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第49話 ブラッディファングのバターソテー

 捌いてもらって綺麗な白身になったブラッディファングを受け取り、俺は調味料の準備をした。

 酒。醤油。みりん。魔王が日本から召喚した調味料が大活躍だ。

 これらの調味料を混ぜ合わせ、摩り下ろしたにんにくを加える。

 この合わせ調味料が魚に合わせるタレになるぞ。

 タレを作ったらいよいよ魚の調理だ。

 魚の切り身に塩と胡椒を振り、小麦粉を薄めに付ける。

 フライパンに油をひき、切り身を焼く。焼き色が付くまでしっかりと焼くのがベターだ。

 色が付いたら身をひっくり返し、バターを加えて更に焼いていく。バターを入れると焦げやすくなるので注意して焼くこと。

 焼き色が付いたら、先程作った合わせ調味料を加えて、身によく絡めて出来上がりだ。

 ブラッディファングは脂がない魚だっていうけど、バターを加えてあるからさほど気にはならなくなっているはずだ。

 魚を皿に盛り付けて、タレを掛けてシーグレットに出してやった。

「これで完成。バターソテーだ」

「バターとガーリックの匂いがするな」

 皿を覗き込んで鼻をすんすんと鳴らすシーグレット。

 棚からフォークを取り出して、魚をつんつんとつついた。

 一口サイズに切り分けた切り身を口に運び、ゆっくりと咀嚼して目を閉じる。

 ふーっ、と鼻から息を吐いて、言った。

「……美味い」

 驚いたように身を噛み締めながら、皿に目を向けた。

「バターとガーリックが香ばしいお陰でブラッディファングの淡白さが気にならねぇ。パンか米が欲しくなるな」

 そうだろう。バターとにんにくのコンボはパンチが効いていて美味いんだよ。

 このレシピは大抵の白身魚に有効だから、簡単に調理したい時にはお勧めの料理法だ。

 異世界の魚だから変な癖とかあるんじゃないかって心配してたけど、大丈夫だったみたいだな。

 喉をこくんと鳴らして、リベロが手を挙げた。

「ねえ、料理長。僕にも味見させてくれないかな?」

「いいぞ」

 リベロは魚を控え目に頬張って、口元に手を当てて皿を見た。

「嘘、これが本当にあのブラッディファングなの? 全然別物だよ。高級なお魚を食べてるみたい」

 彼の言葉に、他の料理人たちが一斉に喉を鳴らした。

 あ、誰かの腹の虫が鳴った。

 まかないはまかないでから揚げを用意してたんだけど、ひょっとしたらバターソテーだけで十分だったかもしれないな。

「ほら、兵士の食事を作るんだろ? 作り方は教えてやるから、さっさと作っちゃおうぜ。そうしたらまかない作れるからさ」

「そうだな、マオの言う通りだ。皆作業に取りかかれ」

 ぱんぱん、と手を叩くシーグレットの言葉に従って、ブラッディファングの切り身を手にした料理人たちが各々の調理台に散っていく。

 俺はまかない作りの準備だ。

 冷蔵庫で寝かせておいた鶏肉を取り出して、肉を揚げるための鍋を用意した。

 調味料に浸かった鶏肉を指で軽く転がして具合を見る。

 ……うん、ちゃんと味が滲みてるな。これなら美味いから揚げになりそうだ。

 傍らでバターソテー作りの方法を皆に教えながら、から揚げ作りの準備を整えていった。

 さあ、揚げていこう。

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