第36話 野菜とベーコンの和風炒飯
今日の夕飯は豚の魔物の臓物を使ったスープだった。
あれだな。トリッパに近い感じの料理だ。
臓物は肉の処理をしていると大量に出るそうで、時々こうして臓物を使った料理を作るのだとか。
トリッパだったら、トマト味のスープにしても美味いかもしれないな。
そうして兵士たちに出す夕飯を作った後は、まかない作りだ。
普通に臓物スープの残りを食べてもいいのかもしれないが、俺としてはやっぱり口に馴染んだ料理を食べたい。
というわけで、此処は一品作ろうと思う。
使うのは、大量にあるベーコンだ。
他にはキャベツとピーマンを用意した。
米を炊いて、御飯ができたら準備は完了。
さあ、作っていこう。
まず、ベーコンを一センチくらいの角切りにしてフライパンでカリッとなるまで炒める。
熱が通ったら一旦フライパンから上げて、油をひき、ざっくりと切ったキャベツとピーマンを炒める。キャベツとピーマンは生でも食べられる野菜なので、炒め具合はお好みで大丈夫だ。
野菜を炒めたら、ベーコンと御飯を入れてぱらっとなるまで炒めていく。
炒めたら、醤油と塩と胡椒を振りかけて味を調える。
これで、完成。野菜とベーコンの和風炒飯だ。
今回野菜はキャベツとピーマンだけにしたが、他にも玉葱や人参を使っても美味しいと思う。卵を入れるのもお勧めだ。
炒飯は色々バリエーションが作れるのが楽しい料理なんだよな。
それじゃあ、熱いうちに頂こう。
「マオって本当に料理が上手いよね」
炒飯を笑顔で頬張りながらリベロは言った。
「これ、兵士たちに出した料理よりも美味しいと思うよ。料理人の僕たちが兵士たちよりも美味しい食事を食べちゃっていいのかなぁ」
「いいんだよ。逆に俺たちが兵士よりも不味い料理を食べなきゃならない理由もないんでないか?」
俺はしれっと言って大口で炒飯を頬張った。
うん、醤油味が香ばしいね。単純に塩胡椒だけの味付けをするよりこっちの方がいいな。
料理人たちも、口々に美味いと言いながら炒飯を食べている。
特に夢中になっているのはシーグレットで、彼はばくばくと必死になって炒飯を掻き込んでいた。
そんなに急いで食わなくなって炒飯は逃げないっての。
シーグレットの様子に呆れながら、炒飯をぱくり。
ああ、炒飯食べてると中華スープが飲みたくなるな。
鶏がらスープの素があればさっと作ったのに。
コップの水を飲みながら、中華スープの味を思い出す俺だった。
まあ、ないものは仕方がない。此処ではあるものを上手く活用して料理を作るしかないんだ。
此処は異世界なんだから。
最後の炒飯を口に入れて、俺は空の皿を手に席を立った。
それと同時だった。何処からか、鐘の音が聞こえてきたのは。
カーン、カーンと火事を知らせるような音の鐘だった。時報を告げる重厚な鐘音とは違う。
鐘の音を耳にしたシーグレットが、眉間に皺を寄せて顔を上げた。
「……警鐘だ」
警鐘、の一言に料理人たちの間に緊張が走る。残った炒飯を一気に掻き込む者もいた。
「上で何か起きやがったな。聞いてくるから、お前たちは厨房から出るんじゃねぇぞ」
勢い良く席を立ち、早足で厨房を出ていくシーグレット。
残された俺たちは互いに顔を見合わせた。




