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綿柎開(わたのはなしべひらく)

水の宇宙人マナブと破壊の概念インテリタスが紡ぐ連作短編です。


木綿のお洋服とか布団、適度な重たさがあって身を守られているようで安心します。綿が弾けるのはもう少し先のようなので、綿にはがくの中に戻ってもらってみました。


■いる人

インテリタス…破壊の概念。少女の姿を得た。人間勉強中。怪異に巻き込まれる。

マナブ…水の宇宙人。美青年。世話焼き。バンドのベーシスト。インテリタスに巻き込まれる。

 空き地には垣根を越えて侵入してきている植物があった。伸びた枝からは茶色の球体がいくつも生えており、その中身が飛び出て白いものが覗いている。十字の切り口からはみ出ているのは、透き通るような汚れのない純白だ。果物のようにも見える実は、よく目を凝らせば繊維質でツルン、とは言い難い。それは綿花と呼ばれるものなのだが、あいにくマナブの知識の中にその言葉はなかった。


 さて暴発させたのは誰か。


「また、壊したのか」


 茶色の殻から白い内臓を跳び出させた玉を少女がぼんやりと見上げていた。その背に声をかけると心外だとでも言うような目が振り向いてマナブを睨める。


「こわれた」

「勝手にそうなったみたいな言い方するなよ」


 マナブがそう窘めるがなおも首を横に振るので、隣に立ってよく見てみる。なるほど、その実は少女──インテリタスが普段壊さないような壊れかたをしていた。均等に開いているのである。少なくとも暴力によって無理やり破裂させたというわけではなさそうだ。


「壊れたって……、割れたのか?」


 尋ねるが要領を得ない。そのうち、少女は難しい顔をしながら、手ぶりで花開くような仕草をして言った。


「さいた」


 それが合図だったのか、二人は身体ごと、白い綿に包まれ植物のがくの中に吸い込まれてしまったのだった。


 ***


 コットンボールの中で座っていると高級な布団の上で過ごしているようで、うっかりすれば眠りこけてしまいそうだった。ふわふわ、そしてさらりとした感覚が肌を撫でる。丸いソファがゆらゆらと身体を揺らす。さながら、揺りかごの中である。この寝床でならば、不眠症になどにならず、マナブもゆっくり眠れそうなのに……。


 そうも言っていられないのは、この綿花の中に閉じ込められている理由が、怪異に巻き込まれているからである。食人綿花なんぞ聞いたこともないが、口を開いた花は人間(大の人外)二人を飲み込んでいる。どのようにして食われるのかは不明だが、あるいはこの小さな部屋の中で首でも絞められるのかもしれない。


 さて、この中から脱するために、水で濡らして綿を萎ませるべきか、あるいはインテリタスに内側から外殻を破裂させるべきか……。


 インテリタス、と声をかけると、肝心の少女は大量の綿にダイブしてその柔らかさを楽しんでいる最中であった。綿の中に身体を沈ませながら、目をうっとりとさせ、今にも眠りそうである。早く脱出する算段を付けないといけないのに、その表情を見ているとマナブも余計に眠くなって、きた……。

読んでいただきありがとうございます☺

読者の皆様に少し不思議な出来事が降り注ぎますように……!


もしよければ評価を頂けるととても嬉しいです。


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