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VRのその先に  作者: 気まぐれ
第4章 青の領土訪問編
43/70

新しい冒険は海から

ー1ーーーーーーーーーーーーーーーーー

マルクスの北は海に囲まれている。

街と外を区切る巨大な壁には、他とは違い複数の門が並んでいる。「北城門」と呼ばれる複数のそれを越えた先には港が広がり、プレイヤー達はそこに定着する船に乗って眼前に広がる大海原に駆け出すのだ。


そして今日もその航海の結果を競い合い、その副産物を売り込む商人の豪快な声が飛び交う港、その端に位置する複数のドック (船を泊める場所)の4番ドックに、ナナシ達はいた。


木造の巨大な小屋に一部が壁そのものが扉と化した様な、一風変わった部屋はその殆どが海に浸かり、足場は一部だけとなっている。

そして海に浸かった部分に堂々と浮く、まるで中世に存在したかのような巨大な船が、ナナシの眼前に浮かんでいた。


「『les pionnier (レス ピオニア)号』、ダミアが俺たち使う様に用意した船だ。フランス後で開拓者、という意味らしい」


そう言って設置された足場から船に乗り込むディクヌ。それに続いて次々と乗りこんでいく中、タケルは1人領主館での事を思い出していた。



「「「え?」」」

それは領主館での事。ダミアが改まって歓迎の意を示した時だ。

当初聞いていた「時代と娯楽の街」と聞いは筈なのに「娯楽と航海の街」とは何事か、とでも言うように首を傾げる面々を見て、ディクヌの顔に再び笑みが浮かぶ。


ダミアはそれに再びときめきそうになるものの、その謎を解く為に席を立ちつつ説明した。


「実はその島々は海に浮かんでいてね。

船を使っていくのさ」


話を纏めると、その島々は泳いで行ける場所では無いらしく、船を使っていくのだそうだ。だからここマルクスのプレイヤーは大体が自分の船を持っているらしい。


「だがあんた達は船を持っていない。

ディクヌが自分のを持っているから、彼と行くといい」

そう言われて少し休憩した後、ディクヌの案内を得て北城門を抜けた面々は北の港、マルクス港にやって来た。


門を抜けた先には人々が行き来する港があり、その奥にはその広さから水平線が見える海が広がり、所々を侵すように島々が点々と見える。

港は冒険者と物を売るNPC、そして航海の成果を他人に売り込む商人達で溢れかえる。血気盛んな冒険者と、その成果を売り込む為に交渉する商人。


これこそがこの港の日常、これぞマルクス1番の見所。


マルクスが「娯楽と航海の街」と呼ばれる所以が、ナナシ達の目の前に広がる。


「これでも少ない方なんだぞ。何時もはもう少し多い」

既に多くのプレイヤーに度肝を抜かれている所に、それでもまだ人の数が少ないらしい。それを聞いたタケが驚きでディクヌの方を振り向くのも仕方が無いだろう。

それに苦笑しつつも、歩きながら語り始めた。


「今はあの戦争でかなりのプレイヤーが出て行っていたからな。何時もの数になるのももう少し後になるだろう」

それを聞いたナナシ達は、改めて戦争が起こした結果を痛感する。


突如として起こった戦争。

それは毎日賑わいを見せたこの街にも影響を及ぼした。その事実が、ナナシ達のテンションを暗くする。

そしてそれはレンも同じだった。

レンからすれば、それは大人の事情で親友と別れ離れになった子供の様な気がしたのだ。レンは思い出す。

彼の周りには色々な子供達がいた事を。

高校生の時から、子供付き合いが多かったレンは地元の子供達のお兄さんだった。

勿論、その中には複雑な事情を抱えた子供もいた。レンからすれば、今回の戦争が引き起こしたものはそういう類のものと同じだったのだ。


それに、弟達が通う小学校でも戦争が及ぼす影響を考慮して子供達がログインできない様に徹底したのだ。


レンは改めて、2度とこんな事が起きない様に願うのだった。



ー2ーーーーーーーーーーーーーーーーー

タケルが回想の海に潜り、全員が船に乗り込んだ所でディクヌがウィンドウを開き、小屋の扉を操作する。


「わぁぁ」

扉を開いた瞬間、広がるのは潮の香り。

サーバーによって無駄にリアルに作られた、髪に引っ付く海潮の香り。


「帆を挙げろ‼︎出航だー‼︎」

ディクヌの合図を元に、一緒に船に乗り込んだ船員達がロープを引っ張り、船を操作する。ドックの隙間から流れる風が、張られた帆にぶつかって船を押し出す。


追い風に載った帆は船に推進力を与え、それを支える船はゆっくりと動き出す。

海特有の揺れを起こしながら、ナナシ達の乗るles pionnier (レス ピオニア)号はゆっくりと、しかし波に乗りながら進み始めた………






のだが、


「………………飽きた」


ザザ〜ン、なんて効果音がリアルで聞こえる中、タケは船の端に上半身をグッタリと預けながらそう言った。


既に港を出航してから1時間。

当初は滅多に感じられない海特有の波と潮の香りに、ナナシ達のテンションは最高潮に達していた。


しかし此処は海のど真ん中。

マルクスで見れた娯楽は既に鳴りを潜め、一度静かになれば波の音しか聞こえない。


次第に面々は飽きて行き、1時間もすればこうなる訳だ。


"飽きる"


この単語以外に、今の状況が説明できるだろうか? いやない。

因みに、全員がタケの様になっている訳ではない。

ナナシはその暇を利用して自分が持つ情報を整理し、女性陣は駄弁っている。

ヤマトは船員の1人と見張りを行い、タケルはディクヌと船内でこれからの予定を話し合っている。


そして船に乗った時恒例の、「船酔いでゲロを吐く」人物はと言えば……


「オロロロロロロロロロロ……」

以外にも船に弱いらしいメカタが、四つん這いで船の端に付いている穴から首を出しては吐いていた。もう少し吐けば虹色の綺麗な水に見えなくもない。


そんなちょっと哀れな様子のメカタを見るタケに、ふと後ろから声が掛けられる。


「タケ、ちょっと組手をしねぇか?

タケルさんとこはもう年配者の会話って感じがしたからもう居れねぇわ」

どうやらタケル達の会話に参加していたらしい。頭を掻きながら暇そうに喋るレンに、タケは苦笑を禁じえない。

因みにい、タケルはディクヌの持つレアなワインを2人して飲んでいたりする。


そしてやる事も無いからと、おうと一言だけ返して向き合う。

お互いが自分の武器に手を伸ばしたその瞬間、


「敵襲やでー‼︎戦闘配備‼︎」

唐突に放たれた、関西弁特有のヤマトの声。それに全員が反応する中、船内からディクヌとヤマトが出てくる。


「よーし、野郎共‼︎奴等が来るぞ‼︎」

ディクヌの合図に、船員達が気を引き締めながら配置に着く。

何が何だか分からないといった様に、ナナシが相手が分かっているらしいディクヌに聞き始めた。


「ディクヌ、一体誰が来るってんだ?」

「決まっているだろう。海と言えば……」


そしてニカッとダンディな笑みを見せながら、襲撃者の正体を言った。


「海賊さ」

どうも、少し少ないですが、気まぐれです。

課題もようやく終わりましたが、来週からまた別の授業……自転車操業って単語が浮かびますね。


それはともかく、次回更新は来週の何時もの時間に

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