表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/81

第2話 スマホと一緒に異世界で暮らせます

 クリスタルはその口の中へ、ホールインワン達成!!


「ど、どうしよう。俺はどうすれば……」


「あのクリスタルを取りに行くしかありませんねぇ」


「女神が手を離すのが早いからだ!」


「あなたが、手を出すのが遅いからでしょ!」


しかし、こんな所で喧嘩していてもしかたがない。


「ドラゴンの腹の中に納まってしまった……」


「しょうがないわね。では、異世界転移ってことにして、あなたにスキルを授けましょう。スキルを使って、あのドラゴンからクリスタルを奪還すればいいのです。」


「え? 俺が自分で奪還するんですか?」


「ほら、まっすぐ立って!」


「はい」


俺は椅子から立ち上がった。


「もっと、背筋伸ばして! しゃんとしなさい!」


「はい」


「スキル【追尾】付与。ワッパガ シゴト チャッチャド カタズケーレ!」


お約束通りの光が俺を包み込み、スキルが授けられた。


「…ありがとう。でも、授かったという実感が湧かないな」


「ああー、ちっ! あなた、今動いたでしょ」


「いいえ、動いていませんよ」


「いや、動いた」


「動いてねぇよ」


「本当に? じゃ、わたしがまたミスったってこと?」


「また、ミスったぁ? これで三回目ですよ。

一回目、転移座標ポイントを間違える。

二回目、クリスタルを下界に落とす。

三回目、今度はなんですか?」


「少年よ、二度あることは三度あるものです。落ち着きなさい……」


「さっきから俺は落ち着いていますよ。女医さんでしょ、落ち着きがないのは。ちゃんと、仕事してくださいよ」


「オホホホ……仕事していますよ。何、言っちゃってんの? わたしは、ちゃんとスキルを付与しました! あなたのスマホに」


「え? どこに? ……俺じゃないの?」


「そのぅ、ス・マ・ホ に! ちゃんとスキルを付与しました! だってほら、異世界にはスマホが無いとかって、不満を言ってなかった? これで、スマホと一緒に異世界で暮らせます。充電の必要も、無し! ま、申し訳ないから内容をグレードアップしておこっか。スキル モット オガーレ」


その瞬間、確かに胸ポケットに入れていたスマホが熱くなった。


「では、これであなたの異世界転移の手続きは、無事完了いたしました」


「無事じゃねーし」


「あとはあなた自身でドラゴンを探し、戦って、クリスタルを取り戻せばOKです」


「ちょっといいですか? 俺には剣とか魔法とか、付けられないんですか?」


「何を甘ったれたことを言ってるんですか。あなたは生きているのよ。転移しただけでしょ。生きている人間に、これ以上スキル付与することはできません」


「つまりその…」


「自力で取りに行くのです。自力とは……」


「もういい、わかった」


俺は素直に目の前の現実を受け入れることにした。


「まあ、そんなに心配しないの。転移先で何かあったら、わたしが守るから。なんだか、面白くなってきたじゃない」


「それは期待しない」


その時、ナースが診察室に飛び込んできた。


「女神様、急患です! 下界で事故があって、集団でやってきました。急いで処置室へ!」


「わかりました。すぐ行きます。じゃ、マナブ少年 グッド・ラック!」


おーい、おーい、 グッド・ラックじゃねぇだろー!!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ