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VRのその先に  作者: 気まぐれ
第4章 青の領土訪問編
53/70

動き出す世界

すみません、遅れました。後少ないです

ー1ーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後、爆発したバウレン達はシステム通り街の外壁のすぐ側に横たわった状態で見つかり、そのまま拘束。

ディクヌによって拷問という名の問い詰めが始まった。


そこで語られたのは、白の領土が青の領土を取り込もうとしていた事。一時的に領土間の見えない壁が取り除かれた三日間で、白の領土の間者がスパイ活動をしていた事。そして青の領土の安全を約束とした、バウレンと間者の取引であった。


因みに、バウレンがいきなり爆発したのは遠隔操作型のアイテムを装着されていたからとの事。

その名も「騎士の誇りに掛けて(ナイトオブグローリー)」。自決する事で死亡によるデメリットを100%軽減、デメリットとして、死亡した場合は強制ログアウトと共に十日程のアカウントロックというアイテム。

本来は死亡のデメリットを回避する為のアイテムを、白の領土の間者は口封じに使用したのだ。


因みに、十日間のアカウントロックは余りにも痛く、確実に損になる為ネットでは確実に要らないアイテムトップ10の内に入っているという、最早ネタアイテムとして知られているのだが、ナナシ達が知る由もない。


なら何故バウレンはこのデメリットを受けなかったのか。

答えはバウレンのスキル『瞬間生存(インスタントサヴァイヴ)』にある。本来滅多に手に入らない蘇生アイテムを一定回数使用した場合に習得される様に設定されたこのスキル、効果は「HP35%以上の状態で一撃で死んだ場合、一度だけHP1で復活する」


ボールでモンスターを捕まえる某有名ゲームのきあいのハ◯マキと似た様な効果を持つスキル。これがバウレンに掛かる筈だったデメリットを打ち消した結果、こうして情報を伝えられたのだ。今ではバウレンかあもたらされた情報により、例の間者も捕まり、情報を引き出されている。



ここで一つ、タケルから質問が上がった。


「バウレンの情報は確かか?」


そう。情報が正しいかどうか、嘘が混ざっていないか、そういう部分はどうかという質問。それにディクヌはバウレンの話を聞いていた時の事を話し始めた。


「俺は青の領土の為と思って叛逆を行なった。しかしあの自決アイテムを使った事で俺の白の領土に対する信用は地に落ちた。

お前らに情報を与えた方が青の領土の為になる。だとの事だ」


それは先程までの出来事で変わった優先順位。白の領土に対する信用を失った事で生まれた、ナナシ達への信用。

それを聞いたタケルは更に疑う事が出来ず、そうか、とだけ答えると口を閉ざした。


「ともあれ、俺たちの次の目標は明確になった。2週間後の、来たるべき第二回戦争システム。ここで奴らとケリを付ける」


ディクヌが出した明確な目標を前に、全員の顔が引き締まる。相手は3領土を無理矢理合併させた、もはや大国。

次の戦争システムでは本腰を入れて攻撃してくるだろう。


しかし、不思議と怖くなかった。

怖いと感じるよりも、やってやるという気持ちがナナシを覆っている。


「だがまぁ、戦争についての具体的なブリーフィングは後にして。今は休もう。お疲れ様だ、皆」


落ち着かせる様に言ったディクヌを前に、全員の顔が緩むのだった。





ー2ーーーーーーーーーーーーーーーーー

白の領土、その玉座。

ノイズを放ち始めたウィンドウを前に、改めて皇帝と相成ったアルベルトは落胆の表情を浮かばせながら、独り言の様に話し出す。


「失敗したか………

まさかあのレアスキル(瞬間生存)を持っていたとはな、バウレンめ。まぁ良い。俺の計画に支障は無い」


それは自分が放った間者の事だ。

レアスキル『完全隠蔽工作』を持ったプレイヤーを青の領土に紛れさせたのが事の発端。青の領土の戦力や強力なプレイヤーの情報など等。想像以上の成果を前に、アルベルトは間者にバウレンとの接触を命じた。


青の領土の安全を約束するという、側から見れば嘘に見えなくも無い口約束をバウレンが信じた結果が、バウレンの叛逆。

事はアルベルトの思うがままに進んだかと思いきや、バウレンが持つたった一つのスキルがそれを不意にしたのだ。


しかし、アルベルトはそれをまぁ良い、と言って切り捨てる。たった今も、居場所を特定された間者と話していて、その間者も切り捨てたばっかりなのだ。


もう終わったから、という理由で切り捨てられた間者の心中、察するに余りある。


そしてその独り言を聞いていたのか、柱の影からアレックスが現れる。


「つまんなさそうだね、親友」


あいも変わらずアルベルトの事を親友と呼ぶアレックスに、アルベルトは失笑を禁じ得ない。


「2週間後には2回目の戦争システムだ。今回も頼むぞ」


それだけ言うと、立ち上がって去っていく。その姿にアレックスは


「勿論さ、親友」


ただそれだけを言った。





一方、遠く離れた未開地フィールド。そのある部分に、土で出来たドーム状の建物がある。それも1つではなく、無数だ。中は同じく土で出来た机や椅子が立ち並び、あちこちにプレイヤーの姿が見える。


だがその表情はとても穏やかとは言えない。全員の眼は闘志に燃えており、今にも爆発寸前、と言った所だ。


此処は黒の領土の簡易拠点。

戦争にて白の領土によって領土を追い出され、まだ誰も等助けした事がなかった未開地に追いやられたプレイヤー達の、仮の拠点。まともな設備も無い此処で、プレイヤーは今日も狩りに出る。


ドップリとした空気がドームの中に漂う中、それを入れ替えるべく一人の少年が今、ドームの扉を開けた。




ー3ーーーーーーーーーーーーーーーーー

此処は電子の海。

0と1で構成された、情報の水が行き交う電子海溝。そこにアインシュタインは一人、第二回戦争システムの最終調整を行なっていた。


荒れ狂う情報の波から必要な物だけを取り、自らの情報を組み合わせ検証していく。


慎重な作業の中、突如として海が文字通り引き裂かれた。


歪みが現れ、そこから黒い腕が伸びてアインシュタインを拘束していく。


「な…なぜ君が……⁈」


AIにしては珍しい、困惑と驚愕の表情を見せながらアインシュタインは自分を掴む黒い腕の先に居る人物を見る。


白衣を身に纏った、茶髪の女性。

背中から黒い腕を無数に伸ばした彼女は、拘束したアインシュタインを歪みに引き込みつつ、冷たく言い放った。


「あんたは用無しだ。今回の戦争システムは私が管理する」


そして指示を出し、黒い腕はそれに従ってアインシュタインを歪みに引きずり込んでいく。

為す術もなく引きずり込まれる中、アインシュタインは機械的な声で女性に問うた。


「一体何が目的かね、管理者の一人にしてVRの現実応用研究の第一人者、柳 恵子?」


柳 恵子と呼ばれた女性はしかし答えず。

無言でアインシュタインを連れていく。

それにアインシュタインは……


「そうか、ならばやってみろ」


直後、アインシュタインの意識は闇へと落ちた。

どうも、気まぐれです。

大学と忙しさには勝てなかったよ……

とは言え、遂に4章終了でございます。

駆け足過ぎね? という方。正解です(オイ)


次回から5章が始まりますが、今週は更新をお休みさせて貰おうと思っています。

再来週から5勝を書いていくのでお楽しみに!

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