表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRのその先に  作者: 気まぐれ
終章 toプロローグ
70/70

最終話 前へ前へ

遅れてすみませんでした。

最終話、お付き合いください

前へ前へ

ナナシと柳 恵子の戦い、を少し離れた場所から見守っていた共馬とダン。既にシステムから逸脱しそれは、最早根っからの人口知能であるダンには部が悪い戦いであり、共馬はほぼ同レベルの管理者権限を持つ事から勝負が決まり様がないと分かった上での判断。

ならばせめて、とその戦いを現実世界に帰還し、機器を使用して観測していた共馬。途端、ディスプレイに映し出される無数のエラー。


戦いにて行われる無数の情報改変によって発生しているそれを、行動終了後に連続して修正していく。

しばらく、そうして戦いの余波がゲームに影響しない様にして時が経ち、ふと、今まで見たことのない反応を感知した。見たことのない、波の様なそれ。類似点を挙げるならばそれは……


「………脳波?」


そう。決してそうとは言い切れないものの、病院で見る電子機器に映る様な、一定の間隔で放たれる脳の波長。それに良く似ているのだ。

脳波は更に強く、更に深くなっていく。その瞬間、共馬が目を疑う様な光景が映し出される。


何処からともなく現れた数字が、柳 恵子が予め隠し持っていたであろう情報リソースを元に集合を開始。数字は徐々に何かを表す情報へと変換され、ありもしないものを作り出す。


「世界を作った(プログラミングした)のか」


プログラミング。

それはこの世界を文字通り作る事だが、それは予め現実世界で0から作る物。アプリのアップデートなどが運営から、つまり外部から行われる様に、間違っても、ゲーム内(・・・・)で行える事ではない。


それを、彼女はゲーム内で、たった1人でそれを実行し、作り出したのだ。

何故それが行えたのか。その理由に先程から観測されている脳波が関係しているのは確かなのだろうが、それを実証する時間なんてものはない。それどころか、ナナシの反応が著しく低下した事に目を向けるべきだとディスプレイに目を戻す。

よく確認してみれば、機能の一部を完璧に凍結されている(ここで言う凍結とは、物理的な物ではなく情報の操作が全く効かない事を指す)。


絶望的だ、と頭をガシガシと掻く。五体満足に動くならまだしも、その四肢が完璧に封じられているとなると、状況はかなり絶望的とも言える。

結局はナナシも、数あるデータの一つに過ぎない。例えどんな力を持とうが、データという枠組みから外れることはない。今だって、多重ICEよる完全凍結圧縮によってナナシを閉じ込め、そのまま去っていってしまうことも可能だろう。どうにかしなければと目を走らせ、ふとある考えが浮かぶ。虚空に泊まった目線はそのまま柳 恵子が放つ脳波へ。そのデータが十分に取れていると確認した瞬間、共馬はキーボードに指を走らせる。そしてものの数秒で作業を終わらせた共馬は、最後の仕上げであるエンターキーを押しながら、ナナシの健闘を祈るのだった。


「ポチッとな」


妙に間の抜けた声と共に。



ピコンッ


そんな音が聞こえたのは、ナナシが四肢を凍結され、反撃の手を封じられ、もう諦めてしまおうかと冗談半分、本気半分で思い始めた頃だった。


柳 恵子に気付かれないように、遠隔操作で送られてきたメールを開く。


「『君が自分を犠牲にしてでも彼女を倒したいと思うのなら、口に出すが良い』…か」


書かれていた短い文章を復唱しながら、ナナシは言葉の意味を考える。

自らの身を犠牲にしてでも、という言葉。恐らく冗談などではなく、使えば最後、自分は今まで通りとはいかないだろう。

そして、自分がどうなるか分からないという言葉に実感が持てず、まるで他人事の様に考える自分もいた。


だから……


「インストール」


プログラムを自分に組み込む言葉を口にして、共馬が送った何かを受け入れる。その瞬間、ナナシの中を光が走った。


途端に襲い来る、新たな情報の波。解析済みの脳波も交えて、元から持つ情報操作能力へのパッチとして機能するアビリティを、強引にナナシに組み込んでいく。

それはナナシを作り変える事と相違なく、巨大な負荷が掛かる。

電子回路が焼き切れる様な感覚を抱えながら、荒波の様に押し寄せる情報を身体に馴染ませていく。


「何をーーー」


発生する熱と衝撃によって小刻みに震えるナナシに、柳 恵子が駆け寄ろうとしたその瞬間、光が爆ぜた。

閃光に腕を目元にやる事で過ごそうとした時、確かに動かせ無くなった筈のナナシの右腕が、彼女を捉えんべく迫る。


「なんで、動いているのよぉ‼︎」


全くの想定外だったのだろう。半ば情けなくなった声とと共に、一旦退くべきと判断し直ちに目の前に壁を形成。一歩下がろうとするが、


全工程強制終了(オールエンド)‼︎」


そんな声と共に、何かが壁をぶち破り柳 恵子に迫る。壁が破られた事で発生した煙の衝撃。少しではあるが視界が奪われた彼女が目にしたのは、自分の攻撃によって機能を奪われた筈の、ナナシの右腕だった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔術。

それはこの世界において過去の遺物とされ、最早復活させることは叶わないとされる、人智を超えた力……と言うのが全てではない。

そもそも、生化学が発展しなかった時代において薬草を用いて薬を作っていた人物を、多彩な魔術で怪しい薬を作っていた魔女扱いしていた時代があるものだから、魔術に置いての具体的な結論と言う物はない。

敢えて言うならば、それは人を超え、人を上へ押し上げる物なのだと、柳 恵子は認識している。ここ日本なら呪術。北欧ならルーン魔術。バチカン辺りは聖刻印、などなど、地域毎に人智を超えた力が発展していた時代があったらしい。



彼女がそれ(脳波)を感じるようになったのは数年前。VRの現実世界における運用、発展。そして来たるべきAR実用に向けて研究していた時だった。

プログラミングとは、数々の指令を組み分けて作られるものである。高等で習うような因数分解などに加え、さらに深い専門知識が組み合わさった結果が、今の時代を支えているのだ。


果たしてそれは偶然だったのか、それとも何かのいたずらか。詳細は分からずじまいだが、彼女が人智を超えた能力を手に入れたのは確かだろう。通常はプログラミングで作るような代物を、彼女は少しばかり演算を組むだけで作り出すのだ。


しかしそれは、VR空間の中だけ。故に、柳 恵子の次の目標は、これを現実世界でも実現させる事に絞られた。


何もない空間に、物理法則を無視して別空間を作り出す。そんな馬鹿げた神秘を具現化するためだけに、彼女は行動を開始した。

先ず目につけたのは、AR(拡張現実)。現実に映像を投影し、本当にそこにある様に見せる、所詮はまやかしの技術。これを利用し、この技術を運用すれば、別次元に近い物を作り出せるのではないのか。そんな子供のような短絡的発想が生まれたのだ。


少し考えれば不可能だと思うだろう。と言うより、科学者が聞けば盛大に呆れそうなそれを、彼女は文字通り有言実行しようとしたのだ。


それから彼女の活動は開始した。

学校などの日常的な部分にVRの使用を施し、共馬のアナザース計画に参加する事でそれの安心性を全世界に伝える。その行為は他人から見ればとてもすごいことの様に思えるが、実際は狂った私利私欲によるものだからタチが悪い。それが世間にいい方向に受け止められたのが、唯一の救いか。


それはともかく、彼女が数年の年月を掛けてここまでやったのは事実だ。アインシュタインが行なった戦争システムは、結果的に様々な情報をどう処理するかの指針になったし、共馬が新しく作った『空中回廊』は虚数演算のいい手本となった。


他の2人の管理者が動く中、彼女はコソコソとその技術を奪い、計画の準備を進めていたのだ。


その最終実験であり、唯一の誤算だったのが、フランソワの存在だった。

プレイヤーの様に偽装されているが、実は彼女もまた造られた存在。ナナシが偶然自我を手に入れたのと違い、彼女は予め決められた設定の元に作られた、人口知能だった。これらは全て虚数魔術によって構成されており、アナザースのシステムを参考に作られているも、もはや最強と言ってもいいレベルの出来栄えだった。


そこに亀裂を入れたのが、ナナシである。

しかも、彼は突如として自我を獲得し、自分で考えて生きていると言うではないか。

そんなナナシを手に入れ、己で解析する。そうすれば、人間では解析できない脳の仕組みと自立の方法、どうすれば完璧な人口知能を作れるのかが明らかになるかもしれない。そう思ったが実行せねばと、彼女は逃げるフランソワをマーカーに、ナナシが待っているであろうステージへと降り立った。


カチリと、自分の中の何かが、壊れた様な音と共に。


それからは、記憶が、混濁、して……


全工程強制終了(オールエンド)‼︎」


気付けば、そんな、声と共に、意識が、飛んでーーー








伸ばした腕が掴んだ先にあったのは、柳 恵子だった物が、光の粒子になって生まれた「無」だけだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

引き戻される様な感覚と共に、意識が浮上していく。それは自主的な物ではなく、半ば強制的な要因によるものだと判断すると同時に、柳 恵子は眼を覚ました。

目に写るのは、研究所の一箇所に設置されている自室の屋根。ただ淡い光を放つだけの質素な部屋だが、この場合は気持ちを落ち着かせるのに最適とも言える。


スー ハー、 スー ハー、スーハー


数秒かけてゆっくりと。先程の事を思い出しながら、少しばかり上がった息を整える。

その後、間髪入れる暇もなく駆け出した。頭に被っていたハードが力任せに外され、地面に落ちてゴンっと思い音を鳴らすが、そんな事は気にする暇もない。

ドアを乱暴に開き、すぐ横にある自分の端末を起動する。


「これだけは余り使いたくなかったんだけど…‼︎」


厳重なロックが掛けられたフォルダをものの数秒で探し、パスワードと音声認識で解除。そこにぽつりと佇む一つのデータにカーソルを合わせ、enterキーを押そうとしたーーーーーー


その時だった。


画面の中にナナシが、全身のあちこちを黒く染めて現れたのは。


「やっぱりな。こう来ると思ってたぜ、柳 恵子」


全身を阻む黒い痣は、今も少しづつナナシを侵食している。この瞬間も彼のデータは犯されている筈なのに、彼の表情は自信と勝気に満ちた物だった。


意味が分からない、と彼女は困惑する。

理解が追いつかず、ただ疑問だけが頭の中を加速する。そんな様子の彼女を見て、ナナシはその笑みを更に深くして、彼女に巣食う疑問を消し去る。


「簡単だよ。君が堅固なセキュリティを解除してくれた。後はそっと侵入すれば良い。今の俺にならこれくらいは朝飯前の事なのさ」


絶対の自信と共に、言葉は紡がれる。

つまり、彼女は自分からナナシを招待したのだ。自分が1番入って欲しくない場所へ。完全に無防備な時に。

しまった、と反省すると同時に、消去システムを作動させナナシの排除に掛かる。生み出されたのは、電脳世界で使用したのと同類の赤い礫。ナナシを凍結させんと飛び出したそれは、


「無駄なんだよ」


さも当たり前の様に右手を振るった矢先、勢いを冗談の様に落として消え去った。何をバカな⁈ と叫ぶ衝動を抑えつつ、たった今起きた事を理解しようとしたその瞬間、彼女の脳内にある仮説が生まれた。



ーー手も触れずに、迫り来る物を消し去り


ーー凍結した筈の手足を一瞬で治療し


ーー電脳世界から他人の端末への侵入する


それはつまりーー


「あなたも、魔術を習得したと言うの……?」


いつの間にか声に出ていた、最終的な結論。ナナシはそれを肯定する様にニカッと笑みを浮かべると、淡く光る右手を掲げる。


「『全工程強制終了(オールエンド)』。この右手から溢れる光は、電子的な作用を全て強制終了させる。自分は勿論、物理的な事象以外の全てに作用するのさ」


今も黒く変色していく自分の身体を眺めながら、ナナシはそう呟く。そう、この光はただ終わらせる(・・・・・)だけ。それ以外は全てナナシの電子操作能力に依存する。


開いたドアをすり抜け、


蠢くウイルスをワザと自分に移し、


今も侵食するウイルスに苦しみながら、


「もう時間がないから言わせてもらう。お前の思い通りにはさせねぇよ」


ナナシは、ウイルスの浸食により黒く変色した身体に右手を這わせ。不敵な笑みと共に、


全工程強制終了(オールエンド)‼︎」






ウイルスごと、自らの身体を終了させた。




薄れゆく意識は、友の影を写しつつ。


「あぁ、でもやっぱり」


ちょっぴり寂しげな表情を作って






「あいつらともう少し居たかったなぁ」






そんな呟きも、消えた









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

出会いと別れの四月。

桜咲く一本道を、タケは1人歩いて居た。

足取りは軽く、低い鼻歌で歩みに色を付ける。


歩みの途中で、耳に付いている小型の機械から着信音が鳴る。視界に浮かぶ連絡先を確認し、苦笑。宙に浮くウィンドウをタップすると、連絡を取ってきた相手の姿が出現した。


「おーそーいー‼︎」


たった一言で不満をこれでもかと表すのは、いつの間にかタケの彼女扱いされているサヤだった。短かった髪を肩辺りまで伸ばした事で少し大人びて見えるが、悲しきかな、中身までは変わっていない。勿論胸部の膨らみも…… 「板みたい」と無邪気な子供に言われたという事実で推して知るべし。


そんな様子のサヤに「かわいいなぁ」と内心ホッコリしながら、タケは苦笑まじりに返す。


「もう近くに居るよ。後五分以内に着くから後少しだけ待ってろ」

「あ、ちょっと待ってーー」


サヤの返事も待たず、タケは半ば強引に通信を切る。それと同時にサヤの姿が消えるのを確認して、再び歩みを開始した。


「ナナシ……」


そよ風で桜が揺れる中、今はもう居ない、友の名を呟く。


あれからもう5年。

彼の世界は、まだ続く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

世界は、少しではあるが変わった。

柳 恵子が最後の足掻きと放ったウイルス。放っておけばアナザースのシステム全てを侵食しかけないそれは、作者である柳 恵子から放たれていた脳波を組み込んだシステムをインストールしたナナシによって彼のデータごと強制終了させられた。

しかし、それは終了(・・)させただけであって、削除された訳ではない。


「ナナシのデータは未だ健在、という訳か。成る程、私にとんでもない仕事を押し付けた訳だ」


アナザース中枢、全てのデータが集うフォトニック結晶体「歩む円環(キープ・ウィキアス)」に刻まれたそれを見て、共馬は隣に立つダンに微笑む。

そう、ナナシのデータはまだ存在している。ただ、ナナシを目覚めさせるという事は、一緒に終了された凶悪ウイルスも一緒に解放するという事。そして狂っても管理者の1人という事か、未だナナシに巣食ったままのウイルスはそう簡単に解毒出来るものではなかった。何故なら


「そりゃぁ、純粋な破壊の概念から生まれたウイルスだもの。ウイルスバスターで削除出来るような代物じゃないわよ。作った私が言える事じゃないけど、彼の身体からウイルスだけを排除する事は、並大抵の事じゃ出来ないわよ」


そう言いながら背後から近づくのは、ウイルスの生みの親たる恵子だった。

ナナシに計画を破綻され、脳波もサッパリと消え、憑き物が落ちた様に大人しくなった彼女。そもそもこれらが世間に露見する事は無かったため罪に問われる事は無かったが、管理者としての権限は剥奪されている。

少しは窮屈な生活に成るのかと思われたが、以外にも彼女は真面目に働き始めた。今、世間に浸透している小型情報端末「ライフリンク」の開発も、彼女の助力あってこそだ。そして彼女の発言通り、ナナシを侵食するウイルスは彼女によって作られたものの、その制作過程や性質は従来のコンピュータウイルスとは一線を画する。彼女の「全てを破壊したい」という思いを文字通り具現化したそれは、制作過程同様、その解毒方法もまた違う。

よって、今の技術ではナナシを救う事は叶わないのだ。ちなみにこの情報は「尻すぼみさせるだけだ」という理由でタケ達には伝えられていない。


「だが、時間を掛けて治すことは出来る」

「そういう事だ」


少し険しい表情で、ダンは「歩む円環(キープ・ウィキアス)」の表面を撫でる。そこには、機能を終了させた事で死んだ様に眠るナナシの姿があった。


「例え何百年、何万年掛かろうと、治してみせるさ」


少し寂しげな表情で眠るナナシを見て、ダンは決意を固める。


それが何時になるかは、誰も知らない



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

街から少し離れた場所に建つ、こじんまりとした一軒の喫茶店。「喫茶店 コネクタ」と書かれた看板が掛けられた木造のドアを、タケは開いて居た。


近道となる一本道をゆっくりと進み、サヤに言った通り5分程で到着したタケは、新築ホヤホヤの扉を開く。

中身は木造の小さめの開いた空間。しかし、内装の彼方此方にARディスプレイが浮かび、まるでネットカフェの様。


それもその筈。ここは「喫茶店 コネクタ」 コネクトオンラインの日本サーバが存在する、いわば日本支部なのだ。此処では赤領土に関する全ての情報と、全領土プレイヤーとの通信を、リアルで行える様にした、AR実装型オンラインカフェになっている。ちなみに、このカフェの実装に1番貢献したのは柳 恵子だったりするのだが、それを知る由はない。


タケが店内に入ると同時に、来訪の合図である鐘の音が鳴る。それにつられ、このカフェの店員たる人物が出迎えた。


「全く、遅いよ タケ‼︎」


肩まで伸びた茶髪に、スーツ似の衣装を着た、酒場のマスターの様な格好をした女性。全体像を見れば身長が伸びた事が分かる、成長したサヤ。

そんな彼女に悪い と返し、奥でコーヒー豆を煎るマスターに声を掛ける。


「ああ、君か。寛いでくれたまえ」


そう言うのは、この喫茶店のマスターことタケルだ。実年齢は想像より若かったのだが、慣れた手付きでコーヒーを煎る姿は様になっている。


「久しぶりね、タケ」


相変わらず色褪せない長い黒髪を靡かせ、シズがタケに話し掛ける。自然と、背後から近づいてくるサヤも合わせ、暫く雑談に耽る。


「そう言えば、ヤマト先輩達が来てないな」

「仕方がないでしょ。同棲を始めたばっかで引っ越しだったりだとかで忙しいんだから」

「それでもあの身長差だと犯罪臭がしたけどな」

「それは言えてる」

ハハハハハ


そこには、昔に戻った様な光景が広がって居た。


あれから5年。


世界は少し変わった。


柳 恵子の協力の元、世界には初めてのイヤホン型ARデバイス 「ライフリンク」が普及され、新たな時代の到来を感じさせた

そして時が進んだ事で、タケ達の生活にも変化が現れる。高校は卒業し、それぞれの進路が決まっている。

ただ、どんな道だろうとコネクトオンラインが近くにあるのは変わらない事で。


ナナシがもう居ないと知って、泣き崩れた過去を振り返り、ふと近くのディスプレイが目に写る。


「そう言えばディクヌさん。結婚するんだっけ」

「周りから犯罪臭がするって言われてたらしいけどね」



コネクトオンラインも、少し変わったと言える。まず、戦闘職以外の自由性が広がった。これからは今まで無かった催しや、VRならではの進化を遂げるのだろう。


新しく開かれた「空中回廊」は一番乗りだった黒領土が拠点街を作り、他領土と交易を開始して幅を広げている。一度彼らを領土から追いやった白領土の彼らも、新しく黒領土のプレイヤーと交流を続けているらしい。




彼らの道が続く様に、タケ達の道もまた続く。タケ達の道が続く様に、VR技術も先へ進むのだろう。


突然自我が芽生え、生きた青年の物語はここで終幕。


世界は変えられなかったけども、その足掛かりにはなったかもしれない。そのバトンは、また次の世代へ。


終わり

どうも、気まぐれです。

これでVRのその先へは完結。ここまでこの駄作にお付き合い頂き、誠に有難うございます。

なんか続きがありそうな終わり方ですが、書くかはまだ決めて居ません。しばらく休みを入れて、プロットだとかストックとかを貯めてから出したいと思います。


まぁそれはともかく、掲載から読んで頂いた皆様方、感想を送ってくれた数少ない方々、VRのその先へに付き合ってくれて、本当に有難うございました‼︎


ではまた、会う日まで

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ