幕門 交錯する思い
どうも、気まぐれです。新学期が近づいてきてますね
学校の皆さんは頑張ってください
深夜、闇に浮かぶ月に照らされる部屋の中にタケがいた。彼は自室のベッドの端に座り、一思いに耽っている。理由は勿論、戦争の2日目の事である。
リベルタ平原の戦いが進まない事を聞いたタケルに、翌日リベルタ平原で戦えと言われたのだ。しかもそのタケル本人も参加するらしい。
しかしタケは納得がいかなかった。
幾らゲームの中とはいえ、人を殺すのだ。人を殺める経験なんて無いし、したくも無い。そんなタケは戦いを躊躇していたのだ。
そんなタケは前に読んだ某デスゲームの台詞を思い出す。たしか、幾らゲームの中でも、その行動はリアルに影響する、だったかとタケはベッドに寝そべる。
そう、ゲームという偽りの世界に居ようと、そこでやった事は自分が、自分の考えで行った事である。確実にそういう行為は未来の自分に作用するのだ。
こういう場合、幾らかに分かれる。
一つは、ゲームだと思って開き直る事。テンガン山脈でサヤ達がしていた様に、ゲームだと割り切って出来るだけそういう事を考えない様にする事。
もう一つは、防衛行動と割り切る事だ。やらなければ、自分達が殺られる。自らの身を案じて自己防衛に走る事で、自分のPKに対する戸惑いを無くす。
ヒドイとか、逃げているとか、色々言われるだろうが、それが現実なのだ。なんも躊躇も無しに、理由も無く他人を殺れる人なんて存在しない。居るとしたらそれは人間じゃ無い。人間の皮を被った悪魔だ。
つまり、結局は本人次第なのである。タケは悩みながらも、2日目に向けて英気を養う為に夢の世界へと旅立つのだった
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「ん〜、ふふ〜」
気の抜けた、そんな声で歌を口ずさむ男がいる。彼は暗黒の中、周りにウィンドウを表せて何かを操作していた。
前が開かれた白衣に空色のシャツ、パンツを纏う降ろされた黒髪の男は言わずもがな、共馬その人だ。
戦争1日目が終わった為、ナナシが何をしているのか探していたのだ。しかし、今のナナシはタケルとの戦いで傷つき、動けない状態だ。見つかる訳も無く………
「う〜ん、どこに居るのやら……」
共馬を盛大に唸らせていた。ウィンドウを開いてからかれこれ一時間経っている為、幾ら捜しても見つからない事に焦りを覚えているのだろう。
ナナシは特別な存在だ。彼はどんな影響を及ぼすのか見る為に見逃したというのに、何もしていないというのは彼の想定外だったのだ。
まぁ、ナナシが傷付くという事態自体、彼にとって想像外なのだが……
「まぁ、地道に探しますか……」
徹夜する事を覚悟しながらも、共馬は再びウィンドウに向き、ナナシの行方を捜しにキーボード上の指を走らせるのだった
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タケと時を同じくして、シズも自室で悩んでいた。内容は勿論、ナナシに対する心境とこれからに付いてである。
元々、シズはお嬢様なので政略結婚をされるだろう。つまり、彼女は恋愛とやらを経験した事が無いのである。その他の事に付いては知識があるのに、恋愛だけは何も知らない。
そんな彼女に恋心を学ばせたのはナナシである。一緒にいる内に、彼と共にいる事を更に望んでいく。いけないと分かっていながらも、ゲームだからと、NPCだからと自分の行いに目を瞑り、恋心を学んでいく。
こんな事が両親にバレれば大事だし、下手をすればゲームも取り上げられてしまう。普段は出来るだけ彼への思いを抑え、ゲームでそれを再認識していく。
まるでナナシを利用するかの様な事だが、それ以外に彼女が"恋愛"と言うものを理解する方法が無かったのである。
そして今、彼女の中である思いが渦巻いていた。即ち、
「彼をこのまま好きになって良いのか?」
である。今更と言えばそれまでだが…今のシズはそれでいっぱいなのだ。
「あう〜〜」
可愛らしい声を出しながら、シズはベッドに寝そべる。
答えが出るのはまだ先の様だ……
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「戦争1日目終了、お互いのスケジュールを再確認後、再び戦いに入る様設定する」
暗闇の中、どこか無機質な声が響く。辺りには誰も居ないのだが、声の主は気にしないとでも言うかの様に続ける。
「戦闘データをフィードバック、メモリーに保存。世界図書館 に移動。引き続き、データの採取に移る」
空間にディスプレイが幾つも現れる。それらには戦争の様子が写されていた。
「共馬の願いの為……このアルベルト アインシュタインは必ず、任務を成功させる。」
こだまする決意の声。暗闇を、コンピューターの電子音が支配した
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所変わって舞台はフランス。二人の男が向かい合っている。一方は頼み込む様に頭を下げ、下げられている方は困った様に頭を掻いている。
「頼むよ、神の武器とやらを手に入れたんだろ?」
その言葉に、男の頭を掻く手が止まる。そして聞く。どこで聞いた? と
「俺たちの情報網をなめるな、頼むよ」
「わーった、分かったよ」
どうやら折れてくれたらしい。行けと言えば直ぐに行ってくれそうだ。その手に槍を出現させ、目をギラつかせる。
「腕が鳴るぜぇ、なぁ、ゲイボルグ」
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月明かりが照らす部屋の中、タケルが座っている。未だ膠着状態のリベルタ平原に援軍として赴く彼は、何時にも増して無口だった。
「例え被害が出ようと、人殺しと罵られようと、勝つぞ」
その言葉には、今までに無い覚悟と、信念が見えた
そして2日目が幕を上げる




