helloWorld!!
地図アプリの案内通りに、進み続けると閑静な住宅街にある大きなマンションに着いた。
マンションか……さて、どうやって入ろう?
入り口は暗証番号入れないと開かないタイプだし、誰かが出てくるまで待つか。くそ、腹立たしい。
ピロンッ!
スマホの着信音が聞こえた、確認するとまた兄貴からだった。
『暗証番号は4021 部屋は404』
こいつは……俺を誘ってるのか?上等だ、ご希望通りに部屋に乗り込んでやるよ。
そして、絶対殺してやる。待ってろ、すぐ行ってやるからな。
インターホンに4021と打ち込むと、本当にドアは開いた。急いで中に入り、エレベーターに乗り込み4階のボタンを押す。
しかし、高そうなマンションだ。住んでる奴らも金持ちばっかだろうな。たしかに、金持って暇なやつらは暇つぶしにこんな下種な事をしそうだ。ああ、腹が立つ。
『404』
そう書かれたドアの前に立ち、ドアノブを握りしめる。深呼吸をして、新鮮な空気で肺を満たす。……よし、行くか。
ゆっくりとドアを開いて、中を確認する。
まず見えたのは、廊下だ。綺麗な廊下は、新築の様にぴかぴかと光っている。そして奥に、半開きのドアが見えた。あそこにいるのか、兄貴を冒涜したくそ野郎が。足音を立てないように、静かに廊下を進んでいく。
一歩、また一歩と半開きのドアに近づいていく、同時にジャケットの内側に隠した包丁の柄を右手で握りしめた。さあ、これでいつでも殺せるぞ。ほら、早く姿を現せよ。
半開きのドアの前まで着き、開いた隙間から部屋の中をのぞく。
電気は付いてないようだが……なんだ?光が見える。薄暗い部屋の中に、何かが弱い光を発しているのが見えた。息を殺して、ドアを静かに開く。
開いた薄暗い部屋の中には、人の姿なんて見えなかった。部屋の奥に、巨大なデスクトップパソコンの本体と、それに繋がれたディスプレイが光を放っているだけで他には何も物が無かった。
……どういうことだ、呼び出しておいて居ないのかよ。
ふざけんな!くそ野郎め、何がしたいんだ?!
ピロンッ!
また来たか……くそ野郎、今度は何だ?
イラつきながら、スマホを確認すると、
『ディスプレイの裏側に貼り付けてある』
張り付けてある……どういうことだ?何を?
ピロンッ!
『どうか、大切にしてやってくれ』
……は?意味が分からない、何を大切にするんだ。その張り付けてあるものとやらを大切にすりゃいいのか?このくそ野郎は一体何がしたいんだ?
まあ、確認すれば分かるはずだ。
ディスプレイの裏側を確認すると、手のひら程の大きさの箱がビニールテープで厳重に張り付けられてあった。
テープを剥がして、箱を見るとそれはまぁ幼稚園児が書いたような汚い文字が書かれていた。
『我が弟へ、僕の夢を託す』
この汚ねぇ字は兄貴の字だ、間違うはずがない。兄貴は、ほんとに字が汚い。なんというか、アラビア語みたいな感じになってる。
家族の中じゃ俺だけしか読めないくらい汚い。俺でも辛うじて読めるくらいだもん。
それで、この箱には兄貴の夢が入ってるのか。
……なんだそれ。