな。・・・ったく、どっちがお調子者だってんだよ。)

シュウト 「俺はシュウト、エイプ族だ。今はノーム族の村で世話になっている。」

リヨン・アポロ・ジル 「よろしくお願いします。」「よろしく。」「よろしくね。」

シュウト (ま、みたところただの旅人みたいだし、危険な奴らじゃないみたいだな。それにしても、これだけの他種族の集まりは興味が湧くな。チャリオットの準備を中断して、俺も村で話を聞こうじゃねぇか。)

一行はノーム族の村へ入ると、来客用の小屋に入っていった。小屋といっても6人全員が入っても狭くない程度の広さだ。そこに長老のケルンも加わり、皆で話を始めたのだった。


リヨン 「・・・というわけなんです。」 リヨンはこれまでのいきさつを手短に語った。

ケルン 「なんと・・・。」 ひととおり話を聞いた長老ケルンは静かに呟いた。

シュウト 「ふぅん、ブレメン自由都市でそんなことがね・・・。」 黙って話を聞いていたシュウトも何かを思い出すかのように呟く。

ジニー 「なんてことだ・・・。魔の胞子なんてものがそこらじゅうを飛びまわっているだなんて。」 ジニーは天を仰ぐ。

ケルン 「このあたりのサンドワームが凶暴化したのは、きっと魔の胞子とやらのせいなのだな。」

ジル 「きっとそうね。こうしている間にも少しずつ魔の胞子は増えていっているかもしれないわ。」

アポロ 「ああ、急いだほうがいいみたいだな。」

ケルン 「話はわかった。お前さん達の目的は魔の胞子の拡散を止め、食糧となるドーリアの種を探すことなのだな?食糧となるドーリアの種に関しては、どこに行けば手に入るか我々にもわからんが、魔の胞子の正体に関しては、ここより南、人の踏み入らない『大樹海』へ向かえば何かわかるかもしれん。」

レイア 「大樹海?」

ケルン 「そうだ。様々な植物が原生し、人間のような生き物がいないと言われている場所だ。」 ケルンは少しためらったあと、次のように言った。

ケルン 「ちょうど、シュウトさんとジニーに行ってもらうところだった。」

リヨン 「そうなんですか?それなら僕らもそこへ行ってみます。シュウトさん、よければ僕達と一緒に行きませんか?」 リヨンはシュウトとジニーに話しかけた。

シュウト 「・・・ああ、長老の言うとおり、俺達も行くつもりさ。だけど、お前さん達と一緒に行く理由はねぇな。途中で凶暴化した生き物に襲われる危険性もあるし、全員守ってやれる保証はない。賢い俺達に任せて、とっとと引き返したほうが身のためだぜ。」 

ジニー 「・・・私もシュウトさんと同意見です。」

シュウトもジニーも見ず知らずの大所帯で長距離を行くことの危険性と、いざというとき仲間割れしないかを考えたのだった。

アポロ 「・・・まあそうだな。俺達も勝手に行くつもりだったし、大樹海の話だけでも聞けてよかった。」

ジル 「そうね。友達でも仲間でもないんだし、一緒に行く理由もないわ。」

リヨン 「一緒に行く理由ね・・・。(シュウトさんは5本指のエイプ族なのか・・・。ウィング族とは背格好も似ているけど、5本指のウィング族、『バート』とは関係ないんだろうな。直観的になんだか他人に思えなかったんだけど、やっぱり種族が違うと簡単には信用してもらえないのか。ましてや一緒に旅をするんなんて、なかなか受け入れてもらえないのが普通だよな。)

皆が黙ると、ケルンが皆の灰色の体の一部を見て、また静かに口を開いた。

ケルン 「・・・かなり前の話だが、奈落を抜けて南の果てに行くという2人のホーン族(有角人種)の男女がこの村にやってきた。男の方の角は灰色だったことを覚えている。」 

ジニー 「ケルン長老?」

ケルン 「その者達の話を聞いて、我々ノーム族もできるだけ協カしようと思った。ガイアに住む人間を食糧難から救う研究をしていると言っていたからだ。ワシは奈落の入り口の先、大樹海の入り口まで案内してやった。」

シュウト 「ほう・・・。」

ケルン 「しかし、結果は駄目だったようだがね。数日後に、まるでこの世の終わりを見てきたかのように絶望の顔をした男と、自分が誰かもわかっていない錯乱した女が帰ってきたよ。どうやら大樹海の中心地まで行くことができたようだが、男は村の入り口で気を失ってしまい、詳しい話は聞けなかった。我々には彼らを助けるすべがなかったから、そのまま荷車に乗せてブレメンの近くまで送り届けたよ。その後、その者達がどうなったかは知らん。」

ジル 「それってもしかして・・・。」

アポロ 「たぶんアカデメシアの奴らだな。」

ケルン 「彼らを知っているのか?まぁ、彼らが生きていて、ガイアのために研究を続けていることを祈るよ。」

リヨン達 「・・・。」

ケルン 「ところで・・・、我々の案内無しでは大樹海への入り口を通れんぞ。光の届きにくい崖に挟まれた暗がりの中、迷路のようになっておってな、土に詳しい者がいなくては抜けられない。ジニーとシュウトさんの2人で行ってもらおうと思っていたが・・・。」 

シュウトとジニーは黙って聞いていた。

ケルン 「だが、これも運命かもしれんな。これから君達が行こうとしているのは、魔の胞子が飛び交う大樹海だ。普通の人間だったら正気を保っていられるかどうかわからん。」

リヨン 「普通の人間だったら・・・?」

ケルン 「君達の体の一部が、普通の色をしていたら、やはり行くべきではないと言っただろうな。しかし、こんなにも体の一部が灰色の人間がそろうことがあるだろうか。ワシはノームの神の導きのような気がしている。」 

皆 「・・・。」 それぞれは自分達の灰色の体の一部を確認した。

リヨン 「たしかに僕らは少しだけ魔の胞子に耐性があるみたいなんです。」

ケルン 「やはりそうか。確かに、灰色の角の男は錯乱まではしていなかったからな。」

ジニー 「シュウトさん、彼等と一緒に行くのはどうでしょうか?大樹海には何があるのか私にもわかりません。」

アポロ 「今の話を聞くと、俺達だけで行くのは難しそうだ。ノーム族に道案内をしてもらえるなら願ってもない。」

ジル 「それに別に守ってもらう必要はないわ。私達だって戦える自信はあるんだから。」

ケルン 「・・・どうだね?シュウトさん。」

シュウト 「・・・わーかったよう。ちょいと大所帯だが、仲間は多い方がいいって言うしな。」

リヨン 「ありがとう!よろしくお願いします。」

シュウト 「よろしくな。(まったく、あの時を思い出すぜ。)」

リヨン 「大樹海か・・・。ケルン長老、どれくらい歩けば中心地へ着くのか想像がつきますか?」

ケルン 「正確にはわからんが、あのホーン族の男が中心地に行って戻ってきたとするならば、ちょうど出発してから6日後・・・。」

アポロ 「少なくとも片道3日はかかるってことか・・・。」 

レイア 「3日も・・・。そんな遠いところじゃ、私の足じゃ無理だわ。車椅子をずっと押してもらうのだって悪いし。」

レイアはブレメンから元気よく出てきたものの、これ以上車椅子で長距離を行くのには皆に迷惑がかかると思っていた。

ジル 「そんなの気にしないでよ。レイアの歌が聴けて嬉しいんだからさ。」

リヨン 「そうそう。なかなか笛が上手くならないから伴奏がみっともなくてゴメン。」

アポロ 「それに、ダンテにはレイアを守ると約束したしな。」

レイア 「皆、本当にありがとう。でも、皆とここまで一緒に旅ができて私は満足よ。旅の歌も沢山作れそうだし。」

リヨン 「でも、ブレメンに戻っても路地帯も混乱しているだろうし、しばらく歌を聴くっていう雰囲気でもないんじゃないかな。」

レイア 「実は私、父からよくノームの神の話を聞かされていて、信仰深いノームの村の人達と話してみたいと思っていたの。もちろん、お邪魔でなければだけれども・・・。」

ケルン 「それならばワシらは歓迎するよ。カモイ族は親戚みたいなもんさ。」

レイア 「ありがとうございます。皆を楽しませることができそうなのは私には歌ぐらいしかないけれども、聴いてもらえるかしら。」

ケルン 「ほほう、それは楽しみだわい。歌なんて何年ぶりかのう。」

レイア 「皆、ここまで勝手について来て本当に申し訳ないけど、あなた達の帰りをここで待たせてもらってもいいかしら。」

リヨン 「いいとも。」

ジル 「寂しくなるわね。」

アポロ 「すぐに戻ってくるさ。」

リヨン達は、レイアをノームの村に残していくことにした。大樹海へと向かうメンバーはリヨン、アポロ、ジル、シュウト、ジニーの5人となったのだった。

リヨンは最も心配している点をシュウトに尋ねた。

リヨン 「シュウトさん、大丈夫でしょうか。」

シュウト 「リヨンって言ったっけか?シュウトでいいぜ。何を心配しているんだ?」

リヨン 「食糧ですよ。6日分のドーリアは無いし、これ以上先に進んでも調達できるかどうか。ドーリア探しなら得意だけど、見知らぬ土地では全然見つからないかもしれない。」

シュウト 「ああ、それなら心配するな。ちょっと待ってな。」 

シュウトは皆を村の前で待たせると、例のチャリオットに乗って戻ってきた。

アポロ 「な、な、なんだこれは!?」

ジル 「荷車のようだけど、行商人が使うのよりずっと大きいわ!」

リヨン 「す、すごい。」

シュウト 「これなら食糧や水を積んでどこまでもいけるぜ。俺にはもともと少し蓄えがあるし、食糧のことならケルン長老に話をつけてある。」

ジル 「ケルン長老に?」 

ケルン 「ほぇ?ワシ?」

シュウト 「ガイアの危機を救うかもしれないってんなら食糧はいくらでも惜しまないってさ。なっ、長老?」

ケルン 「う、うむ。(そこまでは言ってないないんだがなぁ。ここで気前が悪いのもノームの神の罰があたりそうだしな、まぁよいわ・・・。)」

シュウト 「そんでもってサンドワームのような化け物に襲われても大丈夫なように武器もあるぜ。荷台には護身用に火薬を積んでるんだ。さ、乗ってみな。」

リヨン 「人間も乗れるの?すごいや!」 

シュウト 「ああ、リヨンやジニーは軽いから大丈夫だろう。ま、お前さんの場合、いざって時には飛んだ方が速いだろうけどな。」

リヨン 「ありがとう。」 

ジニー 「全員は乗れませんね。重たすぎる。」

ジル 「失礼ね!誰が重たいですって!?」

ジニー 「い、いや・・・、そういう意味じゃないですよ!?」

アポロ 「俺は歩くからいい。これだけの大きな荷車を動かすにはかなりの力を消耗するんだろう?基本的には自分達の足で歩いた方がいいはずだ。」

シュウト 「よくわかってるじゃねぇか。さすが火薬を使いこなすリース族だな。よし、もう少し準備するから、あと半日ほど待ってくれ。」


次の日の朝-。村の前でケルンとレイアが5人を見送る。

ケルン 「きっと険しい道のりになる。お前さん達、この先の試練を乗り越える覚悟はあるのか?」

リヨン 「試練なんて大げさな。でも、放っておいてもきっと、風と一緒に暮らす僕達ウィング族は魔の胞子の被害を真っ先に受けることになるから。」

アポロ 「俺達は長いこと過酷な砂漠で生きてきた。これしきの旅で音をあげる種族と思ってもらっては困るな。」

ジル 「ここで引き返したって状況は良くならないわよね。魔の胞子の飛散を止めるまでは私も村に戻るつもりはないわ。」

ジニー 「皆さん、それぞれ種族は違いますが、覚悟は同じということですね。行きましょう。」

レイア 「皆、歌で見送るわ。旅人の幸運を祈る魔除けの歌よ。」

リヨン達 「ありがとう、行ってくるよ!」


♪星はきらめき 神より恩恵をあずかり 大地を照らす光の雨 はてない未来へ祈り 種族はひとつ 遠くまで 彼らは新たな旅人よ

星はまたたき 尊い運命をさずかり 大地に根差す希望の種 まばゆい未来へ願い 歩みを止めぬ 遠くまで 彼らは新たな旅人よ

さぁ一歩踏み出し 明日へと広がる 昨日とは違う景色 勇ましき者に ただ繰り返す日々は来ない 逞しき者に また振り返る意味などない♪


ケルン 「ジニーよ・・・。新たな仲間とともに頑張るのだ。運命はノームの神とともにある。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ