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モブが愛したツンデレ令嬢~異世界配信したら最強のリスナーがついて助かってる~  作者: 白神ブナ
第5章 俺はモブじゃねえ、スパダリだ

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第62話 セバスワルドご夫妻?

 俺は、セバスワルドさんの皿にサラダを取り分けた。


「マナブさん、すみませんね。わたくしなんかに給仕させてしまって……」


異世界では、俺の師匠であったセバスワルドさん。

今日は大森家の夕飯に来てくださったお客様だから、セバスワルドさんに俺が給仕するのは当然だ。

しかし、同じ当然でも父さんと母さんの考えは違う意味で当然だった。


「セバスワルドさん、どうやったらマリアンちゃんみたいないい子が育つのかな。同じ父親として、アドバイスして欲しいですな」


「そうよ、本当にいいお嬢さんだわ。それに、お料理上手なアルケナさんという奥様までいて、セバスワルドさんて幸せ者ですね。あなた、子育てのコツをちゃんと教わって!」


マリアンはセバスワルドとアルケナの娘ということになっている。

セバスワルドは、俺の親におだてられても否定しない。

たぶん、マリアンお嬢様のために必死で演技しているのだろう。


「いやぁ、うちのマリアンが大森さんのお宅に我が物顔で出入りしていて、ご迷惑をかけております」


うちのマリアン?

うちのマリアンだと?


「迷惑だなんてとんでもない。うちとしては、マナブにいいお嫁さんが来てくれたくらいに思っていますよ」


マナブにいいお嫁さん?

いいお嫁さん?


「いやあ、そのつもりでわたくしどもは引っ越してきましたから……」


「「え?」」


セバスワルドさん、そこはボカシてくれ。

ストレートに言い過ぎだから。


「そういえば、マリアンちゃんって、アルケナさんのことをお母さんって呼ばないのね」


「あ……」


「セバスワルドさんのことも、お父さんと呼ばないし……」


「あ、ああ、うちは名前で呼び合うのが家訓でありまして、それがお互いを尊重し合い、独立心を芽生えさせているのです」


「ほぉ~、なるほど。欧米風の教育ってそういうものなのかー」


父さんも母さんも、妙に納得してくれて助かった。

聞いていて、ひやひやする。

この場面で給仕するのは心臓に悪い。


俺は、弟と遊んでいるマリアンの所へ行った。


「おい、確認したいんだが、お前の情報によると、セバスワルドさんとアルケナさんは日本に来て結婚したと言っていたよな」


「ええ、そうですわ」


「最初は冗談か、あるいは書類上の手続き上で、婚姻したのかと思っていたけど、あれはマジな話か?」


「何か問題でも?」


師匠セバスワルド、いつの間にメイドに手を付けていたんだ。


「あの二人が付き合っていたって、お前は知っていたのか」


「もちろん、知っていましたけど。逆に、マナブさん知らなかったの?」



「確認したいだけだ。お前ってさ、セバスワルドさんの子どもってことになっているみたいだけど?」


「だって、幼いころから育ててもらいましたもの」


「わかる。それはわかるが、セバスワルドさんを父さんって呼ばないねって、うちの親が話題にしてるんだが」


「ああ、呼びませんね」


「なんとか、それが家訓だとかいって、セバスワルドさんはうまく切り抜けていたぞ」


「さすがですわ。セバスワルド」


このお嬢様には危機感と言うものが無い。

ピンチを切り抜ける部下を、褒めちぎるいい上司かよ。


「でも、あの二人に、本当の子供が出来たらどうなるのだろう」


「ああ、そこまで考えていませんでしたわ。そうなりますと、わたくしに妹か弟ができるということかしら」


「そうなるな」


「家族が増えて、楽しくなりますわね!」


マリアン……、相変わらず脳天気だ。

自分だけ血が繋がっていないことになるなんて、考えてもいないんだろうな。

いや、マリアンのことだ。

考えていたとしても、ネガティブに捉えていないのかもしれない。

異世界からここに来るときに、全てを捨てる決意をしたマリアンだ。

むしろ、セバスワルドとアルケナが来てくれて、ラッキーってところかな。



 話は変わるが、俺の弟はマリアンにべったりとくっついて離れない。


「マリ姉ちゃんは、お兄ちゃんのお嫁さんなの?」


弟、それは週刊誌の記者もびっくりド直球な質問だぞ。


「あら、どうしてそう思ったの?」


「だって、父さんと母さんがそう言っているから」


弟の質問には、兄である俺が慌てて答えた。


「おい、それは母さんたちの勝手な妄想だ。よ、よよ嫁さんなわけないだろが!」


「なんだ、そうか。よかった。じゃ、マリ姉ちゃんは僕のお嫁さんになってね」


「え、えええええ?」


俺と違って弟はグイグイと迫るタイプだったのか。

ダメだ、それはダメだ。


「うーーん、でもぉ、わたくしは、マナブさんの事が好きですしー……」


俺は、その先は聞こえないふりして、汚れた皿をさげたりして忙しそうにした。

だが、耳だけはマリアンと弟の会話に全集中していた。


「えええ? お兄ちゃんのことが好きなの? どんなところが好きなの?」


「そうねぇ、不器用だけど優しくって、強くって、最高ですわよ」


え、もう一度言ってくれ。よく聞こえなかった。

思わず俺は、マリアンの方を見た。

すると、弟はマリアンの膝枕で寝ていた。

このーーーーーー!!!

その膝枕は俺のものだ。

俺だって、マリアンの膝枕で寝たことはないぞ。

弟よ、おまえ、十年早いんだよっ!


弟のマリアンに対する積極的アプローチに、俺は焦った。


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