表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRのその先に  作者: 気まぐれ
第3章 戦争編
36/70

明日の前日譚

ー1ーーーーーーーーーーーーーーーーー

突如として放たれた閃光。

想定外の横槍に、二人は勿論、観戦していたシズやヤマト達の動きをも止めた。

しかし考えてみてほしい。座って観戦していたタケ達は良いとして、既に動き出していた二人が急に動きを止めたらどうなるか?


「痛っ⁈」

「うげっ⁈」

急に動きを止めた2人は、慣性の法則(?)に従って転げ落ちる様に前に転倒。しかも距離は既に二、三歩と言うところだったが為に「ゴチンッ」と鈍い音を立てながらぶつかり合った。


「俺の勝ちだな。俺が先に頭突きをした」

「寝言は寝て言えタケ。俺の方が早かった」

かなり鈍い音が聞こえた事から周りが心配で集まってくる中、さっきまでの威圧感や緊張が抜け軽口を言い合う2人。その様はさっきまでの姿からは連想出来ない、いつも通りの彼等、仲の良い友達同士にしか見えなくなった。


「さて、やっと止まってもらった所で本題だ」

そう言って庭に足を踏み入れたのは、逞しい老人とは思えない身体つきにトレードマークである銀色の立派な髭と髪型というある意味特徴的な老人……もとい、青の領土の東の隊長であるディクヌだ。

そしてその右手には、単発式の簡単な作りな銃が握られている。

それは即ち、先程放たれた閃光は彼による物だったという事だ。

そしてその事実に、タケルの目が細められる。今のタケルの脳内では、初めてディクヌと出会った時の事を思い出していた。


目の前に立ったディクヌ………

武器も持たず丸腰で交渉……

あっという間に出来た同盟……

しかし何も出ない。いや、喉の奥に引っかかって出掛けている、と言った所か。

とにかく、もう少しで何か分かる気がするのだが………


「君達を我らが青の領土に招待する‼︎」…………………………………

…………………………………

…………………………………

リアルで時が止まった、と表現するのはこうだろうか?と言える程綺麗に、ピタッと動きを止めた一同。

そしてそれはタケルも同じらしく、今までの考えが吹き飛んでしまったみたいだ。


そして招待した本人は、まるでイタズラに成功した子供の様にニカっと口の端を釣り上げるのだった。



そして試合を中断された事で不機嫌になった2人を諌めながら全員で縁に腰を掛けた所で、ディクヌからその招待に付いての説明が行われた。


「こいつは青の領土……つまりわしらの領主が考えた事でな………」


ー2ーーーーーーーーーーーーーーーーー

場所は変わって白の領土、リーベルの中央に座する白亜の城にて。

その中央に位置する玉座の間を、1人の男が支配していた。

玉座に座るその姿はまさに帝王の様。

その前で頭を下げる王芳(ワンファン)と、その更に背後でこれでもかと言わんばかりに頭を下げ、ひれ伏す数人のプレイヤーは異様と呼べる光景に見えるだろう。

敢えて何に見えるかと言えば……王とその謁見と言った所か。

そしてその王、アルベルトが口を開いて言った。


「それで、民の方はどうだ?」

まるで本当の王の様な物言いに、一番後ろで控えていた男達の顔が歪む。

アルベルトは見えないのか、それとも例え反発しても叩き潰す自信があるのか、何もしない。そしてその自信からくる仕草が、更に男達の機嫌を逆なでした。


しかし、誰も前に出れないのだ。

この世界がゲームの世界なのは分かっている。相手は現実世界では何も力を持たない若造だと分かっていても、下手に手を出せないのだ。

思い出すのは1時間前に行われたある行事である。

王の謁見と呼ばれて行われたそれは、簡単に言えば謁見という名の粛清であった。

集まったプレイヤーの中から現れた、アルベルトに反するプレイヤー達を自らのスキルで完璧に封殺し、半ば見せしめの様に倒したのだ。


そしてそこにアルベルトを支持する様に現れた勇者を前に、誰1人としてアルベルトに異議を申し立てなくなった。

しかもアルベルトの前に跪く男達は、ほぼ全員がβ版の頃から遊んでいる言わば、白の領土の始祖の様な存在なのだ。

彼等がアルベルトに下る事で、障害は全て消し去ったとも言える。


そんなで男達が顔を歪める一方で、玉座に座るアルベルトは今までに無いくらい口の端を釣り上げていた。

蘇るのはいじめられていた時の記憶。

そして目を開ければ広がる光景に、アルベルトは感動を禁じえなかった。

今までは想像する事すら出来なかった光景が、自分の目の前で起こっているのだ。

ゲームの中だけとは言え、それらはアルベルトに大きな多福感をもたらしていた。


(さて………最後の仕上げに向かうか)


こうして反逆者を一網打尽にしたアルベルトは、本当の王国作りに着手した。

これが恐怖政治によって束ねられ、数年に渡って力を示した『白亜帝国』誕生の瞬間であった。


ー3ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ディクヌからの説明が終わった後、ナナシはあてがわれた部屋にあるベッドに寝そべりながら先程の説明に付いて思い出していた。


ディクヌが話したのは、今回の突然の訪問の理由とそれらの予定に付いてだ。

同盟を組んだ相手と交流を深める為というのが一番の理由らしく、どうやら言い出しっぺである青の領土から招待する事にしたらしい。


それ以外は向こうへの行き方や、向こうでの周り方などの情報の確認が行われた。

そしてそれが終わり次第、休憩という事になったので寝転んでいたのだが………


「入るのか出るのかハッキリしてくれ」

そう、少し前から扉を少し開けてはナナシの事を除いてくる影があるのだ。

まぁ、ナナシは誰だかわかっているのだから別に警戒する事でもないが…


「うん…」と言いながら、ナナシの予想通りにシズが部屋に入ってきた。その表情からバツが悪そうな顔をするのを見て、流石にナナシの表情を緩くなる。


「で、どうした?」

「うん…話したい事があって…」

その物言いから、真面目な話だと想像したナナシはシズを横に座らせ、話の続きを急かす。


「あ、あのね?私ナナシに告白したじゃない?」

「ああ」


それはシズ達が初めての死から立ち直った直後、シズがナナシに告白した時の事だ。

端から見れば実ることのない、それが当たり前な事なのだが……


「あなたの事は好きで居続けるわ。

だけど、あなたはやる事があるのでしょう?だから、アプローチはやめるわ。

でも、諦めた訳じゃないから」

つまり、アプローチは止めるが好きでい続けるという事だろう。

それでも、シズに幸せになってほしいナナシからすれば些細な事だった。


「そうか、じゃああの強烈なアプローチはもう無いって事か」

「もう、強烈って言い方は無いでしょう⁈」

ははは…とナナシは笑って誤魔化すのだった。

どうも、気まぐれです。

ここ最近、定期的に載せれなくなってきました。一応1週間に一度は載せようかと思います。

あ、あと数日中に書き留めた短編出そうかと思うので宜しくお願いします。


ではまた来週

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ