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VRのその先に  作者: 気まぐれ
第4章 青の領土訪問編
48/70

ナナシの真骨頂

すいません 遅れました!

ー1ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ザッ、ザッ、ザッと一定の間隔で足音を合わせながら、ナナシ達はデントが残したポイント目指して歩いている。


当初は無造作にジャングル内を進んでいたのが急に隠れる様な動きになったのは、ナナシが自慢のレーダーに不自然動く反応をキャッチしたからだ。


最初はなんだろう、と思いながらその反応を確認していたナナシであったが、直ぐに目を凝らせながら確認する羽目になる。


それも当然、その反応は一瞬動きを止めたかと思うと、忍者も真っ青の素早さで移動するのだ。しかも、視覚的に完璧に隠れる形で、だ。


目では全く消えているというのに、データを見ればその姿は丸見え。

これなら先にジャングルに入ったプレイヤーが殺られるのも仕方が無い、と考えながらも、ナナシはその折りを全員に伝える事にした。


「姿を消しながら移動してるぞ。なんか忍者っぽいエネミーだな」

「それって忍者よりナ◯ガク◯ガっぽくね?」

「おいやめろ、モン◯ンネタを打っ込むんじゃねぇ」


若干危ない会話を交えつつも、特に危ないことも無く進んでいく。

そして動きが動物みたいである事からか、それともやはり彼らは男だからなのか、

モン◯ンにおけるかのモンスターの特徴を確認し合っていた。


そして女性達はと言うと……


「ねぇねぇ、マキ。あいつとはどうなのよ?」

「えっ、それってやっちゃ…ヤマトの事?」

「あ、今やっちゃんって…」

「あ」

「相変わらずラブラブですな〜。そこんとこどう思う?シズ」

「そうね、さり気なく惚気をぶつけられるのは見ていてこう…ここがムカムカしてくるわね」

「シズの目が怖いよ〜⁉︎」

「まぁ、あの子は失恋した様な物だから仕方が無いわね。潔く犠牲になってきなさい。あなたの事は忘れない」

「ネタを入れつつ私を売らないでくださいよ⁉︎」

「知るか〜⁉︎ だったら私にもその立派なモノを渡しなさぁい⁈」

「ダメっ⁈ そこは触らないで〜⁉︎」


女性全員でマキを盛大に弄っていた。

若干一人が嫉妬により暴走し始め、マキのアレを揉みしだき始めたので男性陣は背後が気になるものの、「女性が色々されている所を見るのはちょっと…」という気持ちと、「背後を見たらヤマトに殺される‼︎」という二重の意味で背後を見て何が起こっているのか確認できずじまい。挙句の果てにヤマトの穏やかな、かつ目が笑っていない笑顔にははは…と愛想笑いを返しながらも、後ろの痴態が気になりソワソワする始末だ。


男性陣が背後で繰り広げられている事を想像してはヤマトに睨まれるという事態を見ながら、最年長であるタケルとディクヌの2人は溜息を吐きながら見つめていた。


「緊張感がなっとらんというか、なんというか。今は隠れながらエネミーに遭遇しない様の進んでいるというのに。

全員が騒いでどうする」

「仕方が無い。彼らもまだ青年なのだ。ずっと黙ったまま進めないのだろう。

許してやれ。戦場ならまだしも、ここはゲームの世界なのだから」


本来、敵に居場所を悟られない様に動くはずが、その本人が騒ぎ立てる事に軍人気質故の怒りが出るのだが、タケルの話に説教したくても出来ない。


それだけタケルが言うことは的を得ているからだ。

自分たちの行動一つが生死に関わる戦場なら何も言わず説教できたものの、生憎ここはコネクトオンラインの中。


デスペナルティとなんとも言えない喪失感を感じるだろうが、一度それを乗り越えたタケ達は大丈夫だろう。


そんなこんなで雑談する中、ナナシ達は遂にデントが遺した場所に着く。

タケルがその合図を出す中、予め計画していた通りにナナシが前に出た。


実はここまで来るときに、既に謎のエネミーへの対策は一通り話し合ったのだ。

とは言え、意外と早く決まったのだが。


それはナナシをエサにおびき寄せ、罠で捕まえる作戦。AIになった時にHPの概念を手に入れたナナシだが、その本質はHPを持たないNPCの物。


ナナシにとってHPは盾みたいなものだ。

例えば、ナナシの存在そのものを破壊するタケルの炎を受けた場合、新しく手に入れたHPが肩代わりする。

勿論、HPを全損すればまた存在にダメージが入るが、基本ナナシにとってのHPはゲームでいうシールドやボーナスHPみたいな物。



つまり、その謎のエネミーの攻撃をワザと受ける事で、その攻撃力を図ろうと言うものだ。


そしてナナシが草木を掻き分けゾーンに入った瞬間、そのレーダーに反応が生まれる。

エネミーが動いた証拠だ。

その動きは俊敏、かつ静かで、物理的には観測出来ない。

そのパワーを調べる為に、ナナシは1人数歩進んだ。




ー2ーーーーーーーーーーーーーーーーー

その瞬間、ナナシの視界が急速に遅くなっていく。ふと背後を振り向けば、そこには充血した様に真っ赤に染まった眼が、まるで流星の様に迸っていた。


「ーーーっは⁈」

ふと時が止まった様に感じ、直ぐに意識を取り戻す。ほぼ反射的に開いたウィンドウには、ナナシのHP (仮)が写っていた。


Name: ナナシ

HP:0000/7890

Status:正常


その表示を見た瞬間、ナナシはあるはずも無い心臓をガシッと握られた感覚に陥った。

先程感じた、時が止まった様な感覚。

あれは、人が死ぬ瞬間にみる走馬灯に近いものだと。




人は死ぬ瞬間、走馬灯をみるという。

死ぬ前に今まで起きたこと全部を思い返す様な感覚のアレだ。



しかし、ナナシに走馬灯に出る様な記憶なぞない。それはつまり、ナナシは簡易的にだが死を連想した、という訳だ。


そして、エネミーの攻撃はたった一撃でナナシのHPを刈り取る程強力であるという事。

他の誰かを行かせなくて本当に良かった、と心から安堵する。


そしてナナシがゆっくりと衝撃を受けた胸元を見れば……


「……なんだコレ」

その場に不釣り合いな、気の抜けた声が出たのも仕方が無い。何故なら、ナナシの心臓を貫こうと突き刺さり、途中で止められていたそれは一本の触手だったからだ。


それは細くしなやかで、毛の一つも生えていないそこはまるでR18作品に出てくる触手の様。

あちこちからドバァと溢れる体液の様な何かが、それを更に気持ち悪く魅せた。


一見、なんの変哲もない触手の様に見えるが、ナナシの胸に突き刺さったまま動けないその先端は、他の外見に対して酷く殺人的な形をしていた。


ツルツルとした感じはそのままに、まるで蜂の尻尾に位置する針の如く、先端で禍々しいそれ。

先端から数センチ先まで細く、そこから一気に元の半径に戻る様なフォルムを持つそれは、とにかく刺す事に特化した物だと断定できる。


デント達が今までなんの対策も取れず5回も死んだのは、凶器がこの触手だったからだ。


実際が遠距離武器だったのが、デント達はずっと近接攻撃によるものだと思っていたからだ。

恐る恐る触手の元を目で辿っていく。


それは、何本もの触手を生やした異形の竜だった。

その身を覆う毛皮は深い翠色。

四つん這いで迫る姿は大きく、身体のあちこちには触手を出す為の穴がある。

大小長短様々な触手を身体から生やすその姿は吐き気はしないが、また寛容できる姿でも無かった。


Boss: Robins Huuds ロビンスフーズ

HP:????/????



姿をハッキリと視認したからか、ナナシ達の眼にウィンドウと共にエネミーの簡易的なステータスが映る。


ナナシが身構えた瞬間、タケルが動いた。


「炎装 不逃不終(ふとうふしゅう)

その瞬間、ナナシとロビンスフーズを囲む様に炎が上がる。

一瞬にして作られたのは、囲んだ者を逃さない炎の壁。ドーム状に広がるそれは中を蒸し殺すよりも、的を逃さない事を目的としたスキルだ。


つまり、ロビンスフーズは姿を消して奇襲する事なく、ナナシとの一騎打ちをするしか無いのだ。


「quooooooooooo!!!!!!」

一際高い音を発し、地面を這う様に構え穴から触手を出し始める。逃げられない事を察したのか、ナナシを此処で仕留めるつもりだ。


「いいぜ、来いよっ‼︎」

ナナシは刀を抜き、腰に構え敵を向かい打つ。

基本、居合いを使う場合は先制攻撃はしない。敵の攻撃を見切り、カウンターを決める様に攻撃を放つのが基本であり、これを「後の先」と呼ぶらしいが、それは置いといて。


故に、ナナシはロビンスフーズが仕掛けてくるのを待つ。自分から仕掛ける事は一切無いのだ。


「quoioooiooooooo!!!」

無数の触手を操り、多方向から数で攻める。対してナナシは一番速くやってくる触手を優先的に、その刀技を駆使して捌いていく。


右から来る触手は右に弾き、

心臓を狙って来るのは叩き落とし、

足を狙うのはジャンプで飛び越える。


十を超える数の穴から這い出るそれを、ナナシは見事な刀捌きでどかしていく。





そして1分もする頃には、裁かれた全ての触手がナナシの後ろで落ち、無防備となったロビンスフーズと、刀を持ち余裕の表情を見せるナナシが居た。



Boss: Robins Huuds ロビンスフーズ

HP:1056/10950


触手を裁くときに与えたダメージが蓄積していたらしく、ロビンスフーズのHPは風前の灯火。

たいしてナナシは、HPを失ったものの、明確な被弾は無し。


一方的な攻撃。

これぞ刀使いの真骨頂。

これぞナナシの戦い方。

タケルによって敵をこちらの土俵に引き込んだが、それを差し引いてもナナシの手際は流石、としか言いようが無かった。


「終わりだ」

そう言って、止めを刺すべく仕掛ける。

ナナシが動いた瞬間、ロビンスフーズは口を大きく開いた。


その奥には喉仏の代わりに、触手を発射する穴が。


ロビンスフーズだってやられっぱなしではいられない、と行った最後の足掻き。

道連れにしてやろうという趣旨のそれは、他人から見れば完璧な不意打ちだった様に見えるだろう。


しかし、それは余りにも遅く、今更であった。


「遅ぇよ」

それは、口からの奇襲よりも自分の攻撃が速いと確信しているからこその発言。

一本の細い触手が口から出るよりも速く、ナナシの刀はロビンスフーズの口目掛けて差し込まれている。


『城砦崩し』

少し前のウルフジャンガー戦でも使った、重心移動を最大限に駆使し、常人外れの身体能力に身を任せた重撃。


予備動作を行わない事で攻撃速度を格段に上げたそれは、ロビンスフーズの口に吸い込まれる様に入り、飛び出そうとしていた触手ごと貫いた。


Boss: Robins Huuds ロビンスフーズ

HP:00000/10950


身体は光に包まれ、徐々にその姿を崩していく。

此処に、密林の狩人は姿を消した。



と同時に、ナナシ達をある感覚が襲う。


それは強大な存在感。

離れている筈なのに、それはその場の全員に「此処に居るぞ」と訴えてくる。


そしてその存在感を放つ方向を見れば、それは密林の中にポツリと佇む唯一の遺跡からだった。


「……」

お互いに声を出せない。

息をする事も難しくなりそうな、存在感に強制的に黙らされる。


しかし、この中に2人だけ、この存在感の正体に気付いた者がいた。


「此処にあるのか?」

「ホンマかいな⁈」

タケルとヤマト。

神器を持つ2人が、存在感を放つ遺跡に向かって歩いていく。そしてい古びた遺跡の中を覗いた瞬間、2人は声を出さずただただそこにある者を覗いていた。


「何があるってんだよ⁈」

動き出したヤマト達に意識を取り戻し、彼らを追いかけて遺跡に入る。

そこでナナシが見た者は……



石造りの祭壇に突き刺さる一本の剣。

銀色に輝くそれは、柄に太陽のレリーフが模られ、日中存在感を放つ太陽の如く、そこに佇んでいた。


円卓の騎士で有名な、太陽の騎士ガウェインが持つもう一つの聖剣。


アーサー王のエクスカリバーと対を成す、太陽聖剣 ガラティーン


伝説の神器がそこに佇んでいた。

どうも、気まぐれです。

遅れました。


またか⁈ Σ(・□・;)


とか思われているでしょう。

その通りです。遅れました。

ここ最近はグダグダ気味だったといいますか。今回も対してストーリーは進んでおりません。 ちくせぅ


ちゃんとやるんですみません。 許して


と言うわけで来週の何時もの(何時だよ)時間に。

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