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VRのその先に  作者: 気まぐれ
第4章 青の領土訪問編
49/70

力を持つ意味

ー1ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「全くもって面倒臭い事になったねぇ」

少しドスの効いた声が個室に響き渡る。

声の調子から苛立ちを隠そうともしない事に気付いたディクヌは、目の前の書式に突っ伏したダミアを見てハァ、と溜息が漏れるのを抑えきれなかった。


そもそも何でダミアがここまでご立腹なのか。それは机の上に上半身を預けるように突っ伏したダミアの横にある、無造作に置かれた一本の剣にある。


銀色の光沢をこれでもかと言わんばかりに煌めかせ、剣身に走る青色の線と柄に掘られた太陽のレリーフが、それに異様な存在感を強く放たせる。


アーサー王が持つエクスカリバーと対をなす、太陽聖剣 ガラティーン。

未だ持ち主を持たないその剣は、ディクヌに向けられた視線に答える様に、その輝きを強くするのだった。





事の発端は、ナナシ達がガラティーンを見つけ帰還しての事だ。

剣が剣なだけに、ナナシ達が持つべきか、青の領土に渡すべきか問題になったのである。只でさえ神器であるのにエクスカリバーに並ぶ強さを持つ有名な剣なので、問題になったのだ。


しかも何処から聞きつけたのか。


「青の領土で手に入ったのなら、青の領土の物だろう‼︎ 貴様らなんぞに渡す武器ではない‼︎」

と言いながらバウレンが乱入してきたものだから、更にドロドロとした雰囲気に陥る。


結局、話が付かなかった為に一時的にダミアが保管しておく事になった。

そして時間も時間なので一時解散したのが昨日の事。後日の昼過ぎにこうやって集まったわけだ。


因みに、ナナシはシズ達が高校に行っている間に街を見て回り、今はタケ達を連れて街を案内している。



そしてディクヌは始終不機嫌なダミアと話し合っているのである。因みに、ダミアが起こっている理由は……


「バウレンのバカがっ‼︎」

勿論、ディクヌ達を目の敵にしているバウレンである。青の領土絶対主義者、とでも呼べば良いのだろうか?兎に角青の領土、引いては自分にとって最善になる様に行動する訳である。


故に、だろうか。

ナナシ達を連れてきたディクヌが許せないのだろう。しかし、その行動は領主であるダミアでさえ無視出来ない程、度が過ぎていたのだ。




有効な対策が応じずにいる状況に、部屋の空気が更に悪くなる。

とそこに、ノックをしてから1人の男が入った。


「タケルだ。今回の件に付いて話に来た」

両手に書類を抱えて入ったのはタケルだ

その顔はいつも通り真剣で、バウレンと違ってちゃんと考えてきた様に見える。


「さて、話し合おうか。同盟にヒビが入っては敵わん」

赤と青の領土、どちらが神器を持つか、対話が開始する。





ディクヌが切り出した。


「じゃあ、こいつの性能について改めて説明しようか。

実はこの剣、資料が途轍もなく少ない。

分かっている事はこいつがアーサー王で有名なエクスカリバーと姉妹剣である事と、太陽が一番高く登る正午から3時まで通常時の約3倍にまで威力を上げる事。それだけだ」


と簡単に言うディクヌに内心、「何処がそれだけだ、だ」とツッコミを入れるタケルであったが、話が進まないと聞き流す。


戦闘において全てを決めるのは、プレイヤーの技量の差とステータスの数値だ。そうタケルは考えている。

そしてゲームにおいてその能力値を3倍にするというのは、彼を始めとした全プレイヤーからすれば脅威でしか無い。

しかも一時的なものではなく、正午からならば3時間のあいだは見返り無しで3倍なのだ。

ハッキリ言ってシャレでは済まない。


「だがシンプルだからこそ脅威だ。

俺たちが今持っている物が何なのか、理解出来たか?」

その言葉に、タケルとダミアは息を呑む。


例えるならば、日本が威力を通常の3倍に挙げた核爆弾を手に入れた様なものだ。


つまりそれは、ただ単に強力な武器を手に入れたという話では済まない。

領主間でのパワーバランスを崩しかねない、持っているだけで他領土に警戒されてしまう、文字どおり脅威を手に入れたのだ。


そして、それを持つだけでなく保持の仕方すら、気をつけなければならない。


脅威を持つという事は、仲間に「私達は貴方を攻撃する意思は有りません」という事を証明しなければならない。

この場合は赤の領土の事を指すのだが、青の領土は強力無比な兵器をあからさまに見せながら、無害である事を証明しなければならないのである。


ハッキリ言って無理に近い。

ナイフをこれ見よがしと見せながら、「俺は貴方を傷つけません。だから仲良くしましょう」と言われても近づきたくないのと一緒である。


そして彼らの場合、ディクヌ等がナナシ達に牙を剥く事はないだろう。しかし、ダミア達はバウレンという厄介な爆弾を抱えている。


ただでさえナナシ達を毛嫌いしていたのだ。大きな力を手に入れて何時暴走するか分からない。

だからといって赤の領土に渡しても、またバウレンが暴走する可能性を作るだけだ。


当初じゃバウレンを領土から追放する策も出たのだが、バウレンが下手に力を持っていた。

ディクヌが自分の部隊を持っている様に、またバウレンも自分を慕う部下を大量に抱えているのだ。



輝青騎士団(きしょうきしだん)は2人の隊長がいる事から、ディクヌ派とバウレン派分かれている。

つまり、バウレンが暴走、青の領土にクーデターでも仕掛けようなら、青の領土の主武装の半分を相手取る事になる。

それはもう最悪のパターンだ。


青の領土の戦力が半分も無くなれば、あと1週間に迫る2回目の戦争システムにて敗北するだろう。


それ程、今回の件は難しいのだ。


ダミア達が事の重大さを再確認しながら、頭を抱える。ダミアに至っては頭から湯気が出てきそうだ。システム上、湯気が出るエフェクトは存在しないのだが。


ダミアが自領土の戦力の配分に頭を唸らせる中、タケルが神妙な顔付きでディクヌに話し掛ける。


「ディクヌ。どっちにしろバウレンが暴走すると言うのなら、今氾濫を起こしてガラティーンを奪いに来ると言うのも考えられるのでは?」

それは警戒、且つ最悪のパターンだ。

大した準備もしていない今、バウレンに離反されれば、輝青騎士団(きしょうきしだん)の約半分の敵が出来上がり、数の力で攻撃。下手すれば領土の管理権限すら奪われかねない。


「言うんじゃない。一応こちらに味方する兵を数百人程配置している。

だからフラグを建てるんじゃない」

どうやら青の領土の隊長はフラグとやらをご存知らしい。


しかし既に遅かった。

建てられたフラグは、折られる暇も無くその効果を表す事になる。


閃光が迸った。


そして直ぐに屋根に衝撃が走り、破壊音と共に光を帯びた無数の矢が降り注ぐ。


数秒もすれば、領主館は一瞬にして跡形もなく破壊された。


ダミア達に感づかれる事なく、迅速かつ用意周到に、叛乱の幕は開かれる。

どうも、気まぐれです。

今回は少ないです。めっちゃ少ないです。

と言うより忙しい……うん。


今回は出来るだけ伝える内容を濃くしようと思いました。

因みに今回のテーマは「力の結果」です。

これは現代の核問題にも同じ事が言えて……などなど。

流石に後書きを重くする気は無いのですが。それでも上手く伝わったらなと思います。


次回更新は来週、何時もの時間に。

そして気まぐれは時間通りに更新できるのか⁈

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