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VRのその先に  作者: 気まぐれ
第5章 VRのその先へ
60/70

黒領土の攻略

遅れました

「我ら黒領土プレイヤー。繋がりの塔は頂いたぁ‼︎」


叫びと共に一拍。移動制限スキルである「keep out」を発動し、各々武器を手に取る。

茶領土の首都、繋がりの塔が鎮座する広場は今、突如としてやってきた黒領土に占拠された。30秒にも及ばない、鮮やかな程迅速に占領された広場。

しかしなぜこうも簡単に、少ない時間で占領する事が出来たのか。

その答えは、たった今彼等が脱ぎ捨てた服装にある。


全身夜の如き黒装束。

鉄などの重い鉱石を一切使わず、布のみで仕立て上げられたそれ。

頭全体をすっぽりと覆い、目元のみ空いたそれ。


そう、これこそが黒領土プレイヤー達の秘蔵の装備にて、今回の作戦成功の鍵を握った衣装。

古代の日本で使われていた、忍者達が着ていたというそれ。『忍者装束・改』なのだ‼︎

着るだけで影が薄れ、壁走りや忍者走りなどの芸当を可能にすると言う地味に優秀なそれ。黒領土プレイヤーの装備担当が手に入れたスキル「高速作製」によって大量に作られたそれは、その役割を達したと言える。

ちなみに、脱ぎ捨てられた忍装束はそのままだ。無数の装束が無造作に脱ぎ捨てられ、放置される姿を作製者が見れば、それは見事なorzを見せながら泣いていた事だろう。


更に設定した場所に線を引き、そこから先に進めなくするスキル「keep out」も合間って、広場を完璧に独占した黒領土プレイヤー達。その中から、男女のペアが繋がりの塔の入り口に手を添えた。


ただの男女のペアプレイヤーにしか見えないが、目を引くのは少女が背中に背負う弓だ。木材をベースに、何かの毛皮と金属でコーティングされたそれ。

普通の弓よりも1.5倍程大きいそれを軽々と背負う少女は、現実(リアル)でもトレードマークとなっている一房のアホ毛を揺らしつつ隣の少年に話しかける。


「順調だね」

「ここまでは、な」

「もう。別にそこまで気を引き締める必要ないのに」

「お前は緩みすぎなんだよ」

「わっ、いきなり撫でるな〜!」


無駄に引き締まった顔をするクロを見て、アスカが彼の眉間の皺を撫でる。しかしその言いようにムカッと来たのか、クロはアスカの頭を半ば強引にナデナデ。

これだけ見れば仲の悪い様な良い様なよく分からないカップルなのだが、撫でられた本人は「えへへ……」と顔を赤らめる。


完全にバカップルのそれであった。本人は否定するだろうが。周りのプレイヤー達の彼等を見る目は生暖かい。それに気付いたクロが「さっさとおっぱじめるぞ‼︎」と急かすが、頬に浮かんだ僅かな赤みは照れ故か。


自分の息子を見守る様な、そんな変な感じに包まれた黒領土プレイヤー達は次の仕事に取り掛かる。


「防御壁展開‼︎ 誰1人として通すな‼︎」


予め作っておいたバリケードを展開、繋がりの塔の入り口周辺を囲む様に設置する。これにより、広場全体という戦場を繋がりの塔入り口周辺のみに限定する事で、守りを厚くする考えだ。


これにより、黒領土は茶領土の繋がりの塔を完璧に占拠したと言える。ここまでは計画通り。そうクロの直感は告げる。


そしていざ第一階へと足を踏み入れれば、一階のエネミーであるゴブリンが3匹ポップ。クロ目掛けて走り出す。


しかし、


「ウゼェ」


腰に掛けた黒剣を鞘から引き一閃。辛辣な言葉と共に、打ち上げる様に先頭の1匹に叩き込む。腹に叩き込まれたゴブリンはそのまま衝撃によって打ち上げられ、宙を舞う。

その間、クロはそれを追いかけない。意識はすでに目の前の残り2匹に向けられている。

打ち上げるように振るう事で上段にあるそれを、そのまま2匹目に斬りつけ、回転する事で勢いを殺さず3匹目に肉迫。叩きつける様に黒剣を振り下ろす。


この間僅か数秒。一瞬にして一階を制圧した。そして誰も動かない中、背後から一歩離れて近付いていたアスカが動いた。


「我望むは天羽々矢(あまのはばや)。蛇宿しそれは全てを狙い、全てを穿つ」


背中に担いだ|それ(弓)を、上目掛けて構える。背中に同じく収納していた矢をつがえ、言葉を紡ぐ。


「我が使えし矢よ、高天原を射貫け。


天鹿児弓(あまのかごゆみ)』‼︎」


指を離し、矢を放つ。

淡い光を纏ったそれは、行く手を阻む壁を文字通り透け、見えぬ彼方へと飛んでいく。



天鹿児弓(あまのかごゆみ)

皇統が天孫の子であることを証明する天羽々矢を放つ弓であり、宿る蛇の性を発揮することで如何なる状況下でも敵を独自に補足・追尾し、孕む呪力の威力によって神霊ですら一矢で相手取る。


そんな神器に付いている固有スキルは『障壁無効』その名の通り、目標に当たるまでの障害物を全てすり抜ける能力を矢に付与する能力だ。

そしてアスカが発動したスキルは広範囲貫通型のスキル『天鹿児弓』。結果、アスカが放ったスキルは壁を抜け、上の階のエネミーすらも屠り、最上階のエネミーにすらもダメージを与え、文字通り天を目指して突き抜けて射ったのだ。


しかしその分スキルディレイも高い。どうやら疲労が溜まったらしく、膝から倒れそうになるアスカ。だが近くにいた恋人(?)がそれを許すはずもなく。


「よっと……大丈夫か?」

「………………ポ〜」

「本当に大丈夫か?」


そっと支える様に肩を抱くクロ。大丈夫かと声を掛けるが、抱えられたアスカは身を縮こませたまま動こうとしない。それどころか、頬を赤く染め変な声を出すくらいだ。本気で心配になるクロだが、今はそれどころではないとスルーする。

………以外と鈍感な所も有るのかもしれない。


改めて、繋がりの塔攻略を開始するのだった



それからの攻略は、有り体に言えば楽勝だった。既に放たれたアスカの矢は威力が強かったらしく、15階までのエネミーは既に倒されており、25階までのエネミーは瀕死という有様。

この様に瀕死、ないしダメージが残った状態のエネミーが多数を占めていた為、彼らの攻略は思ったより早く進んだ。

それどころか………


「なあ、おかしくないか?」

「ああ……エネミーが予想以上に弱い」


と仲間達が言いだす始末。

しかしそれも事実であった。戦争システムが始まる前は25階進むたびにボスエネミーがやってきたのが、今ではいない。まるでさっさと上に登って欲しいかのように、誘い込まれる様な感覚に陥るのだ。


それでも途中で止めるわけにもいかず。結局3時間で99階のエネミーも討伐。100層への階段を登る。


その先に、恐怖が待っている事も知らずに。

どうも、気まぐれです。

先週は更新できず、今週も忙しさからペースがガタ落ち……すみません。


次回更新は来週に

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