新兵器
あくまでも、フィクションです。フィクションですからね。
ある国の軍事施設で生物兵器が開発された、と言う情報がスパイの耳に入った。スパイの必死の努力で、生物兵器の周辺情報がしだいに集まってきた。
即効性ではなく遅効性である。致死率はそんなに高くないが、発症した後の治療は極めて困難である。空気感染する。ワクチンはまだ開発されていない。
どのような症状が出るかが不明であったが、この情報だけはどうしても入手できなかった。
スパイは報告を送り、さらに調査を続けた。だが、ワクチンがないという点から現時点では即座に実践投入されることはないだろうと考えていた。
軍事施設を視察に来た指導者が聞いた。
「例の生物兵器はどうなった?」
「はっ、すでにご指示どおり世界の主要国で散布しております。我が国からはかなり離れた国に限定しましたので、我が国に達するにはまだ時間がかかるかと思われます」
「で、ワクチンはまだ開発できないのか?」
「申し訳ございません。急がせてはいるのですが、症状が特殊なモノですので・・・ 開発でき次第国民に投与できるよう」と言ったところで鋭く割り込む。「国民には不要だ、我々指導者集団の分だけでよい。まぁ、我々にしても感染の兆候が見えたときに対策すれば良いだけのことだ」
「はっ、我が国を中傷するブタどもに思い知らせてやります!」
その頃、遠く離れた国のテレビからニュースが流れていた。
「最近の健康ブームについてレポートします。ジョギングやダンスなどの運動を始める人が増えています。始めた動機は体重の増加が圧倒的に多く、普段どおりの生活でも太り始めたという人がほとんどです。肥満は生活習慣病に繋がり・・」
くどいようですが、フィクションです。国も人も、特定のモデルはございません。