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第73話 苺のスポンジケーキ

 ケーキと一口に言っても色々あるが、俺が作ろうと思っているのはスポンジに生クリームをたっぷり塗ったオーソドックスなものだ。

 やっぱり生クリームを使ったケーキが一番ケーキらしいって思うからな。

 さあ、作っていくぞ。まずはスポンジからだ。

 ボウルに卵を割り入れて、砂糖を加えて湯せんにかけながら砂糖が溶けるまでよく混ぜる。

 砂糖が溶けたら湯せんから外し、泡立てていく。持ち上げて一瞬止まってから落ちるくらいの状態がベストだ。

 泡立ったら小麦粉を加えてさっくりと混ぜ、溶かしバターと牛乳を加えて混ぜる。

 混ざったら鉄板の上に丸く載せていく。本当は型があればいいんだけど此処にはないから、何となく丸いかなって形になればいい。

 生地を載せたら、火を入れて熱しておいた石窯で焼く。時々具合を見ながら焼いていき、焼き上がったら石窯から出して冷ます。

 次にホイップクリーム作りだ。

 此処で必要になるのが──

「リベロ、ちょっといいか?」

「うん、何?」

 訝る彼にボウルを差し出して、俺は言った。

「この中に氷魔法で細かい氷を出してほしいんだけど……」

「あー、ごめんよ。氷魔法は僕苦手なんだ。シルキー、代わりにお願いしていい?」

「はい」

 シルキーは受け取ったボウルに手を翳して念じ、大量の氷を作ってくれた。

「どうぞ」

「ん。ありがとな」

 氷を入れたボウルに水を注いで氷水にしたら、生クリームと砂糖を入れた別のボウルを当ててホイップクリームを作っていく。

 ホイップクリームができたら、冷ましておいたスポンジを半分の厚さに切って、砂糖を湯に溶かして作ったシロップを塗り、生クリームと半分に切った苺を挟んでいく。

 しっかりと中身を挟んだら全体に生クリームを塗って、てっぺんに苺を飾り付けて完成だ。

 此処までの所要時間はおよそ二時間。

 菓子作りは工程を説明するのは簡単だけど、実際に作ると時間がかかるものが多いな。

 だからこそ美味いんだけどさ。

「この前作ったムースケーキとは違うね」

「ケーキには色々な種類があるぞ。使う果物によっても味が変わるし、食ってて飽きない料理だと思うよ」

「マオ……これ」

 何かを期待する眼差しでこちらを見つめてくる皆に、俺は苦笑を返した。

「これは晩餐会に出すデザートだからやらないぞ」

「うん、分かってるんだけど……ね?」

 ことりと小首を傾げて俺の目をじっと見つめてくるリベロ。

 全く、何でそんな何かを強請る子供みたいな目で見てくるかな。

 ああもう、と俺は冷蔵庫にケーキをしまいながら声を上げた。

「分かった分かった、今度同じの作ってやるから!」

 俺の言葉に料理人たちの間から歓声が上がった。

 シーグレットもこちらの遣り取りに耳を傾けているが、彼もケーキを食いたいのか会話を諌めようとする気配がない。

 本当にもう、自分に正直な連中だな。

 俺は腰に手を当てて時計に目を向けた。

「ほら、昼飯作るんだろ! ケーキのことは忘れて動けよ!」

「はーい」

 冷蔵庫の前に集まっていた皆が俺の一言で各々の持ち場に散っていく。

 こりゃ、近いうちに作ってやらないと駄目だな。約束したのにってせっつかれそうだ。

 溜め息をつきながら、俺も昼飯作りを始めるべく自分の持ち場へと戻ったのだった。

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