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VRのその先に  作者: 気まぐれ
第3章 戦争編
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開戦

遅れました、すいません

赤と青の領土の境目には広い大草原がある。

"リベルタ平原"と呼ばれる其処は、山も木も無く、只々草原が広がるだけで有名なフィールドだ。

他のフィールドの様に奇襲される恐れが無く、強力なエネミーが出現する訳でも無い。

領土間の境目にある為半分しか使用できないが、其処は初心者の腕試しには持ってこいの場所である。


普通なら初心者がたむろするリベルタ平原だが、土曜日の今日だけは違かった。

領土間のバリアーを挟んで二つの大軍が立っていたのだ。


それぞれの装備を持ち、興奮の為か話が絶えない赤の領土所属のプレイヤー達と、青で統一された装備を見に纏い、何処ぞの軍の様に整列している青の領土所属プレイヤー。


ガヤガヤと声が絶えない赤の領土側と何も言わず、一言も喋らず動かない青の領土側。


正反対と言える異質な雰囲気。

時刻は日本時間の午前8時半。

管理者が設定した、戦争開始時刻は日本時間の午前9時。


残された30分を、お互いはそれぞれのやり方で過ごす。


その時間は、刻一刻と迫っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

話は1日前に遡る

タケ達はタケルの家で鍛錬に挑んでいた。

ナナシとの戦いの後でタケルにも事情を話した結果、なんと謝られたのだ。


「普通はそんな話は信じられないが、あの戦いで彼が異常だという事は分かった。君達を信じよう。そして済まなかった、君の仲間にあんな事をして」


以上が説明を受けた後のタケルの第一声である。

やはりあの戦闘で他のプレイヤーに見られない違和感があったのか、アッサリと信じた。


そしてその償いをしたいと、自らが所有する建物の一つを貸したのだ。


かくして戦争までの住まいを手に入れ、更に稽古までつけてもらう事になったタケ達だが…………


「このスキルの余剰モーションは何かな⁈」

「大体どれ位のタイミングで繋げれば⁈」

「弓スキルでも出来るかな⁈」


「教えて‼︎ タケ先生‼︎」

「知るかァァァァァァァァァァァァ‼︎」


教わるどころか、スキル連結を見せてから教える側になっていたタケ。因みに先程タケに聞いていたのは上から順に、

ヤス (タケルの側近)

タケル

サヤ


である。稽古をつけると言った本人まで参加してしまった上に、あの三年○組の先生ネタをするという惨事を前に、タケは全力のツッコミをするのだった。



そんな騒がしい声を聞きながら、シズはナナシが眠るベッドの横に座っていた。

あれからナナシに変化は無い。

身体の火傷も消える気配は無いし、これ以上悪化する気配も無い。ハッキリ言って、生きているのか死んでいるのかすらも分からずじまいだ。


「ナナシ……」


シズが話し掛けるが、ナナシに変化は無い。タケが教える側に回った時にさり気なく逃げたものの、シズがナナシにしてあげれる事は何もなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その日の夕方、タケルは全員を集めて会議を開いた。内容はーーーーー


「それでは、明日の戦争1日目のミーティングを行う」


そう、戦争は遂に翌日まで迫っているのだ。細かい調整を行いに、会議を開いたのである。


「取り敢えず、初日は赤の領土と繋がっている青と黄の領土対策だ。

先ずは領土の境目に配置して、必要な援軍を送る。連絡係は明日の朝、ログイン出来るなら?」

「「「了解っす!明日の朝一番にログインしましょう!」」」


タケルの問いに連絡係のサル、トリ、ネズミが返事をする。彼らは三つ子の連絡係だ。


「よし、それじゃあ明日は直ぐに何人がログインしたか確認する‼︎

みんな、これは戦争だ。躊躇していたら殺される!良いな‼︎」


「「「「「「はっ‼︎」」」」」」」


タケルに全員が答える。

初戦は明日、プレイヤー達は英気を養いにログアウトしていくのだった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして迎えた翌日

赤の領土に、日本人を中心に一万人が集う。

4000人を各領土の境目に用意し、残った2千人の精鋭が首都ハナに待機。


準備は万全。皆がその時を待つ中、遂に時計が9時を指す。


カチリ、


「突撃ぃぃィィィィ‼︎」


誰が叫んだのだろう

しかし誰もそんな事は気にしなかった

戦争が始まった事実が彼らに力を与える。


敵を殺せ

全てを奪え


向かい合っていた両軍が激突する中、そんな声が聞こえたーーー気がした。

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