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VRのその先に  作者: 気まぐれ
第5章 VRのその先へ
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取り敢えず、動きを止める

「どうにか間に合った様だな」


意気揚々と登場したが、実は内心穏やかではいられなかったナナシ。タケ達がフランソワという違法データ(・・・・・)の塊と交戦を確認したのが数分前の事で、急いで空間転移を行なったのだがやはり慣れていない事は難しく、予想以上に転移に時間がかかってしまったのだ。

故にタケ達が倒されていないか心配しつつも、なんとか助ける事が出来た事にホッと安心する。横目で後ろを確認すれば倒れ伏せていたシズ達が意識は朦朧としながらも、命に別状は無いようだとフランソワに視線を戻す。


「気に入らないわね、その目付き。自分は何でも出来ると思い込んでいるその顔」


ナナシの顔が気に入らないとばかりに、武器を射出するフランソワ。一撃一撃が致命傷を招くそれを、ナナシは


「生憎様、本当になんでも出来そうなんでね」


避けるどころか、軽い笑みを浮かべながら一歩進む。次の瞬間、無数の武器がナナシの身体を通過した。まるでナナシがホログラムであるかのように、その身体を透過させて、武器は弧を描きながら持ち主の元へと戻っていく。


「なっ! どうやって⁉︎」


初めて放たれる、フランソワ驚愕の表情。


先程まで余裕が吹っ飛ぶようなすり抜けを見せたナナシは、またもやフランソワを驚愕させる行動を起こす。



一瞬ナナシの身体がブレたかと思いきや、突如としてフランソワの眼前に現れたのである。


「離れなさいっ‼︎」


一体何が起こったのかと言うのか。高速移動や音速移動など、既に物理法則すら一切無視して行われたノータイム転移に一瞬臆するも、ナナシの身体を貫通させるべく彼周辺の360度全域に小柄な剣を展開させる。


「剣葬儀」


一度放てば逃れようの無い、完全包囲攻撃。フランソワの発言に呼応して、展開されていた剣はナナシ向かって射出される。衝撃による砂埃が舞い始めるのを、剣を振るって払うフランソワ。無数の剣に貫かれるナナシの光景を幻視していた彼女が見たのは。


「なっ、消えた……だと⁈」


ナナシの姿のない、衝撃によってクレーターが生まれた地面だった。光の残滓も、遺体と思われる何かも、何も残っていない。


一体どこに消えたのだろうか。

つい周りを見渡してしまうが、何処にもいる気配はない。警戒を強めるが、次にフランソワが見たのは、またもや信じられない光景だった。


「う……浮いている…だと⁇」


そう、ナナシは文字通り空中に立っていたのだ。なにかにぶら下がっている訳でも、飛行手段を以って飛んでいる訳でもない。剣を浮遊させ射出するフランソワですら、自分を浮かせた事がないのだから、その光景は更に異様に見える事だろう。


「何をそんなに驚いている? 俺はただ、空中の位置情報を真下の地面の位置情報と入れ替えさせているだけだぞ?」


ナナシの独白の様な、今までの種明かし。電子関係に精通していないタケ達からすれば、まるで暗号で話しているように見えるが、


「まさか、空中に地面があるとシステムに誤認させているのか⁈」


フランソワの推測にご名答、とナナシは答えると、瞬時にフランソワの目の前に転移する。


「位置情報の入れ替え……‼︎」


再び行われるノータイム転移。その予兆も、インターバルも、対策すらも立てられない。まるで彼女を小馬鹿にする様に転移するナナシに、アイテムボックスからありったけの武器を取り出す。


「散花‼︎」


手の平から、溢れんばかりの光と共に放たれる。しかし、剣の出処は手の平の中心に集約されており、まるで花が咲くがの如く。花びらと言う名の剣が咲き、風に吹かれて舞う。剣の重さは何処へやら、花弁はナナシを包み込む様に放たれる。


しかしそれは予想していた事なのか。間一髪で転移、フランソワから少し離れた場所に現れる。


強敵だ。フランソワはそう思った。

真正面からは行けず、不意打ちにも反応される。これ以上ない程、やりにくい相手を彼女は知らなかった。

そして経験が無いせいだろうか。


「消えろぉぉぉぉぉぉ‼︎」


激昂と共に、時間を掛けて回収した射出済みの剣を出現させる。ただ、今回は全力を。今持てる最大限の100本の剣。エクスカリバーを始めとした神器も交えた100本ものそれらを、時間差を掛け、発射弾道しらもズラしつつ放たれた、今放てるだろう最大火力。


ドシュゥッ! ドシュゥッ! ドシュゥッ!


空間圧縮を用いた空圧により深い音を立てながら、一本一本は途轍もないスピードで放たれる。摩擦によって赤く染まった空気を見に纏わせながら、避けにくい様に連発に時間差を掛け、放たれる。


これらを前にしてナナシは、更に一歩前進。サーチで改めて周辺の情報把握しつつ、共馬に教えられた事を復習する。


電子情報操作によるクラッキング。それがナナシが覚えた唯一の能力であり、この世界で最大の力である。非現実的なスキルで満たされるこの世界も、結局は電子によるデータの羅列に過ぎない。


そして特訓の結果、ナナシは限定的な範囲でだが、周囲の情報に自由に介入する事に成功した。サーチで位置情報を割り出し、論理的思考者(ロジックシンカー)の(・)完全演算戦闘(フルオペレーションエンカウント)による並列思考でそれらを同時分析、整頓する。


これで完成。自分が思い通りに出来る、巨大な白紙の出来上がりだ。結果、何が出来るかと言うと……


ー位置情報の入れ替えによる転移

ー位置情報の誤認による、壁や空中での垂直移動


他にも色々あるが、たったこれだけでも充分脅威だ。


そして迫り来る無数の武器を、


すり抜ける。

まるでナナシ自身が透明になったかの様に、武器は通り抜けて背後へと飛んでいく。

これも位置情報の入れ替えの応用であり、今しているのは唯位置情報を少し前にズラしているだけである。これにより、実際の位置情報とフランソワの視線による位置情報が混濁。誤情報により攻撃はあたり判定を受けない、と言う訳だ。


これは最早スキルではない。

電子戦による、別次元からの攻撃。


ーークラッキングである。


「オペレート・オン‼︎」


太刀に指を這わせ、改造を施す。武器の電子情報に手を加える事で、その原型すらも変形させる事が出来るのだ。そして今回施した改造は


刀身増長。西遊記の如意棒宜しく、太刀はその長さを増した。凡そ全長3m。圧倒的なリーチと共にそれを払えば、その刃は以外にも簡単にフランソワに届く。実際は先程の大技で身を守るだけの武器が無かったのと、武器の刀身を伸ばして攻撃してくるという予測不可能な攻撃を繰り出してきたからに違いないのだが、フランソワがそれを知る由も無い。


余程強力だったのか、大きくよろけるフランソワ。その隙を見逃さんとばかりに懐に転移し、彼女の頭に手を添える。


「取り敢えず眠っとけ」


そうして手に力を入れれば、フランソワは抵抗しながらも、意識を手放す。


「んで、生きてるかー?」


意識を失ったフランソワの身体を背負いながらナナシがそう問いかければ、意識を朦朧とさせながらも先程の戦闘を見ていたタケは。


「何とかな。取り敢えず、そのチートを説明しやがれ」


悪態を吐きながら回復薬を飲むタケに、安心した顔で溜息を吐くナナシなのだった。



どうも、気まぐれです。

か…書けない…だと?

ここ最近、沢山書けません。やっぱり文章力ないなぁ。ただ、来週からはもっと書く時間が増えるので、待っていただければ。もうすぐ完結しますし。楽しんでいただければと思います。

では次回更新は来週に。

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