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モブが愛したツンデレ令嬢~異世界配信したら最強のリスナーがついて助かってる~  作者: 白神ブナ
第5章 俺はモブじゃねえ、スパダリだ

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第66話 修学旅行―ハンバーガーショップ

挿絵(By みてみん) 


なんだか監視されているみたいで、非常に不愉快だ。

少しイラッとしながら、スマホを見つめる。

マリアンと合流したら、堀田が騒いでしょうがないだろ。

あ、だからか。


俺が妙に納得していると、堀田たちが絶叫フライング・コースターから戻ってきた。

噂をすれば、ってやつだな。



「最高!マジ面白れぇ!! もう一回行こうぜ!!!」


テンション高めの有村に対して、顔色真っ青にして息も絶え絶えの堀田。

同じアトラクションで、ここまで真逆な反応になるもんなんだな。


俺も絶叫系が苦手だから、他人事とは思えず、堀田に助け船を出した。


「いやぁ、次の計画あるだろ? 堀田、俺と水飲み場まで行って水飲んでくるか」


俺は堀田の背中をさすってやりながら、提案した。

まぁ、堀田も苦手なのに俺だけ逃げたから、これくらいの罪滅ぼしはさせてくれ。


「ありがとう……」


堀田の返事を聞いてから、俺は有村たちの方を振り向いて


「有村と芹沢は、次のアトラクションの順番を取っていてくれ。堀田が落ち着いたら、後から追いかけるからさ」


と、現状を理解できていない有村と芹沢に提案した。


「あ、あぁ、わかった」


二人はそう返事をして、何度も振り返り、俺たちのことを確認しながら歩いて行った。




 俺はふらふらになった堀田を支えて、水飲み場に向かった。

水飲み場に着くと、堀田は泣き始めた。


「ごめん……大森、次のアトラクションはパスしたいんだけど、いいかな?」


涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、堀田はそう言ってきた。


「あぁ、無理することはねえよ。修学旅行でツラい思い出を作ったって、しょうがないしな」


そう伝えたが、堀田の顔は晴れなかった。


「有村たちには、どうやって説明すれば……」


まぁ、あの二人は楽しみにしてたもんなぁ。


「ほっといていいんじゃないか? あいつらはあいつらで、行動させれば勝手に楽しくやるだろ。ま、ワンチャン、最後の集合時間さえ守ればいいんだよ」


別行動していても、最終的に合流して戻れば問題はないだろう。


「ありがとう。大森はいい人だね」


その言葉に、俺は堀田から思わず目を背けてしまった。


「……俺はいい人じゃない」


そうだ。

俺は堀田に隠し事をしている。


堀田の最推し、マリアンと毎日一緒にいるなんて、死んでも言えない。

なんなら死んで、ゾンビ化して、聖なる魔法でチリにされても言えない。

堀田が思うほど、俺はいい人ではないのだ。



有村たちが向かったアトラクションが終わるまで、俺たちはゆっくり休憩した。





 二十分ほど経つとアトラクションが終わったようで、有村と芹沢が戻ってきた。

そのタイミングで、俺と堀田は謝罪した。


「悪いな、有村。俺も堀田も絶叫系アトラクションは、NG体質みたいだ」


それを聞いた有村と芹沢は納得しつつも、


「なんだよそれーーーー! じゃあさ、最初に言えよ、計画を立てる前によぉ!」


と、文句を言ってきた。


「悪いな。今、わかったんだ」


俺たちの意見も聞かずに、勝手に決めたのはお前らだろ!!

と、思ったが揉めても仕方ない。

俺は、黙っていることにした。


「ふん、ご都合主義だな」


合理的と言ってくれ。


「まぁ、まぁ、美味いハンバーガーショップを知ってるから、そこのポテトくらいで手を打ってくれ。奢ってやるから」


あくまでハンバーガーではなく、ポテトを選ぶ辺り……

自分でも、せこいという自覚はある。


「芹沢どうする?」


有村からの質問に


「あぁ、いいよ。超ラッキーじゃん」


と、二つ返事で許してくれる芹沢。

助かるわ。

算数ができない人間は……





 俺たち四人は、そのまま目的の店に向かった。

その店は、マリアンがユニオンランドについて検索している時に見つけた店で、

レビューやブログなどで評価の高いハンバーガーショップだ。


本当に、マリアンには感謝しないとな。


もしタイムマシンがあったら、

『アトラクションじゃなくて飯の検索かよ、プギャー』と、マリアンを責めた自分をぶっ飛ばしてやりたい。

……やっぱり痛いのは嫌だから、そんなこと思わないように説得するくらいにしとくか。




——ハンバーガーショップで食事していた。


すると、堀田がボソッとつぶやいた。


「マリアンちゃんは、ハンバーガーが好きなんだよな」


突然のマリアンの話題に驚いたが、


「ふーん、そうなのか。じゃ、この店に来るかもな」


と、適当なことを言ってしまった。


マリアンがこの店を検索していたのは事実だが、俺たちがいる時に来るとは限らない。

あまり期待を持たせない方がよかったな。


「だよね! やっぱ、大森もそう思う?」


うわぁ、さすがストーカー堀田。

がっつり、期待しちゃってるわ。


「ま、まぁ、ここで待ってれば、もしかしたら、きっと、たぶん、多少……会える可能性がぁ、あったり、なかったり、ラジバンダリするんじゃね?」


さすがに、そこまではしないだろうと、高を括って適当なことを言う俺。


「うん、そうだね。そうする」


え、マジかよ。


即答……だと!?

嘘だよな?

さすがに、こんなに素直な返事が来るとは思ってなかったんだが……


いったいいつから、ここにマリアンが来ると錯覚していた?

考え直せ、と堀田を説得しようとしたその時だった。


また携帯が鳴った。





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