3章エピローグ
コネクトオンラインは現在、3人のGMからコントロールされている。"管理者"と呼ばれる彼らは誰もが有名で、世界レベルで名を知られる人物で構成されているのが特徴だ。
そして日本のとある建物、その地下に管理者の1人である共馬が座っている。
目の前のディスプレイに映るのは、2人目の管理者でありコネクトオンラインのシステムを管理、維持する人工知能、"アインシュタイン"から送られた3日に渡る戦争に付いての報告書だ。
「正に正反対の結果だな。アップデート後が楽しみだ」
満足そうに呟く共馬。その吊り上がった口や細められた目からは楽しそうに見える。
報告書には戦争3日目に生まれた二つの大きな同盟に付いての細かい部分がきめ細かに書かれている。
同盟がどの領土から成るかは勿論、お互いのトップの名前やその詳細な動き、果てにはその戦力すらも記されているという、国の諜報機関も真っ青のレポートだ。
「どうかね、私が書いたレポートは?正直に言ってかなりの出来だと思うのだが」
ふとディスプレイから無機質な声が放たれる。常人なら驚いて周りを見渡すだろうが、共馬は聞き覚えのある声から誰だか分かったようでその問いに答えた。
「とてつも無いほど良い出来…と言いたいが、一つだけ聞いて良いかな?」
そう言う共馬のこめかみには青筋が走っている。明らかに何かに対してご立腹の様子に、アインシュタインは「何が?」と返した。姿が見えるのならコテン、と首を可愛く傾げていた事だろう。
その言い草にキレたのか、音量を上げた声で理由を話した。
「なんで知らなくても良い情報まで入っているんだ⁈」
その一言が全てを物語っていた。
実はこのレポート、なんとプレイヤーの個人情報まで入っていたのだ。
本名は勿論、仕事や家族構成がきめ細かに、いつ調べたんだと言えるくらい書いているのだ。女性のスリーサイズや性癖が書いているのを見た共馬のこめかみに青筋が浮かんだ事は仕方なかったと言える。
かくして各重要プレイヤーの個人情報等が書かれた、100ページにも及ぶ3日目の戦争報告書は共馬に読まれ今こうして叩かれているのである。
「そうかね?私としてはコネクトオンラインと現実、両方の情報を持っていた方が良いと思うのだが」
「ああそうかい。俺にはドヤ顔のお前が想像出来るのだが?」
「そう怒るなよ共馬。そうストレスを溜め込むのは良く無いぞ?」
「その元凶は誰だと思っているんだ?」
「さぁね」
そう言い残して声は途絶える。
やりたい事だけして逃げるその有様から、昔の偉人は変人が多いという言葉に確証を持たざるを得ない共馬はもう一度そのレポートに目を通す。
そこには今回の戦争システムを採用するに当たっての重大な部分が書き記されている。
曰く、今回の戦争は"矛盾"に対してプレイヤーがどう向き合うかを見る為だという事。
曰く、人間に完璧な自由を与えた場合にどういう行動を取るかを観測したとの事。無慈悲に殺す者も居れば、甚振るように殺す者もいたし、中には女性プレイヤーを強姦する者もいたそうだ。
曰く、そのルール上で信頼関係を結ぶかどうかを確認した事だ。
これら全てを読んだ共馬は呆れたように目を逸らした。
アインシュタインからすれば、コネクトオンラインという世界自体が巨大な実験場なのだろう。
何故なら、コネクトオンラインを世間に晒す際に領土間の交流と接触を禁ずる事を提案したのはアインシュタインなのだから。
アインシュタインは保管された本人の脳細胞を培養して生まれた擬似人格なのだ。そこに現在の情報を組み込んだ、人工知能とアインシュタインの人格が合わさった存在、それが彼だ。
そして今は3人いる管理者の一角を担っている。しかも残りの管理者は仮想現実の天才と謳われた共馬と、アインシュタインの生みの親なのだ。コネクトオンラインの全てを彼ら3人が牛耳っていると言っても過言では無い。
そんな彼等だが、目指す思想は全くの別物だ。
共馬はVR技術の先を見る事。
アインシュタインは未来に生きる人類の観察
そしてアインシュタインの生みの親は何を考えているのかすら想像出来ない。
故に共馬は手は出さず、自我を持ったNPCであるナナシに興味を持ったのである。
「そう言えばナナシが影響を受け無いようにしないとな」
それは近い内に出すであろう、コネクトオンラインの初のアップデートについてである。その時に色々と調べたりするので、下手するとナナシがバグとして消されかねない為、共馬は色々と手を打つ必要があるのだ。
「じゃ、始めますかね」
そう言って共馬はパソコンのキーボードに手を伸ばす。
そして戦争が終わった次の日、インターネットを通じてコネクトオンラインのアップデートが行われるのだった。
コネクトオンラインVer.2.0 "結束の時代"
遅れてすいまっせんしたー‼︎ (精一杯の土下座)
いや、大学の試験の週とか色々と重なって書くのが遅れた挙句、こんなに少ないなんて…本当にすみません。
しかしやっとの事で戦争編が終了しました。今回は政治的な部分に付いての描写もあったので色々と調べる事もありました。
次は青の領土訪問編となっております。
これからも、数少ない読者の皆様に読んでいただけるよう頑張ります。
では、来週




