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モブが愛したツンデレ令嬢~異世界配信したら最強のリスナーがついて助かってる~  作者: 白神ブナ
第3章 人気配信クエスト企画

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第42話 モンスター討伐企画ー③

“でも、これってさ、マネージャーのミスじゃね?”



最後のコメントが核心をついていて、俺はドキッとした。

マリアンは、コメントを見て残念そうな顔を見せはしたが、マネージャーのミスについては何も触れなかった。


「ありがとう、皆さま。楽しみにしてくださったのに、戦闘をお見せできなくてごめんなさい。次回戦う時は気を付けますね。」


次回は気を付けますねって、俺のミスなのに……

マリアンは、自分でスマホを設置したから悪いのだと勘違いしている。


マリアン、すまない。

スマホの【追尾】をオンにしなかった俺が悪いのだ。

そもそも、一旦、配信を切った俺が悪い。

申し訳ない……

ってか、次回って言ったか?

次回って、何? 次回って。



“次回!? またやるの?”

“マリアンはやってくれるでしょ!!”

“いい運動にもなるしねww”



リスナーから期待の声が上がり、マリアンの顔は暗い表情から、安堵に変化するのがわかった。



“まぁ、モブが協力してくれれば、実現可能だと俺は見た”

“なんだかんだで、協力してくれるでしょww”

“モブだもんねw”

“モブも戦ってくれたんだよね?”



配信では、戦闘中の武器がぶつかり合う音とマリアンの声しか聞こえなかったらしい。

俺は極力声を出さないようにしていたから、俺の活躍がわからなかったのだろう。


「えぇ、彼は何匹も相手に頑張ってくれていましたわ。数は、わたくしも必死だったので、わからないですけど」


俺は最低五匹を相手取るという、素晴らしい戦闘シーンを繰り広げたのだが、

リスナーさんにお見せできなかったのが、心底残念だ。

(自画自賛)



“いいなぁ、オレも異世界に転移したい!”

“転移しても俺、絶対ステータス低いからなぁw”



「それにしても、戦っている場面が見えていなかったなんて、本当に不覚でしたわ。初の企画は失敗ね」


溜め息をつきながら、反省の言葉を口にするマリアンに



“失敗した分、次にどうすればいいかわかるから、よかったじゃん”

“それはそう! 超ポジティブ思考でいこうZE☆”

“だっさww”

“でも、次までにスマホ用の三脚が必要だね”

“そうだなぁ、そのうち送り付けるわww”

“マネージャーいるんだから、その辺やってもらえばいいじゃない”



ドキッ。

そ、そうじゃないんです。

三脚の問題じゃないのです。

みんな、俺が悪いのさ。

説明しても、伝わるかどうかわからないから、俺は焚火でも炊いておこうっと。


マリアンはリスナーとしばらく会話を楽しんでいた。


「あら、マネージャーが焚火を用意してくれましたわ」



“モブが気を利かせて、一息つけるように、準備をしてくれたのか”

“モブ意外と優しいw”

“一休み、一休み”

“とんち小坊主おったなぁww”



いや、自責の念にかられて、その場から去りたかっただけだが。


マリアンは焚火まで来て、腰を下ろした。

スマホの【追尾】スキルはちゃんと作動して、そんなマリアンを撮影していた。


そしてマリアンは、戦闘中の話をリスナーに説明し始めた。

見えなかった間、どのように戦っていたか、どんな装備が出てきたかなど。

マリアンは、リスナーの質問にも答えていた。


「露出多めのよろい?……記憶にございませんわ」


それは俺も聞きたい。

あの時はマリアンを見る余裕が無かった。

だが、お陰様でその姿見たさに、秒でゴブリンをやっつけたんだがな。

それは言えない。


よろいに関しては、マリアンは本当に恥ずかしかったようで、それだけはどんなよろいだったか教えてはくれなかった。



“でも、マリアンのカッコいい姿見たかったなぁ”

“装備が変わる瞬間を見たかった”

“音声だけでも迫力あって、ドキドキしたけどねw”



初めての戦闘で疲れているはずなのに、リスナー達が送った感想コメントを、マリアンは全て読んでいた。


「では、今日はここまでにしますわね、皆さまごきげんよう」


焚火の灯りに照らされながらマリアンは、初の企画配信を、名残惜しそうにしながら終えた。





——配信終了後、


 俺たちはクエストの結果をギルドに報告しに行き、そのまま寄り道もせず屋敷に飛んで帰った。

セバスワルドの配慮で、人目に付かないように、屋敷裏の少し離れたところで馬車から降りた。


馬車から降りて、俺とマリアンは中庭までしばらく歩きながら、


「今日はご苦労様でした。ゴブリンって意外と怖いモンスターですのね」


その一言に、俺は呆れてしまった。


「はぁ……今頃わかったのかよ。俺はそれを何匹も相手にしたんだぞ?」


マリアンにとってその言葉は、どこか得意気に聞こえたのかもしれない。


「あら、あなたがピンチの時に、助けたのはわたくしですけど?」


マリアンはその時に発したセリフを思い出し、少し赤くなっていた。


「何言ってんだ。あんなへなちょこ攻撃が効くわけないだろ? ゴブリンをちょっとふらつかせた程度で。結局のところ、俺がほとんど戦って倒したじゃないか。」


「何をおっしゃってるの? わたくしの一撃がなかったら、あなたはやられてましたわよ?」


「俺だって君を何回も守ったぞ! 君が危ない状況にならないように、どれだけ必死に……何でもない!」


そこまで言ってしまって俺はハッとし、途中で言うのをやめた。


「え、私を守るために? あなたも必死になってくださったの? よろしいのかしら、よろしいのかしら……こんなうれしい言葉をいただいて。嫌ですわ、わたくし、顔が耳まで赤くなってません? でもよかった、配信を切っておいて。

あ……配信を切ったで、思い出しましたわ。あなたは、怯えたわたくしをそっと優しく抱き寄せてくださいました。あのとき、わざと配信を切ったのでしょう?」


「そ、そんなことあったけ? 覚えていない。忘れた!」


俺はわざととぼけて見せた。

でも、確かにあの時間は、俺とマリアンだけの時間だったからな。


その時、どこかから誰かに見られているような気がして、俺は振り向いた。


だが、誰も見当たらず、

ゴブリンと戦ったせいで疲れているのだろうと思い、気にしないことにした。





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