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第19話 シュークリーム

 今回俺が作るのは、手作り菓子の代表、シュークリームだ。

 オーブンはないけど石窯があるし、似たような焼き加減にはなると思う。

 それじゃあ、早速作っていこう。


 シュークリームを作るにあたって作らなければならないのは、生クリーム。

 この世界には生クリームはないから、一から作らなければならない。

 生クリームって作れるの? という疑問が浮かぶだろうが、正直に言うと答えはノーだ。

 生クリームは牛乳からできているが、店で売っているような生クリームを家で作ることは実質上不可能だ。

 不可能なのだが……実は、代用品レベルであれば作ることができるのだ。

 今回は、その代用品を作って済ませようと思う。

 準備するのは牛乳とバター。そして塩と小麦粉。牛乳とバターの比率は三対一が理想的だ。

 まず、バターを溶かして溶かしバターにする。

 そこに牛乳を塩をひとつまみ加えて、よく混ぜ合わせる。

 最後に小麦粉を小さじ半分程度、しっかり振るったものを加える。こうすると味に深みが出るのだ。

 これで、生クリームの代用品の完成だ。

 生クリームができたら、いよいよシュークリーム作りにとりかかるぞ。

 まず、カスタード作りをする。

 卵黄と砂糖を白っぽくなるまで混ぜ、小麦粉を振るい入れて更に混ぜる。

 牛乳を鍋で沸騰寸前まで温めて、温まったら卵黄に少しずつ加えながら混ぜていく。

 混ぜたら濾しながら鍋に戻し、火にかける。常に混ぜながら、沸騰するまでとろみを付けていく。いい具合になったら粗熱を取ろう。

 粗熱を取っている間に、シュー生地作り。

 卵をよく溶いて、小麦粉を振るい入れる。鍋にバター、塩、水を入れて沸騰させる。

 沸騰したら小麦粉を一気に入れる。入れたら竈の火力を落として弱火にして、よく混ぜる。

 少し煉ったら竈から鍋を下ろして溶き卵を少しずつ加えていく。この時の生地の固さは、木べらで生地を掬い上げて落ちた時に木べらに残った生地が流れずに形を維持するくらいがベストだ。

 生地ができたら鉄板の上に丸い形に成形し、石窯へ。三十分くらい焼いていく。

 生地を焼いている間に、中に入れるクリームを作る。

 生クリームを作ったカスタードに加え、混ぜる。バニラエッセンスやラム酒があれば好みで混ぜてもいいと思うぞ。

 焼き上がったシューを半分に切り、出来上がったクリームを挟む。量はお好みだが、俺はクリームがたっぷりの方が好きなので多めに挟むことにした。

 これで、シュークリームの完成だ。

 生クリームがない世界で作る菓子ってどうなるんだってちょっと不安はあったけど、上手いこと作れたみたいで良かったよ。


「これが、甘味?」

 完成したシュークリームを、何だこれはと言いたげな顔で見つめるシーグレット。

「甘いいい匂いがするねぇ」

 鼻をすんすんと鳴らしながらリベロは言った。

「蜂蜜漬けとはまた違った匂いだね。上品な匂いだよ」

「匂いよりも問題は味だ。甘味って言うからには甘いんだろうな?」

 シーグレットはシュークリームをひとつ掴んで、口に運んだ。

 ぱくり、とシュークリームを齧って、目を見開く。

「おお!?」

 シュー生地から覗くクリームに目を向けて、声を張り上げた。

「何だこいつは、香ばしさと濃厚な甘さが混じり合って独特の風味を出してやがる! こんな甘味があったのか!?」

「わぁ、くどくない甘さが癖になるね。幾らでも食べられちゃうよ、これ」

 リベロは笑顔でシュークリームを頬張っている。

 どうやら、日本が誇る菓子は魔族の口にも合ったようだ。

「こいつを味わったら蜂蜜漬けなんて簡単な甘味は食ってられねぇな……」

 シュークリームを完食し、シーグレットはしみじみと呟いた。

 そりゃ、蜂蜜漬けって単純に蜂蜜の甘さを楽しむ料理だしな。色々と手が込んだ菓子と比較したら原始的な食べ物だと思うよ。

「こいつは是非とも王に献上しなけりゃな」

 言って、シーグレットは棚から皿を取り出した。

 魔王に食わせるのか。何て言うかな、あいつ。

 シーグレットが皿にシュークリームを盛り付けるのを見ながら、俺もシュークリームをひとつ手に取ってかぶりついた。

 ……うん、カスタードがいい仕事をしてるな。美味い。

 手の込んだ菓子作りなんてチャレンジャーなことをしたけど、大成功だったな。

 これからは食べたい時に菓子を食べることができるぞ。

 また時間がある時に作ろう。そう思える午後の一時になった。

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