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モブが愛したツンデレ令嬢~異世界配信したら最強のリスナーがついて助かってる~  作者: 白神ブナ
第4章 爆ぜろリア充

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第51話 ドラゴン戦ー②危機一髪

 「でやぁぁぁぁーーーーですわぁ!!」


 日本刀の重さは、いつも使っている剣よりも軽い。

それは、マリアンには扱いやすいかもしれない。

まさかの日本刀が、マリアンに向いている?


日本刃はドラゴンの腹部に当たると、するりと入って力をかけずとも切れていく。

その切れ味に妖しさすら感じる。


さすがにこの攻撃は効いたらしく、ドラゴンは悲鳴を上げた。


グギャァァ……


「ふふっ、これが必殺のドラゴン斬りですわ!」


いやいや、今のはマリアンじゃなくて、日本刀の手柄だから。

日本刀の手柄を、華麗に奪い取るマリアン。


「で、でも斬ったのはわたくしですもの……これくらいはいいですわよね?」


「はい、はい。そーでーす」


そんなやりとりをマリアンとしながらも、俺はきちんとドラゴンの攻撃が届かない間合いを取りながら動いた。


「これなら行けそうですわね」


「ああ」


勝ちを確信したその時、俺の頭に、あの言葉がよぎった。



——“マリアンとモブは、本当にそれでいいの?”



時間にして一秒にも満たなかったかもしれない。

だが、体感にして数秒にも感じる時間だった。

俺の中の迷いが、攻撃の手を緩ませた。


ドラゴンはその一瞬の隙を見逃さなかった。


大木のように太く、しかし鞭のようにしなやかな長い尻尾。

ドラゴンの尻尾が俺に向かって飛んでくる。

気がついた時には、それは目の前まで迫って来ていた。



ヤバい……俺このまま死ぬのかも。

まるで、全てがゆっくり動いているように見えるし。


覚悟したその時だった。



——ドンッ!



尻尾ではない別の“何か”に、俺は突き飛ばされた。


「はぁ……?」


ドラゴンの尻尾が、俺の頭上ギリギリをかすめていく。



ビュン……バシッ……



「うっ……!!」



尻尾が俺の頭上をかすめると同時に、“何か”に当たる鈍い音。


そのまま俺は、地面を滑るように倒れ込んだ。


ザザザザザザ……


いったい何が起きたんだ……?



倒れた時に痛めた肩を押さえながら、俺は上体を起こして辺りを確認した。


そこには、マリアンの姿がなかった。

ただ、ドラゴンだけが絶対的な存在感を示しながら立っていた。


ドラゴンは、空中で動き回るスマホの存在に気付いたようだ。

スマホのある方向を見つめ、グルルル……とまた低い唸り声を立てている。



マリアンは……?

マリアンはどこだ!?



立ち上がりながら周囲を見回しても、霧のせいでよく見えない。



まさか……そんなっ!



嫌な予感が全身を駆け巡る感覚に襲われた。

俺は、ドラゴンが見つめるスマホの方へ、落とした武器も拾わずに走り出していた。


不思議なことにドラゴンは、俺を追い掛けては来なかった。


俺は嫌な予感のせいか、焦りからか、足が縺れてうまく走れない。

それでも、必死の思いで、スマホを右手に引き寄せた。


リスナーさんが何か見ているかもしれない……


状況を確認するため、スマホのコメント欄を空中スクリーンに映し出した。



“今のなに!?”

“なんか黒い塊みたいなのが飛んで来たけど”

“え、あれ人じゃなかった?”

“おいおい嘘だろ”

“どうなったんだ?”

“マリアン、怪我してるじゃない!? 大丈夫!”

“霧が濃すぎて、よく見えてないけど二人とも無事なんだよね?”

“さっきの大きな影はドラゴン??”



画面を流れるコメントを見て、俺は背中がゾワッとした。


ありえない。


俺はリスナーさんには何も言わずに、スマホの【追尾】機能をもう一度確認。

そして、スマホが被写体であるマリアンを【追尾】する方向へ、俺は急いで駆けて行った。


間もなく、抱いていた悪い予感が的中し、その光景に目を見開いた。



「うそだぁぁぁぁ……!!」



そこで俺は、信じられない光景を見た。


俺の叫び声だけが、虚しくこだましていた。


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