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モブが愛したツンデレ令嬢~異世界配信したら最強のリスナーがついて助かってる~  作者: 白神ブナ
第5章 俺はモブじゃねえ、スパダリだ

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第74話 ブルマは見ていない、少ししか

 修学旅行が無事? に終わり、一週間が過ぎた。


俺たちはいつもの生活に戻っていた。

学校では、いまだに修学旅行の思い出話に花が咲くことがある。

まぁ、楽しかったのは認めるが、俺だけずいぶん大冒険した気分なんだよなぁ。

堀田はずっとハンバーガーショップに引き籠っていて楽しかったのだろうか……

それでも、ハンバーガーショップのラスト五分間だけは至福のひとときだっただろう。


あの日の夜。

あの竜崎との一戦の後、みんなと合流した俺たちは、当然、有村と芹沢に何があったのかとホテルで追及された。

適当な理由をつけて誤魔化したが、勝手な行動をしたのに、なんのお咎めもなしということで、二人には不思議そうな顔をされた。

堀田と俺…班のメンバー二人が勝手な行動をとって、有村と芹沢も気が気じゃなかっただろうな。

今度また何か奢ってやるか……よし、ポテトにしよう。


そんなわけで、普段は味わえないようないい思い出になった修学旅行だった。

家の中でなら、マリアンと修学旅行の行方不明事件について笑いあったりできるが、学校では他人のふりをしているから、それもままならない。




 教室の窓から何気なく校庭を眺める。

いた。

体操服姿のマリアンを見つけた。

前の授業で、B組は体育だったんだな。

マリアンのブルマ姿、激かわっ!

家で体操服を初めて見た時のマリアンとの会話を思い出した。



――数か月前


「こんな恥ずかしいもの。履けませんわ!」


「そんなこと言ったって、学校指定なんだからしょうがないだろ」


「嫌です! 絶対に嫌!」


「体育の授業では、女子はみんなこれを履くんだよ。一人だけ違う物を履いていたら、返って目立つぞ」


「女子はみなさん、これを履くのですね。……でも、やっぱり恥ずかしいですわ!」


異世界では丈の長いドレスを着ていたマリアンだ。

急にブルマを履けと言われたら、恥ずかしいのはわかる。


「……ところでさぁ、ゴブリン退治のとき着ていたという、露出多めの戦闘服とブルマ。どっちが恥ずかしい?」


その瞬間、マリアンのアッパーカットが飛んで来た。




 そんなやりとりを思い出して、俺は思わずクスっと笑ってしまった。

あんなに嫌がっていたブルマなのに、もう慣れたんだな。

マリアンの美しい脚を、ぜひ家でも披露していただきたいものだ。


「大森君、女子のブルマ姿を見てニタニタしてる……キモッ!」


「うわー、むっつりスケベじゃん」


俺の後ろで、クラスの女子たちがひそひそ話している。

丸聞こえだっちゅうの。

女子のブルマ姿を見て笑っている危ないやつ。

ああ、そんなレッテルを貼られてしまいそうだ。

まあ、半分は事実なんだが、俺が見ていたのはマリアンだけだ。

それに、笑ったのは思い出し笑いだから。

スケベ心ではない。

少ししか。


「大森君さぁ、ブルマ姿を見て笑ってたんじゃないよね」


さっきのひそひそ話の女子グループとは違う女子が、俺の隣に来て一緒に窓の外を眺めながら言った。

同じクラスの根本だった。


「は? いいんだよ別に。庇ってくれなくても」


「マリアンさんを見てたんでしょ」


「え、そ、そ、そんなことはない!」


「わかりやすっ! 図星じゃん」


「まあ、あれだ。一応、学校の人気者だからな。目が勝手にそこに集中したんだよ。男子なら誰でもそうなるだろ、普通」


「そうかなぁ。わたし知っているんだからね」


「何を」


「わたしね、【マリアンの部屋】では、マネージャー推しだったの」


「そ、それと、俺になんの関係が……」


「もう、そんなにキョドったらバレバレだよ」


「さ、さあ、何のことやら、俺にはさっぱりだな」


「じゃあさ、聞くけど。大森君って、ずーーーーーーっと学校休んでいたよね。先生は何も言わないけど、あれはどうして? どうして学校に来なかったの?」


「それは、登校拒否で引きこもっていたからだ」


「ファミレスのバイトもやめたでしょ」


「そ、そんなこと。根本に関係ないだろ」


「そうだけどさ」


そのとき、次の授業のチャイムが鳴った。


キーンコーンカーンコーン……


「じゃね、モブ・マネージャー。またあとでね」


え? 俺って学校で身バレしてた?

帰還して、久々に登校したときは、ある程度の覚悟はしていたが、みんな何も言ってこなかったから、大丈夫だと思っていた。

堀田といい根本といい、実はいるんじゃん、リスナーさん。


「またあとでね」だと? もうあとなんかねえよ!

あと何を話すんだよ。

それにしても、俺のバイト事情まで知っていたなんて、そんなに俺に気があるのか?

あ、そういえばマネージャー推しだったって、言っていたな。

フフフ、意外と俺のファンっているんだよな。

ダメだ、ダメだ。

俺は何を考えているんだ。

俺にはマリアンというおしかけ女房……じゃなくて令嬢がいるじゃないか。


それからというもの、俺は根本に話しかけられないように、努めて堀田と一緒に行動した。


「堀田、どこへ行くんだ?」


「トイレだけど」


「俺も行く!」


また、ある時は堀田の横に座り


「堀田! さっきの数学さ、よくわからなかったから教えてくれよ」


「え? 大森が僕に勉強を聞いて来るなんて、気持ち悪いなぁ。明日は雪か?」


「いや、そうかなぁ。俺も真面目に生きようと思ってだな……」


「残念だが、数学なら聞く相手を間違えてないか?」


「確かに……、じゃ、現国だ」


「何かあったのか? 大森。僕でよければ力になるよ」


俺は堀田の提案に飛びつきそうだった。

だが、その見返りとしてマリアンちゃんに会わせてとか、こいつは言い出しかねない。


「やっぱ、いい。悪かったな」


「数学なら、わたしが教えてもいいわよ」


俺たちの席に近づいてきたのは、根本だった。


「いや、いいんだ。自分でやるから。大丈夫、大丈夫」


「教えてあげるのにぃ」


「そうだ。堀田、お前さ、根本に数学を教えてもらえよ。根本は堀田に教えてやってくれ。じゃ、そういうことで……」


「僕が? いいんですか、根本さんに教えてもらって」


「……、なんでわたしがアホッタに教えなきゃいけないのよ!」


堀田は根本に怒られて、しょげてしまった。

悪いことしたな。

別に堀田には罪はない。

この償いは必ずするから。

ポテトでいいか。


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