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VRのその先に  作者: 気まぐれ
第3章 戦争編
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魔法とその代償

コネクトオンラインがサービスを開始してから2週間、このゲームに一つの集団がログインした。

「オカルトゲームズ」という名のパーティを組んだ彼らは、後に大賢者と呼ばれる事となる。

彼らは現実でもオカルトを探し、時にはUFOを呼び実験などをする集団で有名だった。

そんな彼らは驚きの行動に出る。

チョークや水、更には用途が分からないアイテムやアンテナらしき物を買った。

ここまでくればお分かりだろう。

そう、ゲームの中でUFOを呼ぶ実験をしようとしたのだ。

側から見れば馬鹿馬鹿しいのだが、イベントで使われるアイテムなどでUFOを呼ぼうとする奇行を、当時の野次馬は揃って結果を見届けようと集まった。

結果、実験の為にフィールドのエネミーを一掃するという、協力者の様な関係になったのである。


そして実験が始まった。

チョークで魔法陣を描き、あちこちに用途不明のアイテムを置いていく。聖水や何かの爪など、置かれるものがアレなので余計にこの実験は注目を浴びた。


遠くから大勢のプレイヤーに見られながらも、オカルトゲームズのプレイヤーは準備を整えていく。1人がアンテナを肩に担ぎ、他の全員が天に向かって声を送る。

この時、野次馬のプレイヤー達は失敗するだろう、などと考えながら、まるで馬鹿にする様に見ていた。

しかし、空に異変が起きる事で彼らの顔には困惑の表情が浮かぶ。


急に空が黒ずむ。

そして天が割れ、そこから何かが落ちてきた。

しかし、それはオカルトゲームズが望んでいたものでは無かった。

それは途轍もなく大きな隕石だった。まるで空間を貫くかの様に、風の摩擦で起きる音を鳴らしながら隕石は落ちてくる。

そしてそれは、実験中の彼らを中心に落ち、爆風を放ちながら地面に衝突した。


これが、コネクトオンラインのサービス開始後初めて確認されたバグで、後に分析と改修によって上級者の間に広まった初めての魔法、


隕石降下(メテオフォール)である。



「と、言う訳さ」

「いや、急に言われても」

そこまで話して、タケルの側近であるヤスはタケの方を見た。目の前には若干、慌てた様子のタケが居る。


実は、ダグラスを相手にしようと飛び出したは良いが、ダグラスの方が逃げてしまったのだ。しかも、それを皮切りに相手の増援を確認した為に追いかける事も出来ず、こうやってタケルと合流しヤスからいきなり話しかけられたのである。


「それで、それを使えばあいつらを一網打尽に出来るって訳ですか」

「そうだね~、 かなりの数ヤレると思うよ?

結構リスキーだけど」


2人は揃って視線を右に向ける。

そこには人の波があった。

いや、群れがあった。全員が動いているため、その様に見えるのだろう。それ程、青の領土側の援軍は多かった。

戦況を変える為に援軍で来たというのに、向こうは更に数を揃えて来る。

圧倒的な戦力差を前に、何人かは逃げ出してしまった程だ。


故に、ヤスは逆転の策として隕石降下(メテオフォール)を提案したのだが、タケが知らなかったために説明し、冒頭に至る。


「ふーん、でも何で修正パッチが出ないんですか?バグではあるんですよね?」

年上相手だからか、敬語になっているタケがそう質問する。

確かに、バグを告発する仕事のプレイヤーや運営があると言うのに、サービス開始直後から発見されたバグが未だに残っているのはおかしいのだ。しかしーーー


「デメリットがあるとは言え、それに見合うパワーがある。運営側はーーー案外、誰かが見逃してくれてるかもよ?」

そう言ってなーんてね、と笑うヤス。

しかし、実際その通りなのだから現在ここに居ないナナシからすれば笑えない。


「でも、デメリットって何ですか?」

今更ながら、そのデメリットを聞くタケ


「そうだね~まず、使ったプレイヤーはそのアカウントでログイン出来なくなる」

「え?」

「聞いた話なんだけどね、何でも使ったオカルトゲームズのみんなは、隕石を自分たちに向けて落としたんだけど、後に彼らのブログでログイン出来なくなったって報告があったんだ。

これは、そのアカウント使用不可がスキルディレイじゃないのかって考えられている。通常のスキルが疲れをスキルディレイに割り当てている様に、あの隕石がアカウントの使用権限を削って起きた事なんじゃないかって」


実際、ヤスの推測は的を得ている。

他のゲームで例えるなら、MPの代わりにHPを消費して魔法を使う様なものだ。

通常は減らないものを犠牲にする事で、仕様を超えた力を無理矢理引き出すのである。


「で、それは誰がやるんですか?」

「僕だけど」

何気なく聞いた返事に、タケの思考が一瞬停止する。それはつまり……


「ヤスさんのアカウントを犠牲にって……

ダメですよ‼︎」

「それ以外に方法が無いからね。

それに、別のアカウントを作れば済む事だし」

そういう事だ。

ヤスは自分のアカウントを犠牲に、この大きな戦いに決着をつけたいのである。

デメリットは、新しく「ヤス」を作れば良いだけだ。


「それでも、今の強さで、今の外見のヤスさんが消える事になる‼︎

ゲームだとしても、ゲームという名のもう一つの人生だからこそ、俺にはここで消えて欲しく無い‼︎」


それはタケの偽りざる本音だった。

誰が言い始めたのだろう、ゲームと現実は別物だと。しかし蓋を開けてみればそれは違った。いくらゲームの中の別のキャラだとしても、

結局は同じ事なのだ。現実での生き方はプレイスタイルに影響し、現実での性格は態度に影響する。

故に、1人の「プレイヤー」が目の前で死ぬ事を許せなかった。


「分かったよ、そういう無駄死にみたいな事はやめる。

さぁ、タケルの所に行こうか。生き残る為にも、ね」

そういってヤスは腰を上げ、タケルの待つ最前線の一歩手前あるキャンプへと向かう。

タケは後に、ついて行かなかった事を後悔する。

しかし、ヤスの表情からタケはそれを察知する事は出来なかった

どうも、気まぐれです。

色々と忙しくなりそうですが、何とか4日以内に次回を更新したいと思います。


次回更新は11時頃です

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