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第28話 やっぱり肉は正義

「邪魔をするぞ」

 休憩時間が終わって。ぞろぞろと料理人たちが集まり始めた厨房に、見覚えのある姿が入ってきた。

 大勢の兵士を統括する部隊長のカーミラだ。

 彼女の突然の登場に、羊皮紙とにらめっこをしていたシーグレットは顔を上げて眉間に皺を寄せた。

「部隊長殿が何の用事だ? 見ての通り料理は何もできてねぇぞ」

「その料理の相談に来た」

 カーミラは腕を組み、シーグレットに言った。

「夕食は肉料理にしてもらいたい」

「何でだ?」

 シーグレットの問いかけに、彼女は、

「兵たちが肉が食べたいと騒いでいてな。やはり人間と戦うには力の出る料理を食べねばならんという結論に達し、こうして頼みに来たというわけだ」

「成程な」

 シーグレットは羊皮紙を調理台に置いて、冷蔵室の方をちらりと見た。

「分かった。夕飯は肉料理にしてやる。兵たちにもそう伝えてやれ」

「恩に着る」

 カーミラは控え目に頭を下げて、くるりと踵を返して、

 一瞬俺と目が合うと、露骨に表情を歪めて厨房から出て行った。

 何だよ、いちいち喧嘩吹っかけてくるなよな。

「肉料理っていうと、フリカデレですか?」

 シルキーの問いに、シーグレットは頭を掻きながらいやと答えた。

「フリカデレはこの前作ったばっかりだからな……別のもんにする。メニューにバリエーションがねぇなんてことはあっちゃならねぇ」

 ハンバーグじゃない肉料理か。

 肉じゃが、ビーフシチュー、角煮、生姜焼き……俺は幾らでも考え付くけど、この世界の料理となるとレシピが限られてくるよな。

 やっぱり此処は、俺の腕の振るいどころか。

 難しい顔をして考え込んでいるシーグレットに、俺は名乗りを上げた。

「俺が作る」

「フリカデレじゃねぇ肉料理だぞ。何かいい料理あるのか? マオ」

「俺の料理の腕を舐めるな」

 俺は腰に手を当てて、こちらに注目してくる料理人たちの顔を順番に見つめた。

 俺が作るっていっても一人だと大変だから、こいつらにも動いてもらう。それは確定事項だ。

 そうと決まったら早速下準備だ。

「俺は料理の準備をするから、その間に皆には大量の挽き肉を作ってもらいたい」

「よし、皆聞いてたな! すぐ作業に取りかかれ!」

 シーグレットの号令でその場にいた料理人たちが一斉に動き始めた。

 挽き肉を作るのはミンサーがないと大変だからな。人手があるし、彼らには頑張ってもらおう。

 彼らが動いている間に、俺は材料の準備をする。

 キャベツ。玉葱。エリンギ。トマト。

 パン粉とケチャップも必要なので、作っていく。

 ケチャップが完成した頃に、料理人たちが作った挽き肉も次々と完成し始めた。

 よし、材料は揃った。調理開始だ。

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