第8話 それでいい
【それでいい】
暗い森の中にリリムの美しい声が木霊するが、
応える者はいなく、代わりと言わんばかりに矢の雨が降る
再び門は開き、今度は80人近い盗賊が向かって来るのが見える
その中には金髪の女性……ハクテの姿もあった
そばかすこそ消えなかったが、美しく成長した彼女は、
このむさ苦しい盗賊たちの中では一輪の花のようであり、
リリムに言いようのない違和感を与えてくる
リリムの彼女への第一印象は、
虫を惹きつけるために蜜を滴らせる花のような色香を帯びた女性
綺麗だけど、どこか不気味な、嫌な感じのするものだった
今、リリムの周りには死体が大量にある
視界の悪い森の中、濃密な死の臭いが嫌でも鼻に届く
まともな精神の者ならば吐き気をもよおすだろう
だが、ハクテは笑っていた
盗賊の男たちは怯えていたり怒っていたり真剣だったり、
どの顔も戦いへ赴く顔だったが、彼女だけは違う
まるでこれから美味しい物でも食べに行くかのように、
お祭りにでも向かうかのように軽い足取りで笑っている
本能的に理解する、アレは危険であると
リリムは胸に手を当て、自身の魔力残量を探る
残り全員を相手した場合を想定し、ペース配分を決めておかねば命取りだ
魔力の尽きた魔法使いなど、ただの人と何ら変わりないのである
破壊魔法を使いすぎたためか少々心もとない
あの魔法は発動に必要な魔力こそ大した事はないが、
形態変化に繊細な魔力コントロールが要求され、
戦闘中に幾度も変化させたため、予想以上に魔力を消費していた
しかし、彼女……リリムは幼いとは言え巫女である、
通常の魔法使いの数十倍の魔力量を有している
このまま破壊魔法を乱用する事は厳しいが、
普通の戦闘方法であれば問題ないほどの魔力を秘めている
ふぅ……と、一つため息をもらして破壊魔法を解除すると、
彼女は懐から1本のショートワンドを取り出した
幾つもの鈴があしらわれた長さ30センチほどの杖は、
少し動かすだけでシャンッと音を鳴らす
真鍮で作られたこの杖は、
本来であれば儀式などに使うものだが、リリムは好んで使っている
その理由は、音が好きだからという無茶苦茶なものだが、
彼女の実力と実績が誰にも文句を言わせなかった
「喧騒たる世界に無風の静寂を」
先ほど普通の戦闘方法であれば魔力量は問題ないと言ったが、
リリムは向かってくるハクテを通常の方法では危険と判断していた
彼女の片手に光る獲物……50センチほどの鉈は、
他の男達が持つ物よりわずかに薄く、刀に近いと言っていい
刀とは、刀剣の中でも抜群の切れ味を誇る武器だ
その切れ味の秘密は滑らかな曲線と薄さにあるが、
使い手を選ぶ難易度の高い武器とも言えるだろう
ハクテの持つ薄い鉈は刀に近いが刀ではない
これは彼女が扱いやすいように特注で作らせた物だ
刀ほどの切れ味こそ無いが、通常の鉈よりも遥かに切れ味は高く、
彼女の細腕でも扱える軽い逸品で、その素材はミスリルで出来ている
リリムはそこまでは見抜けていなかったが、
警戒を強めた彼女の判断は正しいと言えよう
先程詠唱した魔法が発動し、彼女のショートワンドに魔力が宿る
杖を薄い黒紫の靄が覆い、その靄は徐々に凝縮され、
彼女の持つ錫杖は黒よりも黒く染まった
その瞬間、ほんの僅かだがハクテは嫌なものを感じ取る、
目の前の少女の目つきが変わったせいだ
まるで全てを諦めているかのような虚しい瞳……
これまで殺してきた者たちにもそういう目をする奴はいたが、
彼女のそれはまた違うものに感じられた
死姫まで残り5メートル、そんな事を気にしている余裕はない
ハクテは頭を軽く振って一気に距離を詰める
ミスリルの鉈を下段に構え、そのまま足を切り落とす予定だった
周りの盗賊たちは各々好き放題動いており、
しかし互いに邪魔にならぬよう連携も取れている
そこへ、リリムがシャンッと錫杖の鈴を鳴らす
素早く3回、シャンシャンッと音が鳴り響き、
先陣を切っていたハクテとその他12人の両耳から血が吹き出す
目や鼻からも血が溢れ、口から大量の血液を吐き出す
ビクビクと痙攣をする彼女たちを見た背後の者たちは、
恐れのあまり足が止まり、乾いた喉を潤そうと唾を飲み込む
この魔法は音に死の魔力を乗せ、耳から入って脳を破壊する魔法である
射程範囲が狭いのが難点だが、発動が早く、全方位に対応出来るのも利点だ
しかし、1つ大きな問題がある魔法でもある
それは、発動中はリリム自身の耳が聴こえなくなるという点だ
彼女自身の脳を保護するため、耳に結界を張らねばならないのである
対話の可能性を諦めたリリムはこの魔法を選んだ
音に乗せる魔力は少量でいいため、消費魔力を抑えられ連発も可能だ
1対多数の近接戦であれば悪くない魔法である
近くに仲間がいては使えない魔法だが……
降り続ける矢の雨は障壁に阻まれ、近づけば音に殺される
難攻不落の要塞が歩いてくるかのような圧が盗賊たちを襲う
声を出して逃げ出す者、ジリジリと下がる者、
指揮官不在でパニックを起こす者、虎視眈々と隙を狙う者……
だが、この少女は心をどこかへ置いてきてしまったかのように、
静かな足取りでゆっくりと門へと向かう
近寄る者がいれば鈴を鳴らし、無残な死体が生まれる
こんな馬鹿げた戦闘があっていいのだろうか?
盗賊たちはこれまでの常識が一切通用しない相手を前に、
恐怖の二文字が脳に刻まれる
逃げ惑う盗賊たちの中、
1人の男は向かってくる盗賊たちをするりとかわし、
ほぼ同じ位置をキープし続けている、並の者では出来ない芸当だ
男の名はジム・ベール、避役と呼ばれる男だ
今の彼は普通の盗賊の装いであり、
この場にいた誰もが彼をジムだと気づけなかっただろう
本来であればクガネの側近として側を離れたくはなかったが、
今回は事が事だ、自分も死を覚悟して行かねばならない
この命、あの方のためならば惜しくはない
ジムは懐からこぶし大の団子のようなものを取り出す
何かの虫や泥を混ぜたような酷い見た目だが、
彼はそれを顎を外して口に入れ、噛まないように口を閉じてから顎を戻す
そして、ゆっくりと少女へと向かい足を前へと出した
人の波をかわし終え、少女が視界に入る
次の瞬間、彼は毒のついたナイフを6本同時に投げ、
同時にしゃがみ、ブーツの横側にある2本のナイフを追加で投げ、
続いて腰にぶら下げていた2つの袋を少女の頭上に投げる
それを、手首を返す事で飛び出したナイフ2本を投げて貫く
貫かれた袋から少女の頭上で毒霧が広がる
しかし、リリムに慌てる様子はなかった
あの魔法は音に死の魔力を乗せて破壊する
シャンシャンシャンッと素早い音が響き、
頭上で広がりかけていた毒霧が嘘のように消え失せた
破壊できるのは脳だけではないという事だ
だが、ジムはこの程度で死姫が殺れるとは思っていない
腰に巻いていた鞭を手に取り、慣らすように1度地面を叩く
鞭には無数の小さな棘がついており、1つ1つに猛毒が仕込まれている
ジム自身は幼少期から毒を摂取し耐性を手に入れてるため効きはしない
彼の使う毒は様々な魔物から抽出したものばかりだ
1種類程度だったら解毒が出来るかもしれないが、
複数の毒を耐えられる者などいない
彼の狙いはもちろん毒による攻撃だ
鞭をしならせ、後ろに後退しながら数回攻撃を入れるが、
やはり障壁に阻まれ、突破は難しいようだった……予定通りだ
ジムは鞭を手元に戻し、握りの一部をぐりっと捻じる
すると、鞭は棒状になり、まるで槍のようになった
強度こそ無いが、毒槍なのでかすりさえすればいい
彼は無謀にも少女に突撃して行く……
その口の中の団子は唾液で一部溶け、歯茎から血が流れ、舌は溶け始めている
激痛すら今は愛おしい、この痛みはあの人のために
ジム・ベール最高傑作の毒団子
それは、彼の毒耐性すら凌駕する致命的猛毒
毒蠍、毒蛙、毒蛇、毒茸、毒草……様々な毒を調合し、
ヒュドラの牙から抽出した毒と自身の血液を混ぜて完成した劇薬
どんな解毒すら無効にする致命的猛毒だ
もちろん、口に隠している彼自身も助かりはしない
そう、彼は元々生き残るつもりなどないのだ
敬愛する主のため、この命を使うと決めている
俺を殺した時、貴様は知ることになる……逃れようのない死を!
ジムがニヤリとし、抜けた歯がボロボロと落ち、口の端から血が流れる
その様子を見たリリムは死を感じ取る……いや、それ以前からだ
彼女は死の巫女、死を司る神に仕えし巫女である
彼が死ぬつもりで来ている事は最初から気づいていた、
何か狙いがある事も最初から分かっていた
だから、リリムは片手に隠し持つミスリルの鉈に魔力を流す
「黄泉に通ずる華よ」
くるりと一回転しながら詠唱をして鉈を構え、
遠心力を利用してそのままジムへと鉈を投げる
高速で回転する鉈は彼へと向かい、首を跳ねた
ジムの首は空中で回転し、血を撒き散らして華のようになり、
首を失った身体からは噴水のように血が吹き出し、ゆっくりと前へと倒れた
しかし、不思議な事に空中へと飛び散った血で地面が汚れる事はなかった
鈍い音を鳴らして落下した頭部が塵になるように崩れていく、
ジムの口内にあった致命的猛毒と共に……さらに胴体の首周りも塵と化す
先程の魔法が付与されたミスリル製の鉈による効果だ
ミスリルという金属は魔法への耐性が高い特徴があるが、
逆に魔法の付与には向いている性質も持ち合わせている、
攻守ともに魔法に強いのがミスリルというわけだ
そのため、鋼鉄などに比べると数十倍以上の値はするが……
金髪の女性……ハクテが持っていた鉈がミスリルと気づいたリリムは、
ジムが向かってくる前にそれを拾っておき、念のために隠し持っていた
ミスリルの武器ならば少量の魔力で最大限の効果が発揮出来る、
今回の戦いは持久戦になるため、少しでも魔力消費を抑えたかったのだ
絶対的強者を前にした時、人に出来る事など限られてしまう
恐れをなし逃げ惑うか、死を覚悟し諦めるか、無謀にも挑むか……
最後の選択肢を選べる者がどれだけいようか
もはや少女を邪魔する者は殆ど居なかった
何の抵抗もなく門へと辿り着き、木製の門に片手を添える
「虫食う老木の軋み」
少女の美しい声がそう唱えると巨大な丸太は瞬く間に朽ち落ちる
砂のようにサラサラと崩れ落ちた隙間からポロト内部へと侵入した
待ち受けていた100人近い盗賊たちが武器を構えはするが、
誰一人として向かっては来る気配はない
あどけなさすら残す少女は返り血一つ浴びておらず、
外の状況を知っている彼らにとっては恐怖以外の何者でもなかった
しかし、無慈悲な笛が鳴る……一斉攻撃の合図だ
笛の音は震えていたが、その音は明確な命令を伝える
吹いたのはカイリ・マウデス、メリィ・キャラガーとも名乗っていた女性だ
どちらも偽名ではあるが、正真正銘彼女の名である
名は体を表すものであり、彼女もまた自身の名に負けない女性だった
メリィは陽気さや明るさを表す名であり、
マウデスとはある小国の王族の名から取っている
すでにその小国はこの世には存在しないが、
おとぎ話のように語り継がれたその物語を彼女は気に入っていた
彼女もまた幼い頃は夢見る少女だったのだ
誰が好き好んで薄汚い盗賊になろうか、
誰が好き好んで女を武器に生き抜こうか、
誰が好き好んで死ぬための戦いに身を委ねようか
こんなはずじゃなかった
カイリは小さな笛を強く握り締め、物陰で膝を抱えて震えていた
状況は刻一刻と悪くなっていく、こうしていても何の解決にもなりはしない
だが、恐ろしくて立てないのだ
こんなはずじゃなかった
覚悟を決めた男たちの雄叫びが聴こえてくる
彼女にはそれがまるで断末魔の悲鳴のように聴こえ、
慌てて両耳を塞ぐが、彼らの声はポロト全体が振動するほど大きく、
嫌でも入ってきてしまう、こびりついてしまう
自分が出した命令だ、死ねと命じたのは自分だ
その現実が事実が嫌でも胸をえぐる
こんなはずじゃなかった
涙が頬を伝うと、先程までの騒がしさが急に収まる
違和感から顔を上げ、涙も拭わず物陰から覗き込むと、
視界はぼやけ、白い影が黒い影の中央で立っているのだけが見えた
慌てて涙を拭い、再び状況を確認しようとすると、
そこに待っていた光景は想像を絶するものだった
少女の周りに100近い男が彼女に向かって綺麗に倒れている
傷跡も何もない、まるで寝ているかのようなその姿に、
カイリの思考は追いついていなかった
何があった? まだ合図を出して全然……
中央の少女が「ふぅ」と一息つく、
瞳を閉じてから胸に手を当て、開いた瞳でこちらを睨んだ
目があった
カイリの頭の中はぐちゃぐちゃになり、
絶対に勝てない魔物と遭遇してしまったかのように逃げ出す
膝が笑い思うように走れないが、必死に足を動かし、
近場にある隠し通路に逃げ込み、狭い道を肩をぶつけながら走る
走る、走る、走る、死物狂いで走る
真っ暗な隠し通路は灯りなどなく、そこら中をぶつけはしたが、
なんとか抜け、ポロトの外にある森へと出る事に成功した
森からポロト正門の方を盗み見ると、
無残な死体となったハクテの姿があった
「あ………くっ、ううっ」
悔しさと悲しさから涙が溢れてくる
心の中で何度も謝り、一瞬考えてしまう
あのスラムで彼女たちを拾ってなければこんな事にならなかったのでは?
もはや意味のない問いだが、罪悪感がそうさせてしまう
我が子のようにと言えば聞こえは良いが、
カイリにとってハクテたち3人は特別だった
彼女は子を成せない身体であるため、
幼少期から育て上げた彼らを本当の子のように思っていたのだ
丁重に葬る事すら叶わず、彼女は子の遺体から離れてゆく
「待ってな、すぐにあんたらの元に行くから」
その呟きは夜の森が飲み込んだ
・・・・・
・・・
・
クガネはネネモリ軍・第一部隊を少数で止めていた
基本的には時間稼ぎのためであり、無理に攻める必要はない
そのため、少数でも問題なくこなせる仕事だった
もちろんクガネだから、ではあるが
燃える水を地面に撒き、爆炎のダガーで火をつけて死姫と分断する
その後、隊列の左右の森から牽制をし、
前へ出ようとする者はクガネが1人ずつ始末してゆく
攻撃後は再び夜の森に溶けるように姿をくらまし、
第一部隊が動くまで待機し、動けば邪魔をする
この繰り返しで時間を稼いでいた
ポロト周辺の森は深い、木々が密集し、空が見えるのは道だけだ
そのため、弓矢などによる攻撃は難しいと言えよう
逆に、道にいる兵士を森の中から狙い撃つのは簡単だが
しかし、これだけやられていても第一部隊が動かないのが気になった
違和感からくる読みが正しければ、
自分たちが足止めをする必要すら無いのかもしれない
奴らは攻めようという気が無いのだ
膠着状態とも言える時間がしばらく続き、
兵士たちに張り詰めた緊張状態が続く事による疲労感が見え始めた頃、
背後の森から人の気配がし、クガネは爆炎のダガーを構える
だが、これほど気配を消しながら動ける者がネネモリにいるとは思えない
彼の予想は的中する、背後から来たのはカイリだった
「無事かい」
その声はどこか覇気の無い彼女だが、
ポロトの指揮官として置いてきた彼女がここにいる、
それだけで十二分に理解できる……終わったという事だ
「死姫はどうだ」
クガネの問いに奥歯を噛み締めカイリは言う
「ダメだね、ありゃ……人間じゃないよ」
「そうか」
会話は終わり、しばし沈黙が流れる……
理由もなくカイリの目に涙が溜まり、慌てて腕で拭っていると、
クガネは腕に巻いていた布をほどき手渡してくる
彼の珍しい行動に驚くが、それほど自分が酷い顔をしていたのだろう
黙ってそれを受け取り、涙を拭いた後は自身の腕に巻く
「借りとくよ」
「あぁ」
4名の部下を呼び寄せ、各自別方向に撤退という旨を伝える
合流場所などの確認をしはしない、爆殺のメンバーは誰もが知っているからだ
10日から半月の後、アルサイクの隠れ酒場に、と
普段のクガネならば敗北というものに苛立ちを覚えただろう
しかし、今のクガネにはその感情はなかった
妙な脱力感と虚無感が背中から乗っかってくるような嫌な感じだった
小さなため息をもらし、撤退を始めようとした時、
ポロトと第一部隊を隔てる燃え盛る炎が一瞬で鎮火される
水の類で消されたわけではない、火自体が小さくなってくように消えていた
そんな芸当が出来る存在は、今この場には1人しかいないだろう
死姫……死の巫女リリム・ケルトだ
幼さの残る少女の顔を見た瞬間、カイリの目が見開かれる
恐怖と憎しみ、2つの強烈な感情が彼女を支配し、
無意識で両手に投げナイフを手にしていた
カイリがこんな愚かな行動に出るとは思っていなかったクガネは、
洗練された素早い動作の彼女を止める事が出来ず、
飛び出す彼女と、飛んでいくナイフを目で追う事しかできなかった
カイリから放たれた6本のナイフを確認したリリムは、
分かっていたかのように障壁で防ぎ、何かを呟いたのか口が動く
次の瞬間、彼女の左右に死の塊……破壊魔法が出現し、
今頃になってカイリは自分の愚かさを理解する
勢いよく飛び出してしまっていたが、
木を蹴る事で逆方向へと進路を変え、リリムに背を向ける
無理矢理すぎる方向転換で木を蹴った足が少し痛むが、
今は逃げなくてはいけない、1秒でも早く
クガネの元へと急いで戻るが、
背後から迫る恐怖にほんの一瞬だけ振り向く
すると、視界に黒い棘が映り、高速で迫ってくる
身体をひねりながら回避行動を取り、
痛む足で木を蹴り、三角跳びのように立体の動きで回避した
黒い槍状の棘はカイリを逃し、そのままクガネへと向かう
それに気づいたカイリは絶望した
自分が避けたせいでクガネが、そんなのはダメだ!
落下の勢いを借りてミスリル製のナイフを構える
この程度の攻撃で魔法が斬れるなど思ってはいないが、
これだけ細い状態ならばあるいは……淡い希望を抱いた
ミスリル製のナイフは破壊魔法の棘を捕らえる
刀身が黒い棘にめり込み、"いける"と思ったのもつかの間、
切断されているのは魔法ではなくナイフの方だった
仮にだが、剣の達人がミスリル製の剣で切りつけたとしよう
それであるならば切断も可能だったかもしれない……が、
カイリは投げナイフの達人だが、剣の達人ではない
彼女の技量では刀身の方が負けてしまったのだ
両断された刃が力なく地面へと吸い込まれていく
絶望感が彼女を襲うが、まだ彼女は諦めてはいない
どうしても、どうしても失ってはいけないものがあるから……
即座にクガネの元へと向かうが、
どう考えても自分の足では魔法に追いつけはしない
嫌だ、嫌だ……あいつが死んだらそれこそ無駄死にじゃないかッ!
あいつさえ生きていれば……ッ!
カイリのすがるような手が虚空を掴み、
死を振り撒く漆黒の棘がクガネへと迫る
だが、クガネに慌てる様子はなかった
向かってくる棘を爆炎のダガーでいなし、
枝分かれする棘を細かい動きで1つ1つにダガーで傷をつける
後方へと下がりながら器用に捌き続けていた
さすがクガネだ、やっぱあんたは凄いや
カイリが口角を上げて彼の元へと急ぐと、
リリムの破壊魔法の棘の先端はことごとく爆発し、霧散していく
粗方始末した事でクガネはダガーをしまい、撤退を始めようとするが、
その瞬間にカイリの頬をかすめるもう1つの黒き棘……
頬からくる痛みなど感じず、彼女は黒き棘が伸びてくのを目で追う
明らかにそれはクガネを狙っており、それだけは許してはいけない
無意識で、無我夢中で手を伸ばし、黒き棘を掴む
指は簡単に落ち、それでもしがみつくように……
『クガネーーーーーッ!!』
カイリの叫び声が夜の森に響き、
振り向くと同時にクガネは爆炎のダガーを構えていた
迫りくる破壊魔法を再び爆破し、両腕が切断されたカイリの元へと走る
彼女の身体を抱き起こして声をかける
聞こえているのか分からないが、彼女はゴボゴボと血が溢れる口を開いた
「あ……あんたが、生きて……りゃ…………それで、いい」
瞳孔が開いてく、生気が失われ、
力なくもたれ掛かってくる彼女の身体をそっと寝かせ、
開いていた瞳を閉じさせ、彼女の腕に巻かれている布をほどき、
それを彼女の顔へと乗せ、そのまま手で額に触れる
徐々に失われてゆく体温を感じながら、どこか虚しさを覚える
悲しさはあるにはあるが、泣くほどではない
俺が生きてればそれでいい……分からんな
最後の彼女の言葉が理解出来なかった
何故俺をそこまで慕う、何故俺が生きていればいい
何がそう思わせるんだ? 所詮他人でしかないだろうに
理解は出来ない、出来ないが感覚としては感じるものはある
何とも言えない"それ"を胸の奥底にしまい、クガネは決意した
爆炎のダガーを専用のホルダーにしまう
ホルダーを止めているベルトを外し、それごと死姫の方へと放り投げる
両膝をつき、頭の後ろで手を組んだ彼の姿はひどく疲れて見えた
全てを諦めたかのようなその瞳にリリムは何かを感じ取り、
静かに近寄り、一言だけ彼に聞く
「投降してくださいますか?」
「あぁ、好きにしろ」
こうして大盗賊団・爆殺は死の巫女により一夜にして壊滅し、
頭領であるクガネはネネモリに捕縛され、投獄される事となる
この夜の犠牲者は盗賊が200名以上、
ネネモリ軍から7名という結果に終わった
亡骸は火葬され、ポロト跡地に大穴が掘られ、まとめて埋葬された
神の加護のあるラルアースでは不死者などにはならないが、
「死した者に祝福を」
幼い死の巫女が兵士も盗賊も分け隔てなく弔ったという
少女は涙を流し、死者のために鎮魂歌を唄う
同僚を、部下を失った兵士が涙し、彼女の歌に聞き入る
その光景を少し離れた位置から、
強靭な縄でキツく縛られたクガネは見ていた
縄には魔法が付与されており、縄抜けの類も出来はしない
1000近い兵士たちが、たった7人のために涙を流す
だが、俺はたった1人、200近い部下のために泣きはしない
薄情と思われてもいい、俺にとって部下は手駒でしかなく、
信頼や信用という言葉とは無縁のものだったのだ
そのため、失ってもまた補充すればいいだけの存在で……
そこでクガネの脳裏にカイリたちの顔がよぎる
思考は乱れ、何とも言えない嫌な感覚が這い出ようとしてくる
ただの手駒でしかない……あぁ、そうさ、手駒でしかないんだ
……ただ、ただ……少しだけ大切にしていたんだ、それだけの事さ
「死姫の歌のせいか、妙な気分になっちまったな」
自嘲の笑みを浮かべ、少女の歌に耳を傾ける
どうせ今はそれくらいしか出来はしない……
この先に待ち受けているのは極刑だろうが、
隙あらば脱獄でも何でもしてやるつもりだった
「生きてりゃいいらしいからな……」
再び自嘲の笑みを浮かべ、
何を考えているのか自分で分からなくなっていく
・・・・・
・・・
・
後日、イオマンテへと運ばれたクガネは、
広場にある大木に括り付けられ、晒し者となった
少し離れた位置には籠が置かれており、中には石が大量に入っている
面白くない話だが、俺に恨みのある奴は好きに投げろという事らしい
初日は面白がって投げてくる奴らが多かったが、
それも日を追う毎に徐々に減っていき、
晒し刑の7日が過ぎた日には誰一人投げる者はいなかった
後で知った事だが、どうやら俺の顔が酷い有様だったようだ
あまりに惨たらしくて投げる者が減ったらしい
それから1ヶ月は拷問を交えた尋問の日々だった
包み隠さず洗いざらいの罪を話し、
俺の罪状が書かれた巻物は6メートルにもなったそうだぞ?
我ながらよく働いたものだと関心したが、
その態度が気に入らなかったのか、久々に手酷い拷問を受けた
無益なことだ、俺は拷問などせずとも全て話している
裏稼業では身内の情報を流す事は禁忌とされているが、
クガネは何一つ隠す事なく聞かれたものには全て答えていた
ネネモリにとって有益な情報が幾つもあり、
クガネの情報から幾つもの盗賊団や裏組織が壊滅していく結果となった
彼のもたらす情報には情状酌量の余地ありと言われたが、
それ以上に罪を重ねすぎているため、極刑は免れないだろう
あれから何ヶ月経ったのか、数えることすら億劫になってきた頃、
見張りの兵士たちの様子が慌ただしい日があった
何事かと耳をすませていると、ラルアース全土で戦争が始まったらしい
戦争? 確かに小競り合いの類は頻繁に起こっていたが、
4つの国が主力を投入しての大戦は初めての事ではないか?
投獄生活が暇なのか、何が理由でそんな事になったのか興味が湧き、
いつもの看守に声をかける
「何があった?」
俺の声に驚く、それもそうだろう、俺から声をかけたのは初めてだ
驚いてはいたが、どうやら話したいのか、看守は牢に近寄り、
ここだけの話なんだけどな? と話を始めた
世界から死が失われた
最初は何を言っているのか理解出来なかったが、
世界から死という概念自体が消え失せたらしい
何を馬鹿げた事を……とも思ったが、
牢に住み着いていたネズミを踏み殺した事で俺は理解した
ネズミは徐々に再生され、いつしか動き出したからだ
あの日から看守は定期的に俺に話をするようになっていった
家庭の話から、戦争の話、巫女の話……
中には興味深いものもあったが、その大半はくだらないものだった
あれからどれほどの年月が流れたのだろうか
髪も髭も伸び、いい加減うざったくなっていたが、
刃物の類を手にする事は許されていないため、切る事も叶わない
徐々に減らされる食事、ついに今日はパンが消えた
この食事では俺は持って1週間というところだろう
だが、この世界から死は失われているため、
俺は飢えという生き地獄を味わう事になりそうだ
そんな糞溜めよりも最低な場所に、
この世の美を集約させたような女が舞い降りる
見知らぬ様式の服を身に着けた女は、
どこか見覚えのある顔立ち、聞き覚えのある澄み切った声、
忘れもしない……死の巫女リリム・ケルトだ
「巫女様が何の用だ、ついに俺の刑が執行されるのか?」
死ねないようだがな、と付け足してあざ笑うと、
美しく育ったリリムは更に魅力の増した麗しい声で言う
「刑は執行されません、今行っても苦しみを与えるだけです
そこで提案なのですが、私達に協力してくださいませんか?」
「俺に協力だと? お前は阿呆か?」
ククッ、と相手を小馬鹿にするように笑うが、
この女は至って真面目に真剣な瞳で続ける
「貴方が協力してくださるなら、全ての罪は許されます」
「なに……」
何を馬鹿な、そう言おうとしたが女の瞳がそれを許さない
彼女の持つカンテラの灯りが美しい顔を魅惑的に照らすが、
本人は美しさなど気にも留めないのか、顔を牢にズイッと寄せて言う
「事実です、私の権限で厳守をお約束します」
許される……? 罪が?
その瞬間、俺は何年か前に辿り着いた答えを思い出す
叶わぬ夢だった、憧れるだけ愚かだと思った
俺は……俺は、真っ当な……普通の生活を送りたかったんだ
だが、俺の手は血にまみれていた
引き返す事などとうの昔から出来はしない
馬鹿げた夢だ、くだらぬ夢に憧れるだけ歳を取ったのだと気付かされた
殺伐とした世界に疲れ、人を殺す事に疲れ、
大きくなりすぎた盗賊団に疲れ、俺は全てを捨ててやり直したかった
だが、それを誰が許してくれる?
俺は殺しすぎた、奪いすぎた、罪を重ねすぎた
許されるわけがない、俺を許してしまったら被害者はどうなるのだ
犯人が何食わぬ顔で生きていたらどう思う? 俺なら殺すぞ?
だが、目の前の女の瞳はそんな思考を無意味だと全否定してくる
「冗談……ではなさそうだな」
「はい」
明確な意思がそこにはある、嘘など微塵も感じさせはしない
「あ、もし私を恨んでいるのでしたら1~2発なら殴っても構いませんよ?」
突然抜けたような事を言う、だがこの女は本気のようだ
毒気を抜かれ、力を抜いた俺は呆れて笑い出す
真面目な話をしていたかと思えば、
美を集約したようなこの女が、俺に殴られてもいいと抜かしやがる、
俺の犯してきた大罪を許す事と同列で殴られる事を提案してやがる、
これほど笑える事があるだろうか
「え、な、なんで笑うんですか?!」
リリムが慌てていると、その様子がさらに笑えてくる
久々だ、これほど笑ったのは何十年ぶりだろうか
「お前の面を殴って何の得がある、
自分の顔を鏡で見たらどうだ? 少しは価値に気づけるだろう」
笑われた事に納得いかない様子のリリムは、
自身の顔をペタペタと触っているが、褒めてくれたのは理解できた
「ありがとうございます……私の事は恨んでないのですか?」
「あぁ、互いの立場があっただけだ」
クガネは当然のことのように言う
「そう……ですね」
一瞬迷ったが、リリムはその答えを受け入れた
「あ、あの……」
死の巫女はまだ話があるようだが、今度のはどこか言いにくそうだ
こちらが本命の話というわけか……俺は身構えて続く言葉を待つ
「身体は洗った方がいいと思いますよ? お髭も少し汚らしいです」
「ぷっ……はっはっはっは!」
この女は笑いの才能があるらしい、
何事かと思えばそんなくだらない事を考えていたのか
「え、なんで笑うんですか!? だって汚いじゃないですか、
臭いじゃないですか! 話している途中からずっと気になっていたんです!」
「ククッ、やめろ、それ以上俺を笑わせるな」
不満そうにふくれる死姫はあの頃のあどけなさを残しているが、
真剣な表情に戻った彼女は大人びて見えた
それから今後の予定を聞かされる
世界に死の概念を取り戻す旅……各国から代表者を募り、
総勢24名による原因の究明、そして解決の旅
荒唐無稽な話にも聞こえたが、目的地を聞いて俺が選ばれた理由も納得は出来た
それから爆炎のダガーを返され、
どこから持って来たのかフックショットまで寄越してくる
俺の持ち物とは違うものだが、わざわざ作ったのだろうか
少しばかりいじってみたが、
元々持っていた物より遥かに上質な物のようで、
重量も軽く、匠による逸品である事は間違いない
「いいのか? 俺にダガーを返してこんなものまで与えて」
逃げるとは考えないのか? とリリムに問うと、
彼女は笑顔でこう答えた
「はい、貴方と私達の利害は一致してますから」
投獄生活でも身体を鍛える事は続けていたため、
思うようにとまではいかないが、ある程度は動ける
そんな俺に武器を渡すなど血迷ってるとも言える行為だが、
相手はあの死の巫女だ、それだけの自信があるのだろう
この時の俺は知らなかった、
死姫……死の巫女リリム・ケルトが力を失っていた事を……
今のこの女は、魔法も使えないただの人間だったのだ
それでも変わらぬ態度を取っていた事になる……末恐ろしい女だ
俺が解放される事に反対する者も多かったそうだが、
破壊魔法を2度も完全に防いだ強者は必要だと死姫が押し切ったそうだ
死の概念消失でゴタゴタしていたため、
ラーズへの返還が遅れていた爆炎のダガーを与えたのも彼女らしい
評価をされるのは嫌いじゃないが、
自分を負かした奴からというのは気に食わなかった
・・・・・
・・・
・
数日後、ネネモリの一団は各国の国境付近にある街ナーテアを目指す
ドラスリア王国の南東部に位置するこの街はオリーブで有名な地である
馬車を運転するのはエルフの水の魔法使いエンビ・ルルラノ
お高くとまったいけ好かない野郎だ
馬車の中、向かい側に座るのは斧使いの戦士アズル・ルゴス
屈強な戦士のようだが、頭の方は残念そうだ
その横に縮こまるように座っているのがガリア・ケルヌン
どうやら弓使いのようだが、あの細腕にしては不釣り合いな長弓を持っている
このメンバーに選ばれるほどだ、それなりの手練なのだろう
先程から無意味に死の巫女を守るように構えているのが、
リヨン・スッケルスという男、見た目からして如何にも宗教家だ
坊主らしい髪型、装備も奴らがよく使うメイスであるため間違いないだろう
何とも言えないバラバラな面子だが、
多少は使えそうなのがいるか……その程度の評価だった
数日かけてナーテアに到着し、
領主であるアーガ家の当主イシュタールという男と顔を合わせる
大した腕も無さそうな興味の無い相手だったため、
俺は1人で壁によりかかり、酒をあおっていた
今いる中庭には各国から集められた猛者が揃っている
見知った顔もいたため、悪くない人選だと関心したが、
視界の隅で動く小さな影に目が止まる
見た目は7~9歳といったところか、
ただの幼女にしか見えないが、神官服を着ているため魔法使いだろうか
隣のドワーフの女には見覚えがある、あれは火の巫女というやつだな
となると、あれは……
色々考えていると、遅れて登場した一団に目を見開く
まさかこんな場所で一等級にお目にかかれるとは思っていなかったからだ
あれが噂の不動と元素、あとのは紅焔と蒼天に白銀だったか……
一瞬ニヤリとするが、なおさらこの場に相応しくない存在が気になった
先ほど目に止まった幼女だ
「なんでガキがここにいる」
思わず出てしまった言葉に、幼女は不快そうに食いついてきた
「いてはいけませんか?」
この場にいる連中は誰もが俺を恐れている
ネネモリの連中でもそうだ、平然と話しかけてくるのは死姫くらいだろう
だが、この幼子は俺に楯突こうとしている
「ガキの出る幕じゃない、邪魔だ、帰れ」
面白いガキだ、少しからかってやろう、そんな安易な気持ちでの言葉だった
しかし、この幼女は無い胸を張って言う
「いやです!私は地の巫女、邪魔になんかなりませんっ」
チッ……やはり巫女だったか
ただの幼子がこの場にいるわけがないのは分かっていたが、
巫女というのは皆こうなのか? 俺のペースが乱される
舌打ちをして視線を逸し、これ以上関わらないようにすると、
周りからは俺が言い負けたと思われたのかニヤニヤとした嫌な視線を感じる
俺はそいつらに殺気を乗せた視線を返して黙らせた
こう言っては口説き文句のようで気分が悪いが、
不思議とあの幼女とはどこかで会った気がしていた
瞳を閉じて答えはないかと考えいると、1つの答えが降ってくる
あぁ……10年くらい前のアレか……
カナランで遭遇した巫女の世代交代、
なんとも不思議な現象だったので覚えていたが、
まさかその幼子とこういう形で再会するとはな
再び地の巫女マルロ・ノル・ドルラードを見る
あんなガキが死姫と同等なのか? やはり実感は沸かないが、
巫女である以上、この場に呼ばれた以上、それなりの実力はあるのだろう
見た目だけならば鈍臭そうなガキでしかないがな……
目が合いそうになり視線を外した俺は空を見上げる
特に意味などないが、考え事をするには丁度いい
この旅を終えたら俺は晴れて自由の身となる、
いまいち想像が出来ないが、俺が諦めていたものに手が届きそうなのだ
このチャンスを棒に振るほど俺は愚かではない
24人の精鋭たちを再び見渡す……悪くない連中だ
今まで生きてきた中で抱いた事のない淡い希望がくすぶっていた
自由になる以外の目的も目標も今は無いが、
俺は生きねばならない……そう言われたからな
他人の言う事を守るようなたまじゃないが、
俺が生きていることで喜ぶ人間がいる、それは悪い気はしない
生きることは悪いことじゃない
そんな当たり前の事に気づくのに結構かかってしまった
なら、その生とやらにしがみついてやろうじゃないか、
誰を蹴落としても手に入れてやろうじゃないか、自由を
相棒である爆炎のダガーを一撫でし、未来に目を向ける
その先に何が待っているのか僅かな期待もある
妙な高揚感を自覚し、俺は自分が変化している事に驚いた
火花のように一瞬の輝きを……
そう生きてきたはずが、いつの間にか安寧を求めていた
団長や親父たちを非難していた自分が嘘のようだった
だが、今更罪悪感など感じはしない
互いの生き方が合わなかった、人生ではよくある事だ
今の俺は親父たちをどう思うのだろうか……
いや、考えるだけ無駄な事だ
無駄な事はしない方がいい、いい結果が待っているとは思えない
そんなくだらない事より、今は未来を見据えよう
罪が許され、自由を手に入れた俺には無限の可能性が待っているのだから




