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モブが愛したツンデレ令嬢~異世界配信したら最強のリスナーがついて助かってる~  作者: 白神ブナ
第5章 俺はモブじゃねえ、スパダリだ

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第73話 修学旅行―ドラゴン討伐

 ——俺たちは息を切らしながら、ようやくゲートを視界に収めた。

もう少しで着きそうだという時、走りながら堀田が口を開いた。


「あ…あの、大森ってさ、もしかしたらマリアンちゃんの配信でよく聞くモ……」


俺は内心ぎくりとした。

今まで、上手く誤魔化してきたが、さすがにバレたか?

失敗した、と俺が覚悟を決めた時だった。

すかさずマリアンが割って入ってきた。


「アホッタ……くん? 今日の事は、わたくしとあなたのひ・み・つ♡ですわよ」


マリアンの一言に、堀田は満面の笑みを作り


「はい!合点承知の助!! ちなみに堀田です!!」


と即答した。

今日の事って何だよ。

あの五分でいったい何を話したんだ?

俺だけがモヤモヤしながら走った。



 そして、竜崎が待つ地獄のゲートが目の前というところまで来た。

腕組みをしながら仁王立ちをする竜崎の姿を視認すると、向こうも俺たちの姿を見つけたようで、まだ距離があるのにもかかわらず吠え始めた。


「こらーーーー!お前ら! 集合時間を何時間過ぎてるが、わかっとるんかーーー!!!」


ゲートをくぐると、竜崎が右手に竹刀を持っているのを確認した。

修学旅行にまで、竹刀を持ってくるなよ。


「お前ら、修学旅行での規則を破ったな。今朝、先生が言った通りだったろ! 注意事項を説明しているのに、私語で聞いていなかった大森と堀田。お前らみたいなのがいるから、和が乱れるんだ!! こういう奴が、問題行動を起こすのだ!!」


鼻息荒く、声を荒げ、今にも口から炎を吐きそうな竜崎に向かって、マリアンが手を上げて弁解した。


「あの、わたくしのせいなんです。申し訳ありません」


堂々と自分の非を認め、頭を下げたマリアン。


「マリアン・オラエノ、当然お前も問題だ。茶髪、パーマは禁止!  そして何より、良くも悪くも目立ちすぎている!!」


こいつ……自分が注意したいだけで、周りからの話を何も聞いてねぇな?


「あの…この髪は地毛なんですが……、校長先生からも、いろいろと説明がいってると思いますけど?」


マリアンの反撃!

まぁ校長は俺の親父の知り合いだから、そこら辺は融通してくれてるからな。


「え? ……と、とにかく、修学旅行での、問題行動は絶対に許さない。お前らには厳重注意。停学くらいは覚悟していろ」


その一言で、俺も限界が来てしまった。

今度こそ……

炎を吐くドラゴンから、マリアンを守る!


「竜崎先生! お言葉ですが、俺たちに問題行動と言いますけど、警察に相談もしない、迷子放送もしない、解決したのは俺なのに、何も出来てない先生が偉そうに説教をたれる。

そうやって、自分の立場ばかり気にしている竜崎先生のとった行動こそ、問題行動じゃないんですか?」


俺の言葉を聞いて、竜崎が益々イライラし始めているのがわかった。


「なんだと!? だいたいお前はな! 常日頃からやる気はないくせに、こんな時は意見してくる。全く、最近の若い奴は口ばっかり達者で……」


言い終わる前に俺はさらに追撃する。


「それ、今、関係あります? 若い奴は口ばっかり達者だっていう、情報のソースはあるんですか? それって、あなたの感想ですよね? 単なるあなたの感想であれば、それって今は私語だと思うんですよ。私語は慎んでもらっていいですか?」


「くっ……!」


竜崎は何も言えなくなり悔しがっていた。

俺がここまで言ってくる生徒だとは、思わなかったのだろう。

でも、これで終わりじゃないぞ。


「大体、こういう先生に限って、昇進ばかり気にするんですよね。生徒が行方不明なのに、警察に相談もしないで隠蔽しようとするなんて、世間は許してくれませんよ? 

ああ、そういえば、とある学校のヤンキーたちが、他校の生徒と揉めたとか、生徒がいないって騒いでいる修学旅行中の学校って、SNSに投稿してたっけ。マジウケる、とか呟いていたなぁ。結構、フォロワー数も多い人みたいだったんで、明日の朝には、バズって炎上するかもしれないですよ?

覚悟しておくのは、俺らと竜崎先生のどっちなんですかね?」


竜崎は、活動限界を迎えた決戦兵器のように、ガクッと膝を崩し動かなくなってしまった。


今日のところはこれでいいか。

ヤンキーが呟いていたかどうかは正直わからん。

口からデマカセだが、きっとバレないだろう。

仮に、本当に呟いていたとしても、竜崎の行動は明らかに目に余る。

面白半分での拡散は冤罪を招きかねないが……

今回の件に関しては、ぜひ拡散していただきたいくらいだ。


これで大人しくなってくれることを祈ろう。

マリアン、今度こそ君を、ドラゴンから守ることが出来たかな?


「ドラゴン先生、やっつけましたわね。やっぱりあなたは、わたくしの勇者ですわ!」


そう言って俺に抱き着いてくるマリアンを見て、堀田が俺を睨んできた。


「大森…確かに、今回は助かった。だけど、マリアンちゃんに抱き着かれるなんて…… 僕は今、君に初めて殺意を覚えたよ」


まぁ、そうだよなぁ。

堀田だもんなぁ。

目を泳がせながら俺は叫んだ。


「よ、よし! さっさと帰るぞ! ホテルまでダッシュ!! 負けた人はジュース奢りなっ!!!」


そう言い終わると、俺はホテルへ向かって走り出した。


「待て! 大森! 誤魔化すな! 話はまだ終わってないぞ!!」


俺に続き、堀田も走り出した。


「いいわね、楽しそう! とにかく一回落ち着きましょう? アホッタくん」


マリアンは相変わらず天然をぶちかましながら、後を追ってきた。


「あの……堀田です」


最推しに名前覚えられてな…あっ…

堀田…こういう時は笑えばいいと思うよ……なーんてな。


落ち込む堀田を励ましながら俺たちは、宿泊先のユニオン・タワー・ホテルへ向かって走り出した。


挿絵(By みてみん)


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