第4章プロローグ
遅れましたすいません
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「予想以上の大所帯になっちまったな」
「でもまぁ、ディクヌさんは出来れば数は多いほうが良いって言ってたし、良いんじゃなですか?」
此処はグロリア街道、青と赤の領土の2つを繋ぐリベルタ平原を越えた先にある、青の領土の首都、マルクスへと続く一本道だ。
大抵の街道は無数の小道に枝分かれする物だが、このグロリア街道だけは一本道で首都に着く、少々奇怪な街道だ。
そして拓けた街道を、10人程の集団が首都目指して歩いている。
ナナシ一行の6人とタケル、ディクヌ、そしてテンガン山脈の戦いで見事MVPを獲得したレンとタケが助けた事で尊敬の念を抱いたのか、勝手に着いてきたメカタの合計10人である。
当初から9人も予定していたとはいえ、メカタが付いてきた事で二桁になった集団を見て呆れた様に言葉を零すタケに、テンガン山脈の戦いMVPを得たレンがディクヌの名で宥める。
実はこの2人、 かなり息が合ったりする。その証拠に街道を歩く途中で少し話しただけで、ある意味同類と判断したのか、今では仲が良い様だ。
因みに、なにで同類と判断したのかは……お互いに彼女持ちでは無い点で察していただきたい。
そんな彼らを含めてワイワイガヤガヤと楽しげに街道を進む一行の少し後ろを、少し離れて歩くタケルとディクヌ。
未だ高校生である一行を見守る様に歩く2人は、まるで孫を見守る祖父の様な眼差しで、先を歩く一行を見つめながら話していた。
「若いって良いもんだなぁ」
「もう80過ぎのオッサンでもあるまいし、気が早く無いか?」
「現実では30歳過ぎでね、今の生き生きとした彼らを見ていると、心が癒される物だよ。余りにも汚い社会から絶望し、いい歳してゲームに没頭するオッサンだ。
可笑しいと笑うかい?」
不条理に塗れた社会から目を背け、こうしてゲームで別の人生を歩む男がそう問う。
確かに端から見れば、いい歳してゲームを遊ぶ変な大人にしか見えないだろう。
故に、ディクヌは「いい歳して遊ぶ可笑しい大人」と呼ばれる事を覚悟した。
「いや、私達大人は未だ子供でもある。いい歳して未だに新しい物に目を輝かせる大人と同じさ」
しかし、タケルはそれは違うと言う。
誰でも新しい物を見れば、子供の様に目を輝かせると。それは、懐かしの戦隊物のヒーローを見て昔の輝きを見せる大人と同じなのだと。
「……………」
「どうした?鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をして」
「いや、そういう返事をされるとはおもっていなかった」
「結局、私達もまだまだ子供と言うことだ」
まだまだ子供、そう言われてディクヌは眉間の皺を緩めた。
喉の奥に引っかかって取れなくなった何かが外れた様に、ディクヌは救われた気がしながら空を眺める。
「そうか……」
言葉にしてたった一言。マルクスで待つダヌアが見れば悶絶するであろう爽やかな笑みを浮かべ、ディクヌは雲一つ無い、晴れた空を見上げるのだった。
「なーんかマキとヤマトの距離が近い気がする。」
所変わって先頭を歩く若者集団。
そう言ったのは新しく手に入れた新装備であるフェザーメイル……所々に羽が装飾された、如何にも弓兵の様な格好をしたサヤだ。
そしてその目線の先には、先程から全く話さずお互いに距離を少し置いたままもじもじするヤマトとマキの姿があった。
その姿はまるで、結ばれたばかりの初々しいカップルの様……
「もしかして、やっと付き合い始めちゃったりして」
案の定、そんな考えが浮かんだサヤがマキを弄り始める。「何処まで行ったの?」やら「キスはもうした?」やら聞くサヤと、それらの質問に頬を真っ赤に染めイヤンイヤンしているマキの姿は、さながら捕食寸前の小動物の様……
「戦争システムが終わった後、向こう(リアル)で色々話して、想いが吹っ切れて、そのまま自然となったんや。だからマキの事をいじめるのはやめてくれんか?かんにんや」
当然の如く、ヤマトが助けに入る。
それを聞いたマキが半ば涙目でヤマトに抱きついた。何時もなら「やめんか」やらなんやら言って離すのだが、ヤマトは「よーしよし」とマキの頭を撫でており、心境の変化が窺える。少なくとも、幼馴染を越えた何かに行き着いたのは確かだろう。
そんなラブラブ(?)な2人を見て、ナナシは今朝の出来事を思い出すのだった。
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戦争は終わり、スッキリとした表情で目覚めたナナシ。アップデートが成された割には変化が見えない事に疑問を感じながらも、ナナシは首都の中央に位置する領主間へと足を運んだ。
「来たかナナシ。今後の事に付いて話し合おうか」
「少年達よりも早くログインした甲斐があると言うものだ」
そう言ってナナシを出迎えるタケルとディクヌ。そう、彼らはタケ達が集まる30分前に集まり、アップデートに付いての詳しい話をしに来たのだ。
アップデートの情報を持たないナナシにとっては重要な情報源である。
結果、今回行われたアップデートにて変わった要素は、
-新しい装備
-新アイテム
-スキルの統一、整理とバグの廃除、修正
-戦争の間に解除されていた、領主間の瘴壁を一部変更した上で再設定
と言った所だ。
詳しく言うと、新装備やアイテムが普及した。此処までは言わずともわかるだろう。
大きく変わったのは最後の2つ。
まず、長きに渡って隠されてきた仕様と言う名のバグが修正された。
流石にリベルタ平原に置いて堂々と使った事で、遂にGMの目に触れたのだろう。
残りの2つのバグもネズミ演算式に見つかり、修正されたと言う。
更に幾つかの似た様な効果を持つスキルを統合、判別しやすい様に変更したらしい。
例えば縦斬りから派生して習得出来るスキルが2つある。「パワースラッシュ」と「幹竹割り」だ。この二つは両方、最初に覚えるスキルである。
つまり、既にパワースラッシュを習得しているタケは幹竹割りを習得出来ないのだ。
今回行われたアップデートではこの二つを統合、「スラッシュ」に改名した。
簡単に言えば、似た様な効果を持つスキルを一括りにする事でラグやバグを少なくしたのだ。
尚、バグによってアカウントを止められたヤスを始めとしたプレイヤー達も(少々の弱体化付きではあるが)アカウントを修復できたらしい。青の領土への旅行には行かないが、復帰は出来るそうだ。
そして一番大事なのが、 領土間を隔てていた瘴壁についてだろう。
戦争システム発動時に消えていた瘴壁だが、3日目が終了した時点で復活した。
ただし、同盟を組んだ領土同士では行き来出来るらしく、赤の領土プレイヤーが青の領土に入った事も確認されたらしい。
近い内に領土間の交流も行われるだろうとの事だ。
「ーーと、これらが一番変わった事だ。
まぁ、細かい話はこれ位にして。そろそろ他の全員が来るだろうから準備するとしよう」
そう言って、タケルが締めくくる。
立ち上がった3人はこれからの事を予想しながら、青の領土についてからの予定を確かめあったのだった。
ーーと今朝の事を思い出しながら、ナナシは物思いにふける。
戦争システムは終わったが、未だ帝国同盟との怨念が消えたわけでは無い。
これからまた、別の凶悪なシステムが実装されてもおかしくは無い。
つまり、今の平和は仮初めの物でしかないと言う事だ。
だから今は、青の領土への旅を楽しもう。
そう思うナナシだった。
どうも、気まぐれです。
と言う訳で4章スタート‼︎
政治的な話が多かった3章と比べ、もう少しほのぼのと行きます。
一応敵は現れるので戦闘シーンありますよ‼︎
これからもよろしくお願いします。
次回更新は1週間後、同じ時間に




